「第8回なかの多文化共生フォーラム」に参加して~コロナ禍で活動し続ける「山脇ゼミ」!~

12月9日、ZOOMにて「第8回なかの多文化共生フォーラム~多様性のあるやさしいまちを目指して~」に参加しました。表紙フォーラムの主催は明治大学国際日本学部の山脇ゼミの皆さんです。山脇ゼミの方々の活動には、今年も何度か参加したり、拝見したりしてきましたが、今日のフォーラムは「この1年の総決算」といった位置づけでした。

新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けて始まった2020年度。彼らは、実にアクティブに、仲間と力を合わせて、地域社会とともに歩み続けていたことに感嘆しました。それぞれのチームがテーマを決め、地域の人々との「対話」を重ねながら進めていったことは、素晴らしいことだと思います。そして、その活動の中心あるのが「多文化共生まちづくり」であり、「自分らしく、あなたらしく」を合言葉に進めている点が、見事です。

 

 

全体は2部構成で、次のようになっています。

第1部 「山脇ゼミの活動報告」
第2部 「おしゃべり喫茶~やさしい日本語で交流しましょう!~」

第1部について、ちょっと紹介したいと思います。プログラムを見ると、今年1年の活動がいかに多岐にわたり、充実したものだったかがよくわかります。コロナ禍で制約の多い中、オンラインを駆使し、作り上げてきたネットワークを活用して「中野区に暮らす外国人にとって住みやすい町づくり」をめざし続けた1年でした。

① 国民健康保険動画
② コロナ関連動画
③ 小学生向け多文化共生ワークショップ
④ 中野区長と外国人住民の懇談会
⑤ Camel日本語学習動画
⑥ 在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン動画
⑦ やさしい日本語市場「やさいち」
⑧ ダイバーシティ プレゼンコンテスト

まず、これだけのものを、いくつものチームに分かれて実施してきたことに感動しました。アイディアを出し合い、メンバー間

フォーラム開始直前のゼミ生達(写真提供:山脇さん)

フォーラム開始直前のゼミ生達(写真提供:山脇さん)

で「対話」を重ねながら企画、実施していき、さらにはフォーラムで全体をまとめて発信するというすごさ。コロナ禍で内向きになるのではなく、こんな時だからこそ「大学生の自分達にできることは何か」を考え、人とのつながりを大切にしながら主体的に行動する若者の姿を見て、胸が熱くなりました。

国民健康保険動画は、大学生が中野区役所の職員の方と話をする中で生まれました。

中野区には130カ国の外国人が暮らしているけれど、言語が壁となって住民の
窓口での対応に困っている。繁忙期には、窓口が混雑して大変なので、何とか
したい。

それを聞いた大学生は、「そうだ!ここは『やさしい日本語』の出番だ!」と思ったと言います。とはいえ、あまり言葉をかみ砕いてしまうと、区役所が伝えたい情報としての正確さが失われてしまう恐れがあります。そこで、また仲間との話し合いが始まり、検討を重ねながら動画を作成していきました。作品は、以下のとおりです。

https://www.meiji.ac.jp/nippon/info/2020/6t5h7p0000347eoy.html

国民健康保険(1)-国民健康保険ってなーに?
国民健康保険(2)-加入手続き編
国民健康保険(3)-保険料編
国民健康保険(4)-Q&A編

②コロナ関連動画、⑤Camel日本語学習動画、⑥在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン動画、これらの動画もすべて明治大学のサイトから閲覧可能ですので、ぜひご覧ください。こうした動画は、いつでも、誰でも見ることができる良さがあります。そして、山脇ゼミの次の代へと繋がっていくことができ、今後さらに「動画コレクション」が充実していくことが大いに期待されます。

今回、多文化共生フォーラムに参加した感想を述べたいと思います。

フォーラムの進行も、うまくデザインされた、見事なものでした。

フォーラムの進行も、うまくデザインされた、見事なものでした。

≪活動の振り返り≫
活動をして終わりではなく、もう一度振り返りをし、さらに外に向けて発信している点は、素晴らしいと思いました。
≪チーム間のつながり≫
それぞれのチームに分かれて活動して完結・・・ではなく、それを全体としてタテ
糸、ヨコ糸でつないでいる点が見事でした。こうした知見の共有、活性化があって
こそ、次へのエネルギーが生まれるのだと思います。

≪地域社会の巻き込み≫
中野区役所・中野区民をはじめ、さまざまな人を巻き込み、さらに輪を広げている
点も素晴らしいと思いました。作成段階で区役所の方々との話し合い、また、フォーラムにも中野区長、中野区国際交流協会の方々をはじめ、さまざまな方々が参加をなさっていました。

≪小学生への働きかけ≫
小学生対象のワークショップをするなど、働きかける対象を広げていることにも驚
きました。活動報告の中では「これから中野区の小学校を一つずつ回っていきたい」
という抱負も語られていました。

≪2019年プレゼンコンテストでの発表の実現≫
前年度のプレゼンコンテスト(東京都主催)で「来年度は、<やさしい日本語市場:
やさいち>を開催する」と発表しましたが、コロナ禍にもめげず、ZOOMを活用
して、大々的に実施したことには、驚きました。このイベントは、まさに地域社会
を大きく巻き込んでの実施となりました。

コロナ禍で閉塞感が漂う日本社会で、キャンパスに集えないことから孤独に陥る大学生が増えている中で、こんなに生き生きとチームで活動しているゼミ生たち!これからもどんどん地域社会の中で活動していってくれることを願っています。

最後に、プログラムにあった<フォーラムのテーマ「多文化共生」について>を紹介して締めくくります。

無題

 

 

参考資料:

 

明治大学山脇ゼミ主催「中野区長&外国人住民『コロナから考える緊急時の外国人住民への対応』(2020.7)

    http://www.acras.jp/?p=9967

東京都主催「多文化共生プレゼンコンテスト」~大学生が「多文化共生都市」をめざして具体的な提案~(2019.11)

http://www.acras.jp/?p=9019

 

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