Monthly Archives: 7月 2012

「愛和学院 第1回公開ラボ」のお知らせ(9月9日)

 「愛和学院 第1回公開ラボ」のお知らせ  お知らせ<9.9 ラボ案内

 

愛和学院『できるにほんご』の授業風景①

愛和学院『できるにほんご』の授業風景①

9月9日、博多にある愛和学院で、「公開ラボ」が開かれます。主催者の深江新太郎さんは「開催にあたり」で、次のように書いていらっしゃいます。

     ♪   ♪   ♪

日本語教育が過渡期を迎え、日本語教師もまたその社会的価値を問われる時代です。私たちに何ができるのか。その応えは教室活動でかたちになります。だからこそ、対話を通してその応えをさがしたいと思います。対話、とは自分と他者の間にいまだ見えない価値を見出す想像的な営みです。私たちは開かれた場所で開かれた知へ、そして創造的な実践へたどりつきたくて、公開ラボを行います。第1回は、嶋田和子氏とともに、初級授業デザインの真髄へ迫ります。

     ♪   ♪   ♪

私が深江さんと出会ったのは、ちょうど6年前のある夏季講座でした。講座のタイトルは「もう避けて通れないアカデミック・ジャパニーズ」、私は広義のアカデミック・ジャパニーズの重要性、初級から求められるアカデミック・ジャパニーズについてワークショップを行いました。『みんなの日本語』をどう使えば、「真の日本語能力」の涵養に結びつくのか……。深江さんは、ワークショップが終わって1カ月後に、こんなメールをくださったのです。それが深江さんと私との「対話」の始まりました。

<深江さんからのメール(深江さんの許可をいただきましたので、
一部を載せさせていただきます)>

    ◆   ◆   ◆

あの時の研修以後、約1ヶ月、絶えず「じゃぁ、何が出来るの?」という問いを胸に授業を行なってきました。今回、お便りを差し上げたのは、その一つの結晶が出来ましたのでご報告したいと思います。

以下のように取り組みを行ないました。

1.みんなの日本語第32課 「~でしょう。~かもしれない。」終了後、同じ課のトピックを行なう。

2.トピックの「100年後何が出来ると思いますか。」という問いに対する学生の答えを回収。

3.回収した答えを、一つにまとめ、学生に配布。

4.「では、100年後、何が必要だと思いますか。」という問いを与え、3の資料をもとに学生が考える。

    (同時に、「~が必要だ、~が必要だと思う」という表現を導入)

5.学生が書いたものを回収し、文法のミスを訂正し、「文集」として配布。

今回、3(「21世紀はこうなる」)と5(「22世紀へ」)のファイルを添付しています。

添付したファイルの文は、文法上の誤りは全て訂正しています。ですが、彼らが成し遂げたことに対しては何の修正も加えていません。

〔対象となったクラスは、初級ですが、初級以上の知識(「運用能力」も含めて)を持った者もいます。〕

研修以後、「いったいどこを目指したらいいのか。」という迷いは、「彼らに何が出来るのか。」という問いに変わり、漠然としてとらえていたAJの輪郭が見えてきたように思います。

      ◆   ◆   ◆

その後も、メールでの「対話」、学会の大会や実践フォーラムでお会いしての「対話」など、いろいろな「やり取り」がありました。そして、昨年『できる日本語』が誕生してからは、このシリーズを軸として新たな「対話」が始まりました。今年4月4日には、博多の愛和学院で『できる日本語』についてお話しする機会がありました。(「博多の日本語学校で『できる日本語』説明会」http://www.acras.jp/?p=261) その時深江さんがおっしゃった「私は、九州にさわやかな風を吹かせます。『できる日本語』で人をつないでいきたいと思っています」という言葉は、ずっと胸に残っていました。「なんて熱い先生なんだろう!」と。

そして、6月に深江さんから、「こんな学内研修会をやりました」というお知らせをいただきました。それは、学内研修「初級授業における創造性とは何だろうか?―『できる日本語』と場面以前の存在」でした。私は、学内での「対話」の輪の広がりに強い感動を覚えました。

