2017年年末に、第103回ACTFL-OPIワークショップが開催されました。今回も、参加動機として「教育実践に活かしたい」ということが多く書かれていました。実は、今回のワークショップは、お二人の受講予定者が開始直前に、事故や個人的なご事情などによって参加できなくなるという、今までにない事態となりました。残念なスタートとなりましたが、みんなで「お二人の分も頑張りましょう!」という思いで進めた4日間でした。
こうした事情から、今回は「ワークショップ中、3回インタビューをすることの意義」について参加者から頂いたコメントをもとに、レポートをお送りすることにします。
なぜ、「インタビュー回数」を取り上げたレポートにするかというと、「いかにワークショップ中にインタビューを経験することが大切か」について、広く知っていただきたいと思ったからなのです。実は、ACTFLでは、数年前から新しいワークショップ形態に移行しました。つまり、2日間はレイティングを学び、後半参加者1人につき1回だけインタビュー実技をする形となります。詳しくは、2015年8月のアクラス記事をご覧ください。
これまで、アルクのOPIワークショップでは、必ず1人2回ずつインタビュー実技をするということで実施されてきました。
1回目は、無我夢中でOPIインタビューをしますが、第二ラウンドともなると、1回目の経験に加え、仲間のインタビューを見たり、クリティカルに分析することで、ぐんと力がつき、見違えるようなインタビューとなります。ワークショップで、みんなでワイワイ意見を言い合う中での「OPI練習インタビュー」だからこそ、気づきも多く、これは教師力アップにもつながると言えます。
しかし、新方式を提案されたことから、アルク実施のワークショップに関しても、新方式にするか否かについて、トレーナー間で話し合いをしました。
その結果、「2回インタビュー実技がある形のほうがインタビュー力を付けることができる」という理由から、これまで通りの形式でワークショップを実施することになりました。
そして、今回多くの方が3回実施するというワークショップとなり、複数回実施することの意義をさらに感じました。そこで、ぜひ生の声をお伝えしたいと考えました。
♪ ♪ ♪
3回のデモインタビューを通して感じたこと
■A
今回、嶋田和子先生によるOPIワークショップにおいて、私は練習デモインタビューを3回行うことができました。3回のデモを通して感じたことは以下の通りです。
まず、インタビューは、回を重ねるごとに理解が深まり、コツがつかめるようになるということは明白ですが、3回デモインタビューを行うことで、どの参加者も見違えるほどに変化、成長しました。どのような成長が見られたか、自分自身の経験も含めてもう少し詳しくお話しします。
1回目のインタビューではほとんど何もわからない状態でインタビューを行なったのですが、参加者の皆さんからの指摘や意見をもらうことで、インタビューの問題点だけでなく、自分の特徴は何かを発見することができました。ここでは、普段の授業の自分がどうであるかという点についても考えることができ、OPIの反省点が出てきました。
2回目では1回目の反省点を生かして取り組みましたが、また新たに問題点が出てきました。特に、2回目では質問の内容、質問をしながらの暫定的レベル判定を行うこと、レベルにあった質問をすることが課題として挙がりました。
そして私は3回目を行いましたが、3回目も2回目のインタビューのフィードバックで出てきた反省点、改善点を反映したインタビューを意識しました。特に突き上げとシーリングチェックを意識したインタビューを心がけましたが、もし2回しかインタビューの機会がなかったら、これほど段階的に問題点を改善しながらインタビューをすることができなかったと思います。
また、3回ともレベルが異なる被験者で、それぞれのレベルでどのような発話があるのかや、質問をどう出すかを体験することができたのは非常に有益でした。外から見ているのと実際にインタビューを行うのは大きく違うということを感じ、その点でもやはりインタビューの回数を重ねることが重要だと感じました。
自分のインタビュー内容について3回も皆さんからいろいろな意見をいただけ、本当に自分の身になる有意義なワークショップでした。もし時間が許すのであれば、できる限りインタビューの回数を多くした今回のようなワークショップが理想なのではないかと思います。
■B
【1回目】
ウォームアップで十分な情報収集ができず、
また、フロアの見極めが弱く、話題を螺旋状につなぎ、
【2回目】
