「日本の料理を留学生に食べさせたい!」と、地元の方々が年末パーティに参加

12月19日は、東中野にあるイーストウエスト日本語学校の恒例年末パーティーでした。

チジミを作る学生達

チジミを作る学生達

今年は少しでもゆったり動き回れるようにと、午前部と午後部に分かれて実施しましたが、料理を作る教室はどこも超入り満員。韓国料理、台湾料理、ネパール料理、ベトナム料理・・・とさまざまなお料理がその場で作られていました。できるとすぐに留学生の手が伸び、瞬く間になくなってしまい、お皿を手にクラスを超え、出身国・地域を超え、あちこちで「対話」が生まれていました。

 

 

「おいしい!私の国のぎょうざと違うよ」

「いいね。どうやって作る?」

ビジターセッションで知り合いになった留学生達と

ビジターセッションで知り合いになった留学生達と

「うん、辛いけど、おいしい」

 

 

さて、今年はすてきな新しい試みが始まりました。ご近所「なでしこ会」の方々が自宅でお料理を作って、持ってきてくださったのです。今回作ってくださったメンバー4人は、79歳から87歳、お料理は、「お赤飯」「ほうれん草のごま和え」「なます」「きんぴらごぼう」の4種類です。

 

4種類のお料理と和紙で作った小物どれも大好評で、あっと言う間になくなってしまいました。すべての料理がなくなって、人の波が引いたあとは、日本のお料理のこと、日本のお正月のこと、自分の留学生活のこと、いろいろなことについて話し込んでいく学生達もいました。

また、数週間前に、『できる日本語中級』の授業でお会いした学生達は、「久しぶりで~~す!」と近寄ってワイワイガヤガヤ……。今週火曜日に「なでしこ会」にお邪魔した3人は、「和菓子、おいしかったです! どうぞみんなで作ったチヂミ、召し上がってください」と、お皿に盛りつけていました。

 

では、ここで彼らが語ってくれた日本料理の感想をお伝えしましょう。

 

A: 先生、おいしかった。いつも日本の料理食べたいと思っていたけど、これ全部初めて。おいしいですね。

B: お赤飯、おいしい!こんなご飯があるんですね。

C: これは、ええと・・・。そうそう「なます」、おいしかったです。

D: スーパーで見てたけど、買ったことなかったから、今度買ってみます。

「なます」も大人気でした

 

「なでしこ会」の方の中には、最近は「高齢だから、自分で料理をするのはやめたんですよ」という方もいらっしゃいましたが、「昔、あんなにお料理が上手だったんだから、ぜひ!」という仲間の声かけに、予行演習をしてまで臨んだ方もいらっしゃいました。

そして、終わってからおっしゃった言葉がとても印象に残りました。

 

「私の料理、まずくなったかと思ったけど、みんながおいしい、おいしいって食べてくれてまた自信が出てきました。先生、来年も来ますからね」

 

「外国の人がこんなに私の作ったお赤飯を喜んでくれるとは思ってなかった。全部なくなっちゃって~~~。嬉しいです。」

 

「ネパールのカレーチキン、おいしいですね。こんな年になっても、いろんな国の人と料理で交流できるって、いいですね!」

 

会の世話人をしているムンさんは、次のように語ってくださいました。

 

みんなで協力して、それぞれのお皿に入れてあげています

みんなで協力して、それぞれのお皿に入れてあげています

「おばあさん達にとって、こうしてみんなと交流できることは、とても幸せです。人のために料理をする・・・ってこと、最近やっていなかったので、こんなにたくさん作って、こんなに大勢の人に喜んでもらえるのは、すごくいい経験です。留学生にとっても楽しい経験だし、こうした交流がさりげなく行えるようにしたいですね」

 

夜、ムンさんから電話を頂きました。「さぞかしお疲れになられたでしょうね」と言う私に返ってきた言葉は・・・。

 

「先生、おばあさん達、帰り道にすれ違った午後クラスの学生さん達を見て、『あっ、そうか。午後もパーティーがあるんだ。来年は、午後の学生さん達にも食べさせてたい』って言うんですよ。今年の倍の量になるから大変ですよ、って言ったんですけど、大丈夫、大丈夫って。もう大張り切りですよ」

 

次の「なでしこ会」の方々の登場は、卒業式での「なでしこ作文コンテスト」表彰式です。壇上に上がった方々のお顔は昨年以上に輝いていらっしゃることでしょう。私は、第一回の表彰式の時に「なでしこ会メンバー」の方がおっしゃった言葉を感慨深く思い出していました。

 

「先生、今日はこんなお役をさせてくださって、ありがとうございました。私、檀上に上るなんて、女学校以来ですよ。昨日は何だかドキドキしたり、わくわくしたり~~~。こんな「晴れの舞台」、この年になってやらせていただくなんて……。また、生きる張りが出てきましたよ」

 

地域社会との絆を大切にし、双方向で、持続性のある「人間交流」を大切にした日本語教育が、各地で広がっていくことを願わずにはいられません。

終わって記念撮影

参考記事:

『できる日本語 中級』第7課〈世代を超えて〉の実践例  http://www.acras.jp/?p=3552

 

留学生、近所のお宅を訪問して―『できる日本語中級』<世代を超えて>実践第二弾 http://www.acras.jp/?p=3612

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