さらに輪を広げて生まれようとしているのが、今回の「公開ラボ:初級授業デザインの真髄にふれよう~『できる日本語』」です。こうして「対話」の輪がどんどん広がっていくことで、日本語学校の新たな可能性、先生方のネットワーク構築が生まれてくることでしょう。

皆さん、ぜひ「公開ラボ」にご参加ください! みんなでどんどん「ネットワーク」を広げていきましょう。

 

 

日本語サロン「『これからの日本語学校』について考えてみませんか」

 アクラス研修会8月その② 「日本語サロン<みんなで語ろう>
     「『これからの日本語学校』について考えてみませんか」

     →チラシ「アクラス研修会8月その②

◆日時:8月28日(火) 18時30分~20時30分

◆話題提供者:及川信之(東京三立学院副校長)

       ♪  ♪  ♪  ♪  ♪

 アクラス研究会の申込書には「関心のあること」として13項目並んでいます。そこには「日本語学校を考える仲間作りに関すること」という項目があります。そして、何人もの方が、「日本語学校の社会的意義をみんなで発信したい」「日本語学校のあり方について、仲間と一緒に語り合いたい」といった希望を書いていらっしゃいます。

そこで、「日本語サロン<みんなで語ろう>」を開催し、日本語学校について考える仲間と一緒に、ワイワイガヤガヤ本音で話し合いをする時間を持つことにしました。話題提供者は、東京三立学院副校長で、日本語教育振興協会の主任教員研修実行委員長も務めていらっしゃる及川信之さん。及川さんは、日本語学校関係者のネットワーク構築に向けて、あちこちで「仕掛け作り」をなさっています。当日は、さまざまなお話が飛び出すことでしょう。なお、「日本語サロン」終了後は、希望者で中野近辺で「飲み会」を実施する予定です。

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■場所  アクラス日本語教育研究所 (中野駅南口3分、詳しくはHPをご覧ください:http://www.acras.jp/

■定員  20名(先着順とします)

■受講料 無料(ただし、資料代および茶菓代として500円いただきます)

■申し込み方法 メールでお申し込みください。
                メールアドレス:general@acras.jp 

    ※ご質問は、嶋田まで(kazushimada@acras.jp   03-3380-5352)

8月31日(金)、「文化庁日本語教育大会」に参加しよう!

 やっと平成24年度「文化庁日本語教育大会」のお知らせがきました。詳しくは、文化庁のホームページをご覧ください。

開催日: 平成24年8月31日(金)10時~17時30分

会場:  昭和女子大学グリーンホール(東京都世田谷区)

テーマ: 地域日本語教育と住民の社会参加―外国人住民の視点から考える

  ♪   ♪   ♪   

 9:30  開場
10:00   開会のあいさつ  大木高仁(文化庁文化部部長)
10:10   特別講演 田村太郎(NPO法人多文化共生センター大阪代表理事)
11:30 施策説明

12:00 昼食休憩

13:00 文化審議会国語分科会日本語教育小委員会における審議状況の説明 
      西原鈴子(文化審議会国語分科会日本語教育小委員会主査)

13:50  パネルディスカッション
        「地域日本語教育と住民の社会参加ー外国人住民の視点から考える」 
       地域で働くー文字を学び、介護職へ
         佐々木クリスティン(介護ヘルパー)
         森正義(社会福祉法人キングスガーデン宮城)

       地域へ情報発信!コミュニティーラジオの力
         須本エドワード(ラジオパーソナリティー)
         金千秋(特定非営利活動法人エフエムわいわい)

       バイリンガル講師として地域の子どもたちと
         坂本裕美(太田市立九合小学校)
         伊藤由佳(太田市立南中学校/太田小学校)

       被災地支援ー難民だからわかること
         マウン・ミョウ・ミン・スウェ(東京大学大学院生)
         田中志穂(認定NPO法人難民支援協会)

