OPIミニミニ入門講座のご報告(2016.8.1)

毎年8月のアクラス研修は、OPIミニミニ入門講座です。今年も、例年通り「OPIの研修を受けたことがない方」を条件に、3時間の研修を行いました。資料に関しては、昨年のOPIワークショップより新しいマニュアルを使用していることから、新マニュアルを参考にして作成しまし新マニュアルの表紙た。

内容は、入門編ですので、例年とあまり変わりませんが、今年は「ビデオ撮りしたOPIインタビュー」を使って、被験者(Kさん)・テスターの表情などにも注目して見ていただきました。このインタビューを使ったのには、ある理由がありました。それは、インタビューを聞く(見る)だけではなく、フィードバックのあり方も知っていただきたいと思ったのです。

 

私はKさんとOPIインタビュー終了後、こんなやり取りをしました。

 

「先生、インタビュー面白かったです。あの、私の話、どこが悪いか教えてください」

「すぐ言えたらいいんだけど、今すぐ出かけなければならないので……。もう一度テープを聞いてからちゃんと伝えるね」

「わかりました。あのう、そのインタビュー、私にくださいませんか。自分でも聞いてみたいんです」

「わかった。じゃあ、あとで担任のO先生に渡しておくから、O先生からもらってね」

 

Kさんと別れ、教員室に行った私は、OさんにKさんとのやり取りを伝えました。すると、Oさんは、

「先生、私もKさんのインタビューを聞いてみたいので、私がKさんにフィードバックをしましょうか」

と言ってくださったのです。こうして素晴らしいフィードバックインタビューが行われ、しかも私に伝えたいと、詳しい記録が残ってい講師ました。それをアクラス研修に参加した方々にお見せできたのは、大きな学びになったことと思います。

 

今回は、終わってからコメントを書くのではなく、後ほど感想メールをいただく形を取りました。お忙しい中、感想をお寄せくださった方々に感謝致します。記事の本文にペースト致しましたが、PDFにしたものも載せておきます。

 

資料 レジュメ ➡資料 OPIミニミニ講座(2016.8) 

   参加者(一部)の感想メール→ 

 感想メール(追加8.10)

 

♪   ♪   ♪

(1)

今回の講習会では学生のレベルを判定する方法を教えていただければと思っていました。しかし、それを知るためにしなければならないことは、自分自身を振りかえること、自分がやってみたことを公開し、意見を聞く勇気?をもつことであり、そうするが質問力、会話力、判定力につながるということがわかりました。

今までのやり方はunder controlしすぎて、学生の成長を止めていたことも反省しました。今後は、学習者に教えるのではなく、いかに気づかせるか、そして、学生同士が学び合うことができる学習者中心のクラスができるように今からでも改めていきたいと思います。

(2)

本日、受講するにあたり、私のテーマは①8/30の会話試験に向けてOPIの基礎知識を学ぶことと、②普段の授業の改善に役立てることをOPIの観点・スキルから得ること、の2点でした。

 

まず①について、評価方法の点で、メジャーレベルの基準(クライテリア)を詳しく比較して学べたことと、サブレベルの判定が1つ上のメジャーレベルに対してどうかという視点で行うことを学べたことで、実際に評価してみた際にメジャーレベルの見極めがとても容易になったと感じました。サブレベルの判定に関しては、まだまだ迷うことが多かったですが、発話の質なども考慮に入れることを具体例で示していただけたので納得でき、大変勉強になりました。

 

試験の方法に関しては、1人の受験者の発話を上手に引き出せた例とそうでない例を聞かせていただけたことで、質問の内容・話のつなげ方・突き上げ方という細かいスキルだけでなく、相づちのパターンや声のトーンというつい見落としがちな点の重要性にも気づけたことが大きな収穫となりました。3月の会話テストでは、私の相づちが多かったり、沈黙をなくそうと学生の発話を待てずに助け舟を出しすぎたりして発話機会を奪ってしまう場面があったので、今回は「沈黙の重要性」を肝に銘じて、学生に気持ちよく話してもらえるような試験を目指そうと思います。

 

②については、質問力という点で、私は普段、学生のレベルを先入観をもって見てしまっていると気づきました。勝手に「これは難しすぎるだろう」と決めてかかって最初から簡単な質問にすることが多いのだと感じました。その為、いつまでも学生の本当のレベルがわからず、彼らから安定して発話を引き出すことができていないのではないかと思いました。i+1を念頭に、質問がやや難しくて最初はシーンとしてしまっても、学生の発話を待つことをもっと意識しようと思いました。