ウォームアップのレベルアップはあまり図れなかったが、
つなげることができ、質問の質が少し上がった。しかし、
の最中にできないため、ストラテジーが不安定であった。
【3回目】
ウォームアップでやっと少しコツがつかめ、
課題は残るものの、インタビュー中にフロアの確立ができ、
ことができるようになった。
ワークショップ終了後にこの3回のインタビューを聞き直して、
成長が顕著にわかりました。3回でもまだ足りないくらいですが、
学んだ経験をもとに、練習ラウンドに進みたいと思います。
・
■C
私は今回のワークショップで、
1回目では、
・
2回目のインタビューは、
た。
・
3回目のインタビューは、1回目、
・
■D
今年、ようやくOPIのワークショップに参加することができました。時に厳しく、そして優しさあふれる嶋田先生のご指導を受けることができ、素晴らしい仲間にも恵まれ、想像もできなかったほどの成果を実感しています。
事前に送られてきたマニュアルやその他の出版物から、ある程度の知識を持ってワークショップに臨んだつもりでしたが、被験者の学生を相手に演習をしてみると、まったく勝手が違いました。まず1回目の演習では、被験者の発話が完了する前に毎回のように声をかぶせたり質問を始めたりして、また自らのその欠点にも途中で気づき、愕然としました。そして、演習を経験した後でマニュアルと読むと、内容がより具体的に理解できました。
また、クラスメートの演習を間近で聞けたことも非常にいい経験になりました。何回か聞くうち次第に被験者の発話を冷静に聞けるようになり、「スパイラルで上げていくには、ここではどういう質問がいいだろう」と考えながら聞くようになりました。
さらに、トレーナーのデモンストレーションを含めて23人の被験者の発話を聞けたことも大変勉強になりました。ほとんどの演習でクラス内の判定が割れましたが、質問と被験者の発話の分析を通じて判定基準と質問の重要性についての理解が深まり、非常に有意義でした。
そして何より私たち参加者にとって、複数回の演習の機会があったことは本当に良かったと思います。私は1回目の失敗で落ち込みましたが、先生のアドバイスを受けて、2回目の演習では被験者の発話を待つことを肝に命じて臨んだために、少しはましにできたように思います。クラスメートも1回目より落ち着いて演習をしていたように見え、互いの学びがより深まったと思います。
今回このワークショップで学んだことをこれから整理して知識からスキルに高め、学習者の能力を最大限に引き出せる質問とは何か、学習者に寄り添った質問とは何かを常に考え、自分の引き出しを増やして、学習者に「なぜか気持ち良く話せた」と思ってもらえるようなインタビューを目指します。
■E
1回目は被験者とのラポール作りで精いっぱい、2回目に「
■F
<1回目>
導入部から終結部までの流れ、時間管理で頭がいっぱいになり、インタビュー中、冷静に被験者の話を聞いてレベルチェックすることが全くできませんでした。導入部では、ラポール作りもあまり上手くいかず、また、情報も思ったように収集することができませんでした。質問も1問1答のようになってしまい、被験者の発話から螺旋状に突き上げることに全く意識が向けられませんでした。とにかく、「質問しなければ!」ということばかり考えてしまい、上手く発話を引き出すこともできませんでした。そのせいか、ロールプレイの段階で緊張が解けてしまい、こちらの発話がとても多くなってしまいました。
<2回目>
1回目の反省点を踏まえ、被験者の発話から突き上げることを心がけて挑みました。そして、導入部の情報収集や上級への突き上げの質問が少しできるようになりました。しかし、超級への適切な突き上げが全く思いつかずに苦労しました。1回目よりは冷静に被験者の発話を聞いて、レベルチェックをしながら取り組むことができましたが、「突き上げ」の難しさをとにかく感じました。
<3回目>
2回目の反省点を踏まえ、超級レベルへの突き上げの質問を心がけました。そして、インタビュー中、被験者の発話から「意見」「反論」「仮定」へどうやって持っていったらいいか、冷静に考えて質問することができました。そして、注意はしていたつもりでしたが、3回目にして初めて被験者の心理面への注意の重要性を強く感じました。
3回のデモインタビューを通して、回を重ねるごとに新たな課題が出てきたり、気づきがあったりしました。そして、WS参加者全員がインタビューする度に目に見えて上達しているのが実感できました。また、インタビューを他の方に聞いていただき、たくさんのアドバイスをいただけたのも大きな収穫でした。