       質疑応答

15:45 「生活者としての外国人」のための日本語教育事業 活動報告会
     「地域における連携・協力に向けた地域日本語教育コーディネーターの可能性と課題」

     進行役:米勢治子(東海日本語ネットワーク副代表・地域日本語教育コーディネーター研修講師)
     報告者:北川裕子(のしろ日本語学習会代表)
         各務眞弓(NPO法人可児市国際交流協会事務局長)
         八木浩光(一般財団法人熊本市国際交流振興事業団事務局長)

17:30 閉会

http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kyouiku/taikai/24/index.html

 

「<著者との対話>『ロールプレイで学ぶビジネス日本語』」を終えて(7.13)

話をする山辺さん

話をする山辺さん

7月13日の夜、アクラスで初めての「日本語サロン<著者との対話>」(著者としての参加は山辺真理子さんと村野節子さん)が開かれました。いろいろな日本語学校の先生方、イギリスから夏季休暇で一時帰国中の方など、著者と参加者でワイワイ話し合いながら、進められました。

まずは、著者の自己紹介があり、続いて参加者の「名前/所属/なぜこの日本語サロンに参加したのか/今、一番関心のあること」の4点セットの自己紹介がありました。これで一気に雰囲気がほぐれ、「対話」しやすい環境が生まれました。

そのあとは、本が生まれた背景、趣旨、構成、そして使い方と、まずは著者からの説明がありました。とてもコンパクトにまとまった、分かりやすい説明に、みんな納得。次は、授業実践の紹介となりましたが、実際に使っている参加者からの報告などもあり、次々に発言していきました。

この教材作成のきっかけは、「自分達がやりたい授業をするために適切な教科書がなかった」ことでした。「見つからないんだったら、仲間で作ってしまおう」と、3人が集まって、毎回知恵を絞って授業を進めるうちに、こんなすてきな教材が出来あがったのです。まさに「三人寄れば文殊の知恵」の実行版だと言えます(もう一人の著者は、向山陽子さん)。

今日のテーマは『ロールプレイで学ぶビジネス日本語』ですが、「授業に対する姿勢」「学習者とどう向き合うか」と、話は教育実践全般に広がっていきました。参加者から出た「授業を行う際に、特に心がけていることは?」という問いに対する答えは、実にさまざま、興味深く拝聴しました。

話をする村野さん

話をする村野さん

      ♪   ♪   ♪

○学生は大人であることを忘れてはいけないと思います。学習者の自尊心を高めるような授業ができるように心がけています。

○質問をする時でも、必ずその人の名前を呼んでから始めるようにしています。ロールプレイをする時でも、必ず学習者の名前を呼びますし、ロールプレイでAさん、Bさんになっているところも、必ず「えっ?Aさんじゃないでしょ。△△さんでしょ」と名前を言わせるようにしています。

○年齢もいろいろ、学習スタイルも背景もさまざま。だから自分のやり方やクラスのやり方を押しつけないように気をつけています。

○楽しい授業にすることが大切だと思っています。また、心がけていることとしては、授業前ちょっと早目に教室に行って学習者と雑談をしたり、授業が終わってからも少し教室に残って、「授業であまり発言しなかった学習者」と何気なく会話する機会を作るよう配慮しています。

○とにかく話しやすい雰囲気を作ることが大切だと思います。「ここでは何を言ってもいいんだ」「間違っても恥ずかしくない」と思わせる雰囲気作りを心がけています。

   ♪   ♪   ♪

山辺講師からは、以下のようなお話がありました。

1.謙虚さ

とにかく教師は、謙虚であることが大切です。そもそもビジネス場面に関しても、何でも経験できるわけがありません。「自分には経験が足りない」という意識を持ち、そのことに怖れを抱くことで、教師は謙虚な姿勢を保つことができるのだと思います。

2.想像力

 経験があるかないかというより、その立場に立てることが大切。つまり想像する力が大切です。そのためには、小説を読んだり、アニメを見たり……。そうする中で、経験したことのないことでも、想像し、理解することができるようになるのだと思います。

