海外だより<コロナ禍に向き合う>第10回「ロシア(モスクワ)の現場から①」(金城亘さん:2020.6.30)

海外だより<コロナ禍に向き合う>第10回

「ロシア(モスクワ)の現場から①」(金城亘さん:2020.6.30)

 

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は世界中に広がっています。   

それぞれの国・地域では取り組み方も違えば、人々の行動の仕方も違います。   

そこで、海外で暮らし活動をしていらっしゃる方々から、「現状、取り組み方、

特長など」について伝えていただきたいと考えました。

                   ・

ロシアに関しては、以下のように2回に分けて報告します。

・モスクワ      金城亘さん

・エカテリンブルグ  ポポーワ・ユーリアさん

                        

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海外だより<コロナ禍に向き合う>「ロシア(モスクワ)の現場から」

レポーター:金城亘

    

今回は、ロシアでの新型コロナウイルスの影響とそれに伴う日本語教育の変化について2回に分けて書きたいと思います。
モスクワで使われた電子通行証

モスクワで使われた電子通行証

第1回は、モスクワの日本語学校で働く金城がコロナ禍のモスクワの現状について報告します。

 

現在のロシアにおける新型コロナの感染拡大

今や、全世界的に猛威を振るうコロナウイルスですが、ロシアでは2月の段階でアジアで流行している疫病の一つといった認識でした。

しかし、3月に入り、イタリアをはじめとするヨーロッパ諸国での感染拡大が始まるとロシアでも少しずつ感染者が増え始め、5月に入ってからは毎日1万人ベースで新たな感染者が報告されるようになり、現在(6月末)では、感染者数が60万人を超えています。

 

ロシアの新型コロナ対策(モスクワ)

モスクワにおける新型コロナの対策は、かなり厳しく行われました。

不要不急の外出禁止はもちろんのこと、4月15日からはモスクワ市及びモスクワ州内での自家用車及び公共交通機関を利用した移動に際し,電子通行証の所持が義務となりました。もし、許可証がなく外出すると4000ルーブル(6000円ほど) 以上の罰金が科されたようです。

 

電子通行証は目的別に種類が分かれており,通勤用は1回の手続きで、ある程度の期間で有効な通行証が交付され移動の回数は制限されませんが、外出用は毎回事前にネットでの事前申請が必要で、1人あたり1週間に2回まで申請可能という制限がありました。

当初、3月28日から4月5日までを自粛期間に指定しましたが、政府の厳しい対策を他所に感染者数は増え続け、最終的には6月9日まで自粛要請は続きました。

6月9日から段階的に制限を解除し、23日にはレストラン、バー等の再開も許可されました。

もちろん、ソーシャル・ディスタンスを保つことと,公共施設,公共交通機関等ではマスク・手袋着用が必須とされています。

6月24日にモスクワで行われた軍事パレードの様子

6月24日にモスクワで行われた軍事パレードの様子

また、毎年必ず5月9日の戦勝記念日にモスクワで開催されている軍事パレードも今年は延期になり、6月24日に行われました。

 

日本語授業のオンライン対応(モスクワ)

コロナ禍におけるモスクワの日本語教育のオンライン対応についてですが、私は民間の日本語学校での対応について書きたいと思います。

日本語学校に限らず、ロシアの教育機関は小学校から大学までそのほとんどがオンラインに対応し、自粛期間中も授業や試験は行われています。

 

私の勤める日本語学校でもSkype、zoom等のビデオチャットを活用しながら授業を継続しています。

やはり、当初は教える側としては生徒の表情が見えない分、授業進行においてやりづらさを感じましたが、数をこなすうちにコツが掴めて慣れてきました。

 

実際、学生のオンライン授業への感想は千差万別ですが、概ねの人がオンラインに満足しているようです。

自粛期間は既に過ぎましたが、未だ教室での授業は再開されてはいません。

コロナ前は、ロシアでオンラインスクールというと講義をビデオに撮り教材として販売するものが多かったのですが、現在はオフラインだけでやっていた日本語学校が授業をそのままオンラインに移行した形が増えています。

自粛期間中は洗浄車が稼働していました。

自粛期間中は洗浄車が稼働していました。

 

そんな授業のオンライン化が加速する中で避けて通れないのがSNSの活用だと思われます。

ロシアでも特にinstagramやYoutubeはよく企業の広告として活用されています。

事実、ロシアで自粛期間中はそういった媒体で情報発信をする日本語学校や日本語教師もかなり増えている印象です。

 

かくいう私も自粛期間中、自分にできることを考えて日本のことわざや、オノマトペなどを得意のイラストを通してinstagramで発信中です。

 

下記、私の運営しているインスタグラムのURLです。

今後のみなさんの情報発信で参考になれたら幸いです。

https://instagram.com/wataru.nihongo?igshid=1f6d7706rit1

 

 参考

「ロシア(エカテリンブルグ)の現場から②」

  ポポーワ・ユーリヤさん(2020.7.9)

   http://www.acras.jp/?p=10039

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