『できる日本語 中級』の第7課「世代を超えた交流」の行動目標は「異なる背景を持つ人々との交流を通して自分の視野を広げることができる」です。そして、【できる!】は次のようになっています。
「ボランティアやサークル活動などいろいろな人と交流できる活動に参加しましょう。世代の違う人と交流して感じたことや考えたことを周りの人に伝えましょう。」
日本語学校に通う留学生達も「日本社会に暮らす生活者」であり、さまざまな人と出会うことで、より広く、深く学ぶことができます。そのためにも「地域社会との連携の中で学ぶ日本語」をめざすことが重要であると言えます。
イーストウエスト日本語学校のある中級クラスでは、地元の「なでしこ会」のメンバーとの交流授業を楽しみました。「なでしこ会」についてはこれまでも何回も記事にしてきましたが、還暦を過ぎた方から90歳まで(平均年齢80歳?)の方が毎週集まり布巾作りをし、その収益を留学生達などのために活用してくださっているグループです。イーストウエストでは、「なでしこ作文コンテスト」を毎年実施してくださっています。
さて、今回は、事前にいろいろ打ち合わせた結果、ただ話し合いをするだけではなく、授業の中で留学生に「日本のお宅訪問マナー」を知ってもらい、できれば後日「日本人の家を訪ねる」という体験をしてもらおうということになりました。
学校には和室もなく、お座布団もありません。まずは教室にゴザやビニールシートを敷き、「にわか和室」の出現!(本当は簡易畳を敷く予定だったのですが・・・)。お座布団はご近所の方が「このお座布団、結婚の時に持ってきたものの、大切にしまっていてまだ使ったことがないんですよ。こんな時に使ってもらえたら、嬉しいですよ。もう何十年も押入れに入ったまま。きっとお座布団も喜ぶことでしょう」と、ふかふかのお座布団を貸してくださいました。お茶を飲むマナーも伝えたいのですが、学校には蓋付きのお茶碗はありません。そこで、「なでしこ会」の方がお茶碗を持ち込んでの実演と相成りました。
お辞儀を練習したり、日本語の表現を学んだり・・・・・・。ワイワイガヤガヤ、楽しい「訪問マナー」の授業が始まりました。写真をお見せしながら、当日の雰囲気をお伝えしたいと思います。
こうした「訪問マナー体験」が終わってからは、なでしこ会の方を囲んで和やかな「会話タイム」となりました。
授業終了後、学習者は「振り返りシート」を書き込み、それを「なでしこ会」の方にお渡ししました。その後、次の第8課「気持ちを伝える」の【できる!】につなげて、何人かの学習者は「なでしこ会」の方にお礼の葉書を差し上げました。
8課【できる!】
「いつもお世話になっている人に感謝の気持ちを伝える、いつもより
元気のない友達を励ます、迷惑をかけた人に謝るなど、自分の今の
気持ちを状況に合った手段で伝えましょう。」