教材を見ながら説明を聞く参加者

教材を見ながら説明を聞く参加者

3.情報収集

 情報収集といってもビジネスの現場によって、かなり求められるものは違ってきます。ですから、いろいろな人に聞いたり、新聞を読んだり、さまざまな努力が必要です。

村野講師の次の言葉も胸に響きました。

「とにかく授業では教科書から離れることが大切です。正解は一つではないんですから、教科書に拘っていたら、力はつきません。『ビジネスの時に、教科書持って交渉したりできる?』と、いつも学習者に言っています」

お二人がおっしゃっていた「私達は学生によって育てられ、元気をもらっています」という言葉には、同感です。私も、「学習者によって育てられ、教師仲間によって育てられ、社会によって育てられていること」を、毎日痛感しています。

8月8日(水)には、「お茶の水女子大学 日本言語文化学研究会2012」として、「グローバル人材育成のためのビジネス日本語教育ワークショップ」があります。ご興味がおありの方は、「お知らせ」をご覧ください。ochagenbun_ws-chirashi2012

最後に、コメントシート記入タイム

最後に、コメントシート記入タイム

海外に飛び出してみませんか~「国際交流基金公募」のお知らせ

パンフレット国際交流基金は、「平成25(2013)年度海外派遣 日本語専門家 公募のお知らせ」を出しました。日本語上級専門家、日本語専門家、日本語指導助手の3つのカテゴリーに分かれています。写真のようなパンフレットを入手するのも一つの方法ですが、こちらのURLからダウンロードすることができます。http://www.jpf.go.jp/j/about/recruit/japan_25.html

最近、「日本語教師として、どうキャリアデザインを描けばよいのか分からなくなってしまった」「日本語教育の世界が今後どうなっていくのか、見えない部分があり不安だ」等と言った声をよく聞きます。確かに、さまざまな要因が複雑に絡み合った時代であり、先が読めない点が多々あります。

しかし、国内でも海外でも日本語教育の重要性は今後ますます高まってくると思われます。これだけ国や地域を超え、人・物・金が自由に動いている時代、「ことばの教育」はとても重要です。とはいえ、その多様化はさらに進み、新たな視点が求められてきます。そんな時だからこそ、チャンスがあれば、海外に出て、遠くから日本を眺め、日本語を見つめ直し、現地での日本語教育の多様性について触れてみることが大切なのではないでしょうか。

年齢、経験等、条件に合致する方は、小さな「迷い」を捨て、大きな「希望」に向けて、応募してみませんか。「最近の日本人は、海外に出たがらない」などというウワサを払拭したいものです。動けば必ず何かが起こります。自分自身に、周りに、そして日本社会に……。新たな可能性、新たなネットワーク、新たな言語教育観が生まれることは間違いありません。

 

 

「初級日本語指導を見直そう!」 (特定非営利活動団体日本語教育研究所主催)

アクラス社団法人の代表理事嶋田が、特定非営利活動団体日本語教育研究所主催の講演会で話をします。ご興味のおありの方は、ご参加ください。「なぜ初級日本語の教え方を見直す必要があるのか」「なぜ『できる日本語』が生まれたのか」といったことを中心にお話をします。

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初級日本語指導を見直そう!~『できる日本語』を使った新しい初級授業の紹介~
講師:嶋田 和子 氏(一般社団法人 アクラス日本語教育研究所・日本語教育学会 副会長)

「わかっているのに、使えない学習者が多くて…」「学習者の発話を促すのが難しくて…」といった声をよく耳にします。それはなぜでしょうか。実は、学習者の「学びたいという意欲」「言ってみたいという思い」を教師が押さえ込んでしまっているケースが多々あるのです。そこで、それぞれの教育実践を振り返り、「何を・どう教えるか」だけではなく、「なぜ教えるのか」を問う研修会にしたいと思います。研修にあたっては、「対話を重視し、人とつながる力を養う」ことを目指して作られた『できる日本語』を取り上げ、実際の授業展開例などを示しながら、「初級日本語指導のコツ」についてお話しします。<教師が変われば、学習者が変わる>、まずは教師自身の見直しから始めませんか。

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■講座内容■
●初級日本語指導の振り返り(ミクロ・マクロ両面からの見直し)
●学習者の発話を引き出すヒント&ポイント
●『できる日本語』使用で見られる「教師の成長」&「学習者の成長」
●「対話力」アップで、新たな教師人生を!

