「ドナルド・キーン・センター柏崎」オープン~柏崎から日本文化の発信を!

 

くす玉割りで(2013.9.20)

くす玉割りで(2013.9.20)

9月21日、新潟県柏崎市に「ドナルド・キーン・センター柏崎」がオープンしました。このセンターは、公益財団法人ブルボン吉田記念財団が、キーンさんとの絆を大切に温めながら構想を練り、多くの方々との協働によって生まれました。

キーンさんのニューヨークの書斎も復元されています。できるだけその当時の香りを残したいと、多様な工夫がなされています。そして、1,800冊の蔵書が並べられており、貴重な資料なども展示されています。このセンターの大きな特徴の一つは、充実した映像ライブラリーであり、40本を超える映像作品があるそうです。

サプライズ「文部科学大臣賞」2013.9.21

サプライズ「文部科学大臣賞」2013.9.21

式典には下村文部科学大臣も出席され、「世界中に日本文化・日本文学を発信したこと」に感謝し、式典のサプライズとして「文部科学大臣賞」がキーンさんに贈られました。では、キーンさんと柏崎との出会い、キーンさんのメッセージなどをお伝えします。

■キーンさんと柏崎との出会い~
「常設展示図録」には、次のように書かれています。

「未曾有の被害をもたらした3.11東日本大震災後に、ドナルド・キーンは日本人となる決意を表明、震災に打ちのめされた日本人への大きなエールとなりました。

書斎に並ぶキーンさんの愛読書[内覧会:2013.9.20)

書斎に並ぶキーンさんの愛読書[内覧会:2013.9.20)

思い起こせば柏崎市民とキーン先生の出会いもまた、2000年7月に発生した中越沖地震に遡ります。震度6強の地震に見舞われた柏崎市民が絶望の淵で生きる希望を失いかけ、復興の厳しさに立ちすくんでいたときでした。一つの文化活動が企画され、実現に向けて動き出していたのです。それは、キーン先生の提案による古浄瑠璃「越後国柏崎弘知法印御伝記」の復活上演でした。柏崎は、角書き(サブタイトル)にもあるように古浄瑠璃の舞台となった所。市民による「柏崎ゆかりの古浄瑠璃を復活初演する会」が結成され、復活上演を町ぐるみで支えていく活動が開始されたのです。」

「越後国柏崎 弘知法印御伝記」[内覧会2013.9.20)。

「越後国柏崎 弘知法印御伝記」[内覧会2013.9.20)。

そこに、大学時代に三味線に魅せられ、人形浄瑠璃文楽座で第5代鶴澤浅造として四半世紀の間、三味線を弾いていた上原誠己さんとキーンさんとの出会いがありました。こうして、2009年6月、上原さん率いる「越後猿八座」によって復活初演が実現したのです。

そして、昨年3月に上原さんはキーンさんの養子となりました。人と人との不思議な出会い、縁の広がりと深まり……感慨深いものがありました(実は、上原誠己さんは、私の従姉弟なのです)。

■日本文化の魅力、日本文学の素晴らしさを伝え続けているキーンさん

キーンさんと記念撮影(内覧会で 2013.9.20)

キーンさんと記念撮影(内覧会で 2013.9.20)

開館前日の内覧会では、2人のキーンさんのお弟子さんのスピーチがありました。

ディヴィッド・B・ルーリーさん(コロンビア大学ドナルド・キーン日本文化センター所長)は、キーンさんから日本文学の素晴らしさを教えてもらい、その魅力に取りつかれたと語ってくださいました。謡曲について語る時のキーンさんの姿、その時の感動は今も忘れられないものとなっているそうです。

ロイヤル・タイラーさん(オーストラリア国立大学名誉教授)は、キーンさんの授業で能の詩的な美しさに魅了され、専攻を文学のほうへ変えていったそうです。「翻訳するということは、自分の言葉で再創造すること。そのことによって、さらに深く作品を理解することができます。翻訳は、本当に楽しいことなのです」と熱く語ってくださいました。

キーンさんが講義、講演、翻訳……さまざまな形で「日本文化・日本文学の魅力」を発信してくださることで、どれだけ多くの理解者が生まれたことでしょう。これからもドンドン発信を続けて頂きたいと、強く願わずにはいられません。

テープカット(開館式典で 2013.9.21)

テープカット(開館式典で 2013.9.21)

■キーンさんのメッセージ
キーンさんは、自分を支えてくれた大勢の人に向かって、日本文学をやって良かった、選んで良かったと語り、次のように話してくださいました。

「私は、日本文学に出会って幸せでした。そのきっかけは『源氏物語』でした。日本文学の研究を続けてきて、苦しいこともあったけれど、本当に楽しかった。先駆者としていつも誰もやったことがないことを発見していく楽しさがありました。今でも同じです。今、啄木を研究していますが、もちろん啄木のことはいっぱい研究があります。でも、また、何か新しい発見がある。それは小さい発見でもいいんです。その発見がしたくて、今も調べ続けています」

植樹(ソメイヨシノ)2013.9.21jpg

植樹(ソメイヨシノ)2013.9.21jpg

「日本人になる時、日本人と同じように働くことを考えました。どうぞゆっくりしてください、と言われても、私は駄目です。私にとって一番楽しいことは働くことです。だから、本当に日本人ですね。これからももっとやりたいことをやっていきます」と、最後にユーモアを交えて語ってくださいました。

では、ご参考までに「常設展示図録」に収められている「ブルボン財団スタッフからの謝辞」の一部を記しておきます。

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90年の歳月をかけて日本人への道のりを歩んだキーン先生の半生、それは、果てしなく美しい日本の発見の旅であったといっても過言ではないでしょう。その旅の一つ一つは、私たち日本人が忘れ去ろうとしている日本文化の魅力を、日本文学の素晴らしさを思い起こさせてくれます。

いつまでも元気で活躍してくださることを願いつつ記念撮影(開館式典2013.9.21)

いつまでも元気で活躍してくださることを願いつつ記念撮影(開館式典2013.9.21)

3.11東日本大震災ののち、「いまこそ私は日本人になりたい」とキーン先生が決意してから、先生の半生の旅をみつめる「ドナルド・キーン・センター柏崎」の設立構想がスタートしました。それから、僅か2年半という短い期間で開館を迎えることが出来ました。 ・・・(省略)・・・

当センターとしては、これを出発の第一歩として、関係資料の蒐集、展示に全力を尽くしたいと思いを新たにしています。今後ともご助言、ご助言、ご叱正を賜り、明日への活動を温かく見守っていただきたいと願ってやみません。

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「ドナルド・キーン・センター柏崎」に関しては、以下のサイトをご覧ください。
http://www.donaldkeenecenter.jp/(うまく開かないことがあるようですので、情報を簡単に記しておきます)。

・運営:    公益財団法人 ブルボン吉田記念財団
・所在地:      〒945-0063  新潟県柏崎市諏訪町10-17
・問い合わせ先:Tel&Fax:0257-28-5755
・入館料:   大人 500円(400円)
中高生 200円(160円)
小学生 100円(80円)  ※( )内は20名以上の団体料金
・開館時間:  10時~17時
・休館日:   毎週月曜日

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ドナルド・キーンさん関連の記事

◆「『ドナルド・キーン・コレクションコーナー』誕生!」(東京都北区中央図書館)http://www.acras.jp/?p=1017

◆「4人で合計355歳の会合『ドナルド・キーンさんと三姉妹の会』」   http://nihongohiroba.com/?p=3001

 

ドナルド・キーン・センター柏崎

ドナルド・キーン・センター柏崎

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