また、学生が積極的に「話したい!」と思えるように、私も全身(表情や声色や心)を使って質問していくよう気をつけようと思いました。

(3)

判定の根拠を出し合っています

判定の根拠を出し合っています


OPIとは、単なる会話レベルチェックではなく、被験者の会話能力を限界まで引き出すものなのですね。だから被験者にとっては、テストでありながらも達成感のある、とても楽しい時間となるはず、いや、そうでなければならないのだと。

レベル判定の実践では、私の評価がまだまだ不正確だということも思い知りました。

今後はもっとOPIを意識して、授業の質と教師力のアップにつなげていきたいと思います。

 

(4) 

OPIについての知識はほとんどなくまた、難しそうで敷居が高いというイメージがありましたが今回、ミニミニ講座ということで入門の私でも参加しやすくとてもよかったです。

被験者(学習者)の能力を生かすも殺すもテスター(教師)次第と感じました。

 学習者の発話から次の対話の種を拾って、つなげていくこと、紡いでいくことが大切だと感じました。

教室全体で紡いでいけば授業はもっと楽しくなるのではないかと思います。

やっとOPIのスタートラインに立った感じですが日々の授業で少しでも生かしていきたいです。

(5)

私は、この研修に参加させて頂くにあたり、先生のご著書『目指せ、日本語教師力アップ!‐ OPIでいきいき授業』を読ませていただき、OPIの概略については大方理解している状態でこの会に参加しました。勉強の成果か、先生のお話はスムーズに頭に入り、OPIについての理解はさらに深めることができたと思います。

でも、実際のテストの録音を聞き、さらに画像も見せて頂いたことで、テスターとしての教師のあるべき姿を実感として捉えることができました。特に感じたことをまとめると、以下の3点です。

・学生の話を共感して聞くとはどういうことか
たとえ同意の言葉を発したとしても、そこに本当にその気持ちがなければ相手には

響かないこと
昨日の悪い例の教師は、テストのための会話、相手を評価しようという思いがつい前面に出てしまっていたのだと思います。
共感的に聞こうとする気持ちがあればこそ、「ちょっと教えていただけませんか」という類の言葉が自然に出てくるのだなと思いました。
また、嶋田先生が学生と話されている時の姿に、『傾聴』という言葉が見事に重なっていました。

・「待つ」ことの大切さ
これは、自分の欠点であるという自覚はあったのですが、私は学生の発話を待つどころか、少しでも言葉に詰まるといろいろと質問を変えて、さらに混乱させたり、
自分の持っている答えに誘導したり、勝手に補ってしまったりとどうしようもないことをしてしまいます。
しっかり待つことで、学生にも何とか自分で話そうとする姿勢を生み出すこともできるのではないかと思いました。

・突き上げること
実際に会話試験が行われている中で、どのようなタイミングで、どのようなやり方で行われるのか、とても関心がありましたが、とても自然な流れの中で、それが行われていることに感銘を受けました。そして、それに対して一生懸命答えようとしている学生はその時点でも学びという活動を行っているのだと思いました。OPIテスト終了後は、達成感があって楽しいという体験者のご意見がありましたが、それは学びの喜びにも通ずるものだと思います。その流れが全て学生の言葉から生まれること、それを「つなぐ」と表現されましたが、とても素敵だと思いました。

私の課題は、このOPIのやり方を普段の授業で、どのように活かしていくかをいうことです。先生はたくさんヒントをくださったのだと思いますが、私がいちばん思うのは、自分が今教えているのは「初級だから」「初中級だから」という考え方は
止めようということです。そう思うことで学生の伸びしろを狭めてしまうような気がするからです。ついつい、教室の前にいて、授業をリードしてしまっている自分を反省し、せめて前から横に移動して、ともに楽しみ、考え、そして前に進んでいく教師でありたいと思います。

「1人の学生を数名で評価した時、同じ評価が出た。それは、全員がちゃんと同じ軸を持っているからだ」とおっしゃった言葉がとても印象深かったです。私も、早くぶれないしっかりした軸を持てるようになりたいと強く思いました。イーストウエスト日本語学校に、お世話になってから2年目を迎えました。本当に暗中模索だった1年目からすると、このような研修会に参加できる余裕が少し生まれてきたかなと思いますが、まだまだどうしていいのか、迷ってばかりの毎日です。それでも、諸先輩の先生方の情熱に惹かれて、私も何とかものになるように研鑽を積んでいきたいと思っています。