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■嶋田 和子 氏 紹介■
いくつかの日本語学校を経て、1990年よりイーストウエスト日本語学校に勤務。教務主任・副校長を務め、2012年3月に退職。同時に、(社)アクラス日本語教育研究所を設立する。(社)日本語教育学会副会長、ACTFL-OPIトレーナー。主な著書として、『目指せ、日本語教師力アップ!-OPIでいきいき授業』(単著、2008年、ひつじ書房)、『プロフィシェンシーを育てる―真の日本語能力をめざして―』(共著、2008年、凡人社)、『できる日本語初級』(監修、2011年、アルク)、『対話とプロフィシェンシー』(共著、2012年、凡人社)などがある。

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■日時■ 
2012年7月28日(土)18時30分 ~ 20時30分 (18時 受付開始)


■対象・定員■
対 象:日本語教育関係者全般  
定 員:40名(最少開講人数 10名)定員になり次第受付終了

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■場所■ 
東京ウィメンズプラザ 第1会議室 (〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67)
JR山手線・東急東横線・京王井の頭線:渋谷駅下車徒歩12分/地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線:表参道駅下車徒歩7分/都バス(渋88系統):渋谷駅からバス4分青山学院前バス停下車徒歩2分

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■受講費■ 日本語教育研究所会員:3,000円   一般:4,000円
※新規で会員にお申し込み頂いた方は、本講座から会員料金が適用され、受講費3,000円+年会費2,000円の計 5,000円になります。会員登録につきましては、当研究所のホームページをご覧ください。

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■申し込み方法■
 までご連絡ください。
・講座のお申込みは、受講費のご入金を確認次第、完了となります。

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■申し込みおよび問い合わせ■
特定非営利活動法人 日本語教育研究所 
住所:〒102-0085 東京都千代田区六番町13-4 浅松ビル1F
URL:http://www.npo-nikken.com
TEL:03-3222-1761 FAX:03-3222-1762  
E-mail:

 

『漢字たまご』ヒント&ポイント

2012年6月25日に出版した『漢字たまご』は、使用場面を重視し、「できること」を明記した画期的な教材として、いろいろな方にお使いいただいています。少しでも使ってくださる方のヒントになれば・・・と思い、<ヒント&ポイント>をネット上に掲載することにいたしました。
使い方ですが、知りたいところにカーソルを合わせ、クリックしていただけると、PDFファイルが出てきます。
何かご質問がありましたら、いつでもご連絡ください。

嶋田和子   kazushimada@acras.jp

なお凡人社のホームページからも見ることができます。http://www.bonjinsha.com/kanjitamago/

『漢字たまご』
はじめに

【漢字たまご 初級について】
目次

本書の構成と使い方

内容構成表

漢字リスト
【ヒント&ポイント 初級】
第1課    第2課    第3課    第4課    第5課

第6課    漢字のパーツ     第7課    第8課

第9課    第10課   第11課   第12課   

第13課   第14課   第15課

 

【漢字たまご 初中級について】
目次 初中級

本書の構成と使い方 初中級

内容構成表 初中級

漢字リスト 初中級

 ※ 『漢字たまご 初中級』訂正箇所      『漢字たまご 初中級』115ページの図の訂正 pdf

 

