2月アクラス研修のご報告「『やさしく伝える』ためのさまざまな工夫」

 

講師の宇佐美洋さん

講師の宇佐美洋さん

2月11日(火)、宇佐美洋さんによるアクラス研修が行われました。アクラスでは、どの研修会も参加者との対話を大切にして実施していますが、今回は特にワークショップ形式ということもあり、部屋は熱気に包まれ、途中でエアコンを切っての作業となりました。

テーマは、「『やさしく伝える』ためのさまざまな工夫」、題材は「家電リサイクルについて」というWEB上に掲載された文章です。「ワークシート」を使用して、「理解困難個所」とその「改善案」を各自が書き出す作業から始まりました。そのあとは、3~4人のグループに分かれて、「対話」を通して1枚のチラシに作り上げていきました。

最初の説明タイム、そのあとは作業に入りました

最初の説明タイム、そのあとは作業に入りました

チラシ完成後は、各グループで代表者を決め、代表者だけがグループに残り、あとのメンバーはほかのグループに移って説明を聞くことになりました。残った代表者は、3分間で自分たちが作成したチラシをもとに説明をするのですが、他のグループから来た人たちは、わからない所、疑問点などを質問していきます。いかに「他者に的確に、わかりやすく伝えることが難しいか」を体験することができ、作成グループでは思いもつかなかった点に気付かされ、「さまざまな人との対話」による学びの大切さを皆が体験することになりました。こうしたワールドカフェは、今ではあちこちで始まっていますが、初めて体験する方も多く、その魅力にどっぷり浸かっていきました。

「やさしい日本語」にするというのは、単に「難しい表現をやさしい表現に変えればいい」のではなく、「何のために、どう伝えるのか」といった視点が重要です。その上で、情報を構造化して伝えていくことが求められます。その時には、情報発信側の視点だけではなく、常に相手の視点で見ていかなければなりません。たとえば、日本では当たり前になっている「リサイクル」という考え方が、国によってはその概念そのものが存在しないこともあります。「そのことを、どう取り扱うのが適切なのか」といった点でも、それぞれグループによって「チラシ」の作り方は大きく違ってきました。

話し合いながら「チラシ」作成を・・・

話し合いながら「チラシ」作成を・・・

終わってからの参加者からのコメントを少しご紹介したいと思います。

◆今回、「使う側から見ること」の大切さを改めて感じました。自分は、学習者の立場に立って実践をやっているつもりでしたが、まだまだ相手の立場で考えるという点で足りないということに気付きました。

◆みんなでまとめた物を、他の人達からさらに意見をもらうことが如何に大切かがよくわかりました。

◆自分たちとしては「完成させた(つもりの)チラシ」でしたが、他のメンバーの意見を聞いて、いかに足りないか、わかりにくいかがよく見えてきました。

◆最初の一人でやる作業の時には、難しい用語を拾って易しくすることばかりやっていました。そうではなく、情報を階層に分けて切り分けていくなど、さまざまな方法があることに気付きました。

熱心に意見交換を・・・

熱心に意見交換を・・・

◆人というのは、自分が読んだものからなかなか離れられない、捉われてしまう。自分の読みを更新することは難しいということがわかりました。

◆チラシを作るときに、3人で話し合っただけでもいろんな議論が出ましたが、皆で共有することで、さらに広がりました。リサイクルの概念から入ったいったほうがいいのか、即機能から入って最後に概念的なことを入れるのか・・・いろいろあることがわかりました。それは、人によっても、状況によっても違ってくるでしょうし~~~。人と話すことで学べることを改めて感じました。

2時間のワークショップが終わってからは、アクラスで懇親会を実施しました。ビールで乾杯をしたあとは、赤白ワインや日本酒・・・・・・、とたっぷりお酒を愉しみながら、話に花が咲きました。今回も、大阪、奈良からもご参加があり、有意義な交流の場、対話の場となり、和やかなうちに閉会となりました。

研修のお知らせ → http://www.acras.jp/?p=2188

当日使用した資料 

.ワークショップ指示文  書き換え指示文 

2.「家電リサイクル」について 書き換えオリジナル文

3.ワークシート 書き換えワークシート

ワークショップ終了後は、続いてアクラスで「飲み会」

ワークショップ終了後は、続いてアクラスで「飲み会」

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