(6)インタビューの感想を・・・

あっという間の3時間でした。質問の仕方や話し方次第で被験者の発話量に大きな差が出ること、そして、テストでありながら、そこに学びがあることがよくわかりました。

日々、対話を意識して引き出しや話し方のバリエーションを増やしておきたいと思いましたし、会話試験も学生の評価だけではなく、自己の反省材料としてしっかり振り返りをしていきたいと思いました。

昨日の講義を入り口として、「対話」についてもっと考えて、毎日の教室での自分の姿を見直してみようと思います。

たくさんの人とつながって、学びあい、成長し続けるために、OPIの考え方をもっと勉強したいと思いました。

 

(7) 

授業で、毎回違うやり取りがされる中で、学びのチャンスを見逃さず、ナビゲートする難しさを感じています。

先日も上級のクラスで、反論に対してさらに反論する場面があったのに、見逃してしまいました。私が見逃しをするたびに、学生さんに損をさせてしまうのが本当に悔しいです。

授業中、素早く的確な質問・コメントをするにはやはり、自分の中で軸をしっかり持つことが必要だと思いました。

OPIにはいつかチャレンジしたいと思っていましたが、来年こそ受けようと思います。

(8)

最初のテープでのOPIの様子、2回のインタビューの学習者が同一人物とはとても信じられない位の衝撃でした。確かに先生の方のは、1度目のものの質問の仕方とは全然違う。それはわかる。でもそれでも、「だからといってこんなに変わる??」と。

そしてカクさんのビデオ。彼がたった二十数分のうちに見せた変化の様子がずっと心に残っています。
日本語自体の上達(23分で!)や、自信を持った楽しげな話し方に変わっていったことももちろん、なによりすごいと思ったのは、後半、質問に対していちいち自分の中に降りて行って、自分自身の中から答えを探しそれを表現している、(しかも最後の表現の部分だけじゃなく、探すことも全て日本語でやっている、)その姿が目に見えるようだったこと。

人は、こんなにも他の人の力を引き出せるのか。

多分あのカクさんの姿が、これから何度も何度も自分が立ち返っていく大切な場所になるだろうと思っています。

 

(9)

漠然としていたOPIのようすが、見せていただいた動画で、ずいぶんクリアになりました。もちろん理論も技術も、とてもわかったとは言えず、すべてこれからではありますが、なんとなくですが「こんな感じ」というイメージを作ることができました。

テスターである先生と、被験者の学生さんとのあいだに、対話が生じているようすがよくわかりました。世間話まではいかないにしても、自然体に導くことが重要なんですね。そうすれば、レベルの高い面も低い面も含めて、被験者の実力が出てくるのですね。

対話の間も、テスターは「この被験者のレベルはどこにあるのか」を考え、同時に「何をどう聞いていくか」も考え、さらに被験者を観察するということに、もしかしたら男性より、同時に複数のことを考えることのできる脳を持つ、女性向きではないか、と思いました。また、聞き上手の方も、近そうです。

動画を見せていただき、テスターになり、良い判断をするためには、技術を知り、磨き、さらに訓練を重ねる必要があることはわかっていましたが、

それに現実感が伴うようになりました。

また、ベテランの先生になると、カンで行ったレベルチェックが、OPIと一致する、ということも確認できました。勤務する学校で「学生のレベルは、担任がいちばんよくわかる」と言われるのですが、正直、私にはよくわかりません。なぜそうであるか、という、技術的・理論的な比較対象のようなものがないままに「わかるはず」と言われても、迷うばかり。しかたがないので「だんだんわかるようになる」と思っていましたが、確かにそうではあるけれど、OPIの技術を学ぶことにより、カンを理論に置き換えることができるな、とも思いました。

また、自分を開示しなければ良くならない、ということですが、自己顕示欲のない私には、とても難しいことです。平気な方がいらっしゃると、ああいうふうにできるとどんなに良いか…と思います。本来、人前に立つより、裏方を好む性格、勇気と自嘲を理性で拡大制御してからじゃないと、じんましんが増える(今、ストレス性じんましんがあるので)と思いました。

最後に、最大の気づきですが、いつかOPI講習会に参加することは、やはり糧になりそうだと感じた、ということです。やってみたいとは思っていましたが、やっぱりやってみたいです。その気持ちを確認しました。