【ヒント&ポイント 初中級】
第1課    第2課    第3課   第4課   第5課

漢字のパーツ   第6課   第7課  第8課   第9課  

第10課           第11課           第12課     第13課  第14課

第15課

アルク・凡人社主催「日本語教師塾」のお知らせ

7月21日(土)に、今年度第二弾『日本語教師塾」が開催されます。今回は、3本仕立ての豪華な研修です。(申し込み方法は、最後に記載されています)

       ♪    ♪    ♪

  • 昨年度6回連続講座「今さら聞けない…,日本語教師育成プロジェクト」が、「日本語教師塾」として今年度も開催することになりました。一方的な講義ではなく、参加者と講師、参加者どうしが意見を交わしながらの参加型講座です。日時:2012年7月21日(土)10:30~17:15(受付開始10:00)
    場所:アルク イベントホール(東京都杉並区永福町)
    定員:100名
    参加費:5,000円(税込)10:30-12:00 基調講演 「評価とプロフィシェンシー:ACTFL読技能の基準をめぐって」
    牧野成一先生(プリンストン大学教授)

    アメリカ外国語教育協会 (通称ACTFL)は外国語能力のアセスメントの為に1999年から使ってきた4技能に関するプロフィシェンシー・ガイドラインの改訂版を去年の11月に公表した。日本ではOPIが1989年に導入されて以来4技能のうち話すプロフィシェンシー基準はOPI(= Oral Proficiency Interview)との関係で知られてきたが、読むプロフィシェンシー基準 (Reading Proficiency Guidelines = RPGと略す) は全くと言っていいほど知られていない。そこで、RPGについて次の点を吟味してみたい。(1)骨組みは何か、(2)どのような習得の経路を示しているのか。(3)どのような読み教育を志向しているのか。(4)OPIのアセスメント法に対してRPCに基づくアセスメントはどのような読みテストによって可能になるのか、などについて考えてみたい。

    12:00-13:00 休憩

    13:00-15:00 ワークショップ① 「自己点検で教室改善!PDCAで見直そう」
    川端一博先生(公益財団法人 日本国際教育支援協会 事業部日本語教育普及課 作題主幹)

    地域の日本語教室では、さまざまな条件の中で,精一杯の取り組みがなされている。だが、これらの取組みを支える環境は、多くの場合必ずしも十分とは言えず、教室を運営する行政・団体・学習支援者等はその中での最善を模索している。本ワークショップでは、地域の日本語教室に関わる人々が、自らの状況を把握しながら、主体的に教室の改善や学習支援者自身の能力向上を図るための手段として、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)のサイクルを用いた自己点検について考えたい。

    15:00-15:15 休憩

    15:15-17:15 ワークショップ② 「読解力の測定法再考」
    伊東祐郎先生(東京外国語大学 留学生日本語教育センター センター長)

    日常生活で読むものは、新聞、手紙、小説やレポート、論文など多種多様である。読解力といっても何を読むかによって求められる力も異なってくる。また、文章は書き手の表現意図によって多様な文体や表現がある。事実を書き綴った事実文。あるテーマについての解説文。また、主張や反論など書き手の意見を述べた意見文。一方で、書き手の意思とは関係しない、説明文など実に様々である。読解力には、文の種類などを見分け、読み方を変えられる柔軟な能力も含まれる。本ワークショップでは、読解力を分析した上で読解力テストの作り方について理解を深めたい。

    主催:アルク・凡人社
    お問い合わせ・申し込み先(担当:凡人社坂井)
    E-mail:ksakai@bonjinsha.co.jp
    TEL:03-3263-3959 FAX:03-3263-3116
    ※ご参加申し込みの際はタイトルに「日本語教師塾Vol.2」と入れて、本文にご氏名・ご所属・ご連絡先をご記入ください。

       ♪    ♪    ♪

『できる日本語』研修会報告(6.29)

「模擬授業」の打ち合わせ

「模擬授業」の打ち合わせ

6月29日(金)の夜、『できる日本語』研修会を実施しました。今回は、一般に参加者を募る形式のものではなく、1年以上前から主教材として採用してくださっている「江戸カルチャー」の先生方10名を対象にした研修会でした。イーストウエスト日本語学校の先生方も7名参加、また、これから使ってみたいというA日本語学校の先生2名、アルクと凡人社のスタッフも加わり、20名を越える大人数の研修会となりました。

