日本語教育振興協会は、2月3日に「平成26年度日本語教育機関実態調査(平成26年7月1日現在)」を公開しました。http://www.nisshinkyo.org/N-news/pdf/20150203s.gaikyo.pdfそれによると、ここ数年急増していたベトナム人、ネパール人、スリランカ出身の学習者数がさらに増えていることが分かります。学習者数総数も、以下のように昨年より増加しています。
2013年7月1日現在 37,918人
↓
2014年7月1日現在 43,667人
一方、2008年には1万人いた韓国人留学生は減り続け、昨年の集計では2千人余という結果となりました。また、中国人留学生数も4年連続マイナスとなっています。
※中国、韓国、ベトナム出身者数のみ、数値を入れました。
【グラフ1】
グラフ1を見ると、ここ5,6年の間に学習者の出身国・地域が大きく変化しているかがよくわかります。これは、日本語学校におけるデータですが、大学等においても1,2年後には同様の現象が生じるのは、必至です。実は、専門学校では、平成26年度の調査で、明確にその傾向が出ています。表1「平成25年度国別進学先内訳」と、表2「平成26年度告別進学先内訳」とを並べて見てください。
【表1】
【表2】
こうした時こそ、学習者の変化をしっかりと把握し、「彼らは何のために日本語を学ぶのか」といったことにもしっかりと目を向け、「学ぶこと・教えること」に向き合っていかなければなりません。しかし、突然の現場の大きな変化にどう対応したらよいのか、日々の実践の中でもがき、疲弊している日本語教師の声を、以前にも増して耳にします。まずは、旧態依然とした「知識を教え込む」というやり方を変えることが重要です。また、出身国・地域による学習スタイルや特徴の違いを把握し、柔軟に授業展開ができる力が求められてきます。
こうした、一人ひとりの教師の努力によって解決すべきこともありますが、一方で学校全体、日本語学校全体、いや日本語教育全体で考えていくべき課題も山積しています。日本語学校のマクロの視点が欠けた学生募集、確固たるビジョンのない留学生政策・外国人受け入れ政策・・・・・・そろそろみんなで真剣に課題に向き合わなければ、10年後、20年後、取り返しのつかない状態になってしまいます。今こそ、日本語学校、専門学校、大学が連携し、本音で話し合い、「タテ・ヨコの意味のある絆」づくりが求められているのではないでしょうか。
最後に、1991年から2014年までの日本語学校における学習者の変化を記しておきます。大きな増減カーブが何を意味するのか、じっくり考えることが重要なのではないでしょうか。
【グラフ2】
※日本語教育振興協会に加盟していない日本語学校、アンケートに回答をしなかった日本語学校などもあることを考えると、学習者数はさらに増えることが予想されます。本来、法務省の告示なども調べるべきところですが、とりあえず2月3日に提示された日本語教育振興協会のデータをもとに、グラフ・表を作成しました。
日本語教育機関における学習者の出身国・地域
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