(10)
「やっとOPIの紹介講座に参加できました。教師力を少しでもアップするために参加しましたが、大変勉強になりました。

 『相手から対話をどんどん引き出していく力』を目の当たりに拝見することができたのですから。また自分なりに資料や動画を見たことがありますが、今ひとつわかっていなかったことに気づき、これがOPIか!と今頃思いました。

昨年、ある先生が字をあまり読めない方々の日本語レベルを測るのに、このOPIを使って10年くらい行っているという発表を聞きました。しかも学習者の方々が毎年そのチェックを受けるのを楽しみにしておられるとか。学習者に喜ばれ、彼らのステップアップの動機付けになるのなら、そのテクニックをぜひいつか習得したいと思いました。

(11)

 質問の仕方次第でこんなにも会話が違うものになるのか、ということがはっきり分かりました。大変な驚きでした。

 現在、都内にある日本語学校で留学生の会話練習相手となるボランティアを週1回行っています。未だ始めたばかりですが、この練習時間は留学生の練習でもあり、自分自身の会話力(質問力)を高めるための練習でもあるのだと、今更ですが気がつくことが出来ました。自分の会話力を高めることで留学生が日本語で話す楽しさを味わうことが出来るように勉強していきたいと思います。ご紹介頂きました「目指せ、日本語教師力アップ!」を購入し、勉強を始めたところです。
今回の講座に参加させて頂いたことで、今後の自分にとって大変重要な気づきを得ることが出来ました。大変ありがとうございました。

(12)

◇ フィードバックの学び◇
ミニミニOPI講座の報告にアップされている2枚目の写真「判定の根拠を出し合っています」の場面で、私は間違った判定をしていました。正解に辿り着くまでに、最初は参加者が出した判定を全て受け止め、次にその理由を丁寧に伝え合う時間が設けられました。そのプロセスはとても貴重な学びの時間でした。間違いを指摘されるのではなく、異なった視点の意見に耳を傾け、自分で気づくことは、とても楽しい発見でした。
ビデオで見た被験者Kさんも、自分のOPIを見て、自分で気づいたことを話す機会を得ていました。私はこれまでどれだけ学習者に間違いを指摘してきたことでしょう。気づくチャンスを作る!
こう決めて、この1週間授業に臨みました。聴解の答えあわせの仕方、作文のフィードバックの仕方、内閣改造ならぬ授業改造が始まりました。OPI入門講座を受けて3日目の授業後、あるインドネシアの学習者が今日の授業楽しかったです。ありがとうございました。と笑顔で去っていきました。彼は、聴解の問題で間違った答えを出した少数派の方でした。
これからもフィードバックの学びについて考え、工夫を試みていこうと思います。♪♪♪

(13)
・テスター(インタビュアー)としてどのようにインタビューを進行させたらいいか、がとても勉強になり、また自身、反省させられた点でもあります。話し過ぎずに「気づかせる、引き出す、仕掛ける」は、常に心に留めておきたい3か条です。

・評価基準がこれまでより明確になりました。特に、どちらにしようか迷ったときは、偏った見方や学習者への先入観にとらわれずに判定できるよう、教えていただいたことを活かしつつ経験を積んで行きたいと思います。

・最初はOPIのやり方ばかりが頭にあったのですが、先生がOPIを授業(対話)に生かすことの大切さをお話くださり、そのことが学習者を育てるのに大変役立つのだということに気づかされ、非常に満足感がある充実した研修でした。

(14)

OPI以前から気になっていたのですが、ワークショップは高額で参加できずにいました。今回の講習ではOPIの特徴や考え方、実際にどのように行われるか、そしてOPIの考え方をどのように教育実践に生かすことができるかを学ぶことができ、非常に勉強になりました。

特に「質問の仕方」で引き出せるものが変わるということが非常に印象的でした。「~について教えてください(柔らかい声で)」と質問をし、教師が共感しながら行われたインタビューでは、話している学習者も本当に楽しそうでした。会話試験のためのインタビューではなく、学習者が伝えたいことを話しているように感じました。教師はこの「伝えたい」という気持ちをうまく引き出す力が必要ですね。教師がうまく引き出すことができれば、学習者は日本語で話すことを楽しいと思ってくれるだろうし、「自分は日本語でこんなに話せるんだ!」という自己肯定、「ああ、こんなことが伝えたかったのに、うまく伝わらなかった!もっと上手になりたい」という学習へのモチベーションにもつながると感じました。今後、質問力とコメント力の向上に努めたいと思います!

 

 

 

 

 

 

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