 

江戸カルチャーでは、『できる日本語 初級』が2011年4月に出版される前から『できる日本語』を使ってくださっていました。つまり「学内使用版」からのお付き合いです。「学習者の発話能力を伸ばす教科書として『できる日本語』を採用することにしました」という教務主任白石さんの言葉は、今も耳に残っています。まだ、正式に出版されていない、仮製本の形での『できる日本語初級』を採用してくださったのですから、感謝感激です。その時から、いつかは、こうした江戸カルチャーとイーストウエストの先生方で「対話」をしたいと願っていたのです。

 

実際には、既に何度か使っている人、初級レベル担当ではないため使用経験がない人など、さまざまな方がいらっしゃったため、『できる日本語』使用校同士の「対話」を進めるというスタイルではなく、説明会スタイルに近い形で進めていくことになりました。初めての方も『できる日本語』のコンセプトを理解しようと、真剣に話を聞いてくださっている姿がとても印象的でした。

 

最後には、出来たてほやほやの『漢字たまご』の説明をし、漢字学習について一緒に考えていただく時間を取りました。接触場面を大切にし、「できること」を明記した教材であり、学習者の自律性を重視しているという点に、多くの方が関心を持ってくださいました。

コンセプトの説明

コンセプトの説明

 

夜の実施であるため、2時間しか取れませんでしたが、終わってからアチコチで小さな輪が幾つもでき、「漢字学習」に燃えているグループ、本冊の使い方について夢中で話し合っているグループ、出版社の人に質問をしているグループ、思い思いに終了後のフリータイムを楽しんでいました。まさにそこでは私が求めていた「対話」の輪が広がっていました。

 

私の次なる夢は、『できる日本語』を使っているさまざまな日本語教育機関、地域の日本語教室などが集まって話し合いをすることです。既に、博多からは「こんな使い方をしています。いつか一緒に話し合いをしたいですね」というメールも頂いています。

また、将来、多様な機関から代表者を出し、刺激的なパネルディスカッションを企画したいと考えています。こうした活動を続けていくことで、「日本語教育・支援の現場のネットワーク」が、<点から線へ、そして面へ>と、どんどん広がっていくことでしょう。

 

今回は、大がかりな『できる日本語』研修会でしたが、実は、アクラスではいろいろな「ミニミニ研修会」を実施しています。例えば、先週はこんな方々が見えました。

『漢字たまご』の説明

『漢字たまご』の説明

○「ちょっと教えてください」と、横浜のA日本語教室から見えた二人連れ

○「採用を考えてるんですけど、ウチのような機関では、どういうふうに使ったらいいのかアドバイスが欲しくて……」という三人組

○「『できる日本語初級』の「できる!」ってどうやったらいいんでしょうか」と授業展開について質問にいらした日本語学校の非常勤の先生方

皆さま、『できる日本語』関連で、何かご希望がありましたら、どうぞアクラスまでご連絡ください。オーダーメードの研修会を企画致します。

 

 

「年少者の日本語教育」に関する研修会報告(6.28)

講師の志村ゆかりさん

講師の志村ゆかりさん

6月28日(木)の夜、「日本語を母語としない児童・生徒が抱える問題を考える―これから年少者日本語教育に関わる方に向けてー」というタイトルで、研修を行いました。講師は、一橋大学留学生センター非常勤の志村ゆかりさんです。志村さんは「双方向の研修会にしたいですね。参加した人がみんな自分のこととして考え、それぞれの事例を共有しながら、一緒に考えていくような時間にするつもりです」と事前に語ってくださいましたが、まさにその言葉通りの研修会となりました。
まず「本日のメニュー」として挙げられたのは、次の10項目でした。

