4月アクラス研修の報告(著者との対話:著者岩田一成、著書『街の公共サインを点検する』)報告者:荒明美奈子

4月のアクラス研修に関する報告レポートです。今回の講師は、岩田一成さん、著書は『街の公共サインを点検する』です。報告レポートを書いてくださったのは、荒明美奈子さん(町田国際交流協会)です。どうぞご覧ください。

岩田一成さん

当日配布資料 

街の公共サインを点検するアクラス研修2019

 

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著者との対話『町の公共サインを点検する』

  著者: 岩田一成(聖心女子大学准教授)

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  報告者:荒明美奈子

        (町田国際交流協会)

 

41UkTC0icLL._SX338_BO1,204,203,200_今回の研修は、岩田先生に町に氾濫している公共サインについて、本当に外国人に伝わっているのかなどを、多くの具体的例や写真をみせていただきながらお話していただきました。最初に先生のご研究の一端をご紹介いただきました。大きく二つ「社会と関わる教室活動」「データに基づく教育提案」で、どちらも、実際の日本語運用に必要なものは何かを考えさせられるものでした。

 

次に本題である公共サインについてたくさんの写真を拝見しながらお話をお聞きしました

1.認識可能な文字は?

*ローマ字 vs ひらがな

外国人に対する調査結果から「ひらがな」読める人は84.3%と多く、一方、ローマ字が読めるは51.5%であった。

もちろん、漢字やカタカナが読める人表示は「ひらがな」より少ない。このことから、標識は外国人にとってローマ字より「ひらがな」がわかりやすいとのことあった。

しかし、道路標識などは漢字表記の下に英語表示が多く、ひらがながない。固有名詞はローマ字になるが、問題が多い。駅名は漢字とひらがなで表記されているが、地域によりどちらがメインかは異なる。

(JR東海はひらがなの下に漢字、JR東日本は漢字の下にひらがな)

 

*ローマ字  ヘボン式の誤解?

ローマ字はヘボン式が使われるが、長音が消えていることが多く、非常にわかりにくい。

小山(OYAMA) : 大山(OYAMA) どちらが小さい山??

無題

 

 

右も左も同じ、

どっちへ行けばいいの?

 

 

 

 

ローマ字は表音通りに書くのが規則だが、実際にはひらがな標記をそのままローマ字にしているものもある。

  永代  ×Eitai    〇 Eetai

きちんとルール化する必要がある。

 

2、英語についてワーク

外国人というと英語が一番わかると思っている日本人が多いが、実際には日本語のほうがわかりやすい外国人が多い。使われている英語表記もわかりにくいものが多く、また、自治体などで英語訳にバラツキもある(同じ市内でも)。

例えば   大通り  Ave.  St. Boulevard

      温泉   Spa. Hot spring、Onsen

これもルール化が必要?

 

3.固有名詞

国のガイドラインでは固有名詞はローマ字、普通名詞は英語となっているが、これも当事者で判断して標記することになるので、現場では混乱している。固有名詞はローマ字としつつ施設名は英語となっているため、駅名や温泉施設など、施設の固有名詞はどうすればいいのかわからない。変な訳をつけている例をいくつか見た。

 

4.短縮表示を考える

日本人は短縮語を使うことが多いが、これも使用上のルールが確立していない。なんでも途中で切ってしまってドットをつけるという方針で、短縮表示が使われている。欧米では語の最初と最後の文字を使い、ドットは書かない原則のようである。

面白い短縮表示例  磯子駅入口南側 Isogo Sta. Ent. S. これで外国人はわかるのだろうか?実際の理解度を調べてみると、

123

 

 

であり、ルールのない短縮は理解できない外国人が多い。

何でも短縮していいのか、してよい語のリストの作成や短縮法も国際ルールに従う必要があるのではないのだろうか。

 

5.防犯サインを考えるティータイムも話に夢中

多言語化することが望ましいが、スタンダードは4言語(日本語、英語、中国語、韓国語)である。語順もカッコ内の順が標準である。しかし、地域や内容によっては中国語だけの訳になっていたり、ペルシャ語が追加されていたりする。各国語で内容が異なっていたりすることがある。これをどう考えるか?取り方によっては偏見や差別と思われている可能性もあり、充分な配慮が必要である。

多くは4言語(日本語、英語、中国語、韓国語)

であるが、特定の外国人が多い地域ではこれにこだわらなくてもよい。語順もカッコ内の順が標準である。しかし、地域や内容によっては中国語が最初に来ていたり、各国語で内容が異なっていたりすることがある。これをどう考えるか?取り方によっては偏見や差別と思われている可能性もあり、充分な配慮が必要である。

 

 

6.やさしい日本語、訳せる日本語

*やさしい日本語にする場合は、何を伝えたいのかをはっきりさせ、余分なことは書かない(言わない)。

例  たばこの注意書き

日本では7~8行書かれているが、イギリスでは 「Smoking kills」とストレートでわかりやすい。

 

やさしい日本語はわかりやすくすることが目的であり、相手に言いたいことが伝わることが重要である。

 

7.先生のお話が終わって懇親会

*日本橋郵便局の表示についてNihonbashi Post Ofice

日本に住んでいる外国人は「ゆうびんきょく」の方がわかりやすいのではないだろう

か。旅行者にはどうだろうかなど、ディスカッションした。結果はでないが、両方併

記すればよいのではとの意見もあった。     Nihonbashi Yuubinkyoku(Post Office)

*文化や習慣によって内容を変えるのは如何かとの意見もあった。どっちがよいのか。考えていく必要がありそうであった。

 

8.最後に

今回は先生から標識について多くの問題点を提示していただいた。標識に限らず、どうすれば外国人に最も伝わるのかを考えていく必要があることを痛感した。標識のようなものの表示は国、世界全体で統一していくべきだと思った。外国人は外国の方式を身に付けて日本に来るのだから。日本独自のものでは外国人には理解できないことが多いと思われる。

 

 

 

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