1月24日、東京北区立中央図書館にて、「ドナルド・キーン コレクションコーナー開設式典」が行われました。寄贈された図書は総数787冊(和書490冊、洋書297冊)、いずれも閲覧席で手に取って見ることができるようになっています。
キーンさんは、38年前から北区の住民として暮らしてこられました。長い間、ニューヨークのご自宅と西が原のご自宅とを行ったり来たりの日々を送っていらっしゃいましたが、昨年日本に帰化されるにあたり、ニューヨークのご自宅を引き払うことになりました。
そこで、膨大な数の蔵書、家具を、一部は新潟県柏崎の「ドナルド・キーン・センター」に寄贈(1745冊の書籍と、家具108点)、さらに一部をご近所の北区立中央図書館に寄贈し、多くの方々に見ていただきたいと考えられました。
図書館に寄贈された本には、キーンさんが読みながら特に印象に残ったところを記したり、コメントを書き込んだりした跡がしっかり残っているとのこと。挨拶の中でキーンさんは、「外国人が日本語を勉強するときに、どんな苦労をしているかが、私の書き込みから、皆さんに分かっていただけると思います」とユーモアたっぷりに話していらっしゃいました。
図書館の利用案内によると、【赤シール】があるのは、「キーンさん自身の書き込みやサインがあるもの」、【緑シート】があるのは、「キーンさんへの贈呈者からの書き込みがあるもの」だそうです。
「ドナルド・キーン コレクション」というチラシにあったキーンさんからのメッセージをここに記します。
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日本での永住を決め、ニューヨークの蔵書を整理することになりました。そこで、この中から私が選んだ本を北区の中央図書館に寄贈することにしました。たくさんの書き込みのある本を見て楽しんでくれる人がいたら嬉しく思います。
そして、私も散歩の途中で赤レンガ図書館に寄り、懐かしい本に再会することを楽しみにしています。
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当日式典参加者全員に、「ドナルド・キーン コレクション」オリジナルグッズが配られました。それは、画家の上原木呂さんによる「キーン家の家紋<六本牙の白象>」のバッグと手ぬぐい、「黄い犬」の絵があるクリアファイルでした。「黄犬」は、キーン氏が幼いころ飼っていた「ビンゴ」がモデルだそうです。黄色い犬、「黄犬」と書いて、キーンと読みます。ことば遊びのお好きなキーン氏ならではの遊び心いっぱいのネーミングです。
北区立中央図書館は、大正8年に出来た赤レンガ倉庫を生かし、近代的な増築部分とよくマッチした素敵な建物です。ぜひ一度「北区立中央図書館」にある「ドナルド・キーン コレクションコーナー」に足を運んでみてください。