1.彼らのビザ(在留資格)
2.来日の年齢と就学
3.日本語支援の態勢
4.彼らの学校生活と教科学習
5.彼らの家庭環境と生活環境
6.彼らの抱える問題と将来
7.年少者日本語教育の諸相
8.行政と草の根の連携
9.今後の課題
10.教科書の日本語を眺めてみる

項目ごとに話が進められましたが、講師が話をすると、すぐに受講者からさまざまな意見・体験談などが飛び出しました。それをみんなで共有し、さらに経験豊かな講師がコメントを加え、肉付けしながら話は展開していきました。志村さんの見事な運びに、改めて「経験に裏付けされたコメント力」の大切さを痛感させられました。「年少者の日本語支援は、みんな一つ一つ違うんです。来た時期、家庭環境、学習環境、いろいろな要因が複雑に絡み合っていて、事例はすべて異なります。それに丁寧に寄り添って支援していくことが重要です」という講師の言葉は、アクラスに集った方々の多様性と重なり合っていました。

みんな講師の話に夢中です

みんな講師の話に夢中です

コーヒーブレイクには、あちこちで自己紹介が始まり、それぞれの事例を熱く語り合ったり、先ほどの話し合いについてもう一度話し合ったり……。ワイワイガヤガヤ、あっという間に時間が過ぎてしまいました。今回は、インドから一時帰国のTさん、小学校の先生、日本語学校や大学で教えている人、地域日本語教室でボランティアをしている人、大学院で年少者日本語教育を研究している人等、参加者は実に多様です。
最後に、教科書の中にある日本語を見ていきながら、「教科につなげる日本語教育の重要性」「学校教員との連携の必要性」、さらには「彼らに合った教科書作りの大切さ」へと話題は展開していきました。講師である志村さんは、仲間と一緒に苦労して教科書作りを進めています。その一つが『数学サバイバル日本語』です。
   http://www.geocities.jp/wakamenokai_jsl/top/koredewakaru.html
このURLにアクセスすると、詳しい説明がありますので、ぜひ一度ご覧ください。ぜひ使ってみたいという方にはPDFで送ってくださるそうです。ここでは『数学サバイバル日本語』の特色を抜き書きして、お伝えしたいと思います。

   ♪  ♪  ♪

『数学サバイバル日本語』

『数学サバイバル日本語』

この本は、「数学は得意だけど、問題の日本語がよく分からなくて答えが出せない、または間違ってしまう」という生徒向けの練習帳です。
数学の典型的な問題を解きながら、数学教科書でよく使われる表現を勉強することができます。言い換えれば、同じ日本語がたくさん出てくるので、それらの表現に慣れることによって、本来の数学の力が発揮できるようになります。

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研修会後、幾つか感想メールを頂きました。
■志村ゆかり先生による「年少者のための日本語教育」、とてもよかったです!
現場の状況をリアルに知ることができて、興味が深まる一方、実情の深刻さに胸が痛みました。でも、志村先生をはじめ、そのジャンルにあたられている方々のパワーと心の熱さに打たれて、自分にできることはなんだろうと思いながら帰りました。

■私が考えていたより、ずっと現場は大変なんだということがよく分かりました。留学生だけを教えていた私には、見えていないものがたくさんあるんだ、ということを改めて感じました。でも、今の私には何ができるんでしょうか。少しじっくり考える必要があるんですが、まずは近くの日本語教室に飛び込んで行きたい気もしています。

そして、講師からは「様々な背景の方々がそれぞれの感想を抱いてくださったことに、これからもがんばるエネルギーをいただきました」というメールが早速届きました。

地域の日本語教室で年少者の日本語教育・支援に長く関わってきた志村さんは、「日本語を母語としない児童・生徒がどんな問題を抱えているのかを、もっともっと多くの人に知ってもらい、ネットワークを作り、支援の輪を広げていきたい」という思いで、この研修を引き受けてくださいました。その思いが一人一人の心に届いた研修会でした。

参考資料①

参考資料①

参考資料②