ロシアのアンナ・レメネツさんは、2010年9月にイーストウエスト日本語学校を卒業しました。日本が大好きで日本留学を決めたアンナさんは、在学中も地域の公民館のさまざまなイベントに参加したり、タウン誌『おこのみっくす』の記者と一緒に地域を回ったり……と、日本での生活を思う存分楽しみながら学業を続けました。
そんなアンナさんには大きな夢がありました。それは、ロシアの学生達の日本語学習、日本留学をサポートする会社を作ることでした。そして、昨年9月に「MANABO」という会社を立ち上げたのです。今日、アクラスを訪ねてくれたアンナさんに、<これまでの思い・これからの夢>について語ってもらいました。
■アンナさんの日本語教育にかける思い
アンナさんは外国語を勉強するのが大好きでした。そこで大学では英語だけではなく将来役に立つもう1つの言語を勉強しようと考えていました。その時のことをこんなふうに語ってくれました。
大学で提案されたアジア言語の中で、一番興味があって、親しみを感じたのが、日本文化と日本語でした。勉強し始めの最初の半年間は、覚えるのにとても苦労したのを覚えています。なぜなら、空き時間のほとんどを漢字学習に費やしていたからです。
その頃の漢字の覚え方は、ただ書いて覚えるだけ。「何のために使うのか?」「いつ使うのか?」と考えてもわかりません。ただ覚えているだけで、使わないのですぐ忘れてしまいます。本当に大変でした。
でも、だんだん日本語にとって漢字はとても大切だと分かってきました。友達の影響もあります。日本語が上手で、大好きな友達を見ていて、「私もがんばらなくっちゃ」と思うようになったんです。
アンナさんは、その後大学3年生の時に、「何のために日本語を勉強しているのだろう?」と自問自答するようになりました。そんな中で、「とにかく一度日本に留学してみよう!」と日本留学(2007年7月~9月)を決意したのです。留学生としての日本での体験は、3か月という短いものでしたが、アンナさんは「私が日本語を選択したのは正解だった」と実感できました。
短期留学から戻ると、大学から「日本語学部の国際関係発展に寄与した」ということで賞をもらいました。「日本留学第一号」として受賞したこの体験が、アンナさんに「日本語学習をしている学生、日本に興味を持っている学生に対し、日本を訪問しやすい、日本に留学しやすい環境を作りたい」という夢を与えてくれたのです。
■「MANABO」という会社
アンナさんは、大学を卒業すると、今度は1年間の長期留学を考えました。そして、2010年9月にイーストウエスト日本語学校を卒業したアンナさんは、卒業後ロシアの学生の留学をサポートする仕事に携わっていました。その彼女が、ついに株式会社MANABOを立ち上げたのです。日本語学校卒業から5年が経っていました。
http://nihongo-manabo.com/?lang=ja
アンナさんが書いてくれた「MANABOの特徴」をご紹介しましょう。
1.オンライン日本語レッスンなので、どこでも勉強することができます。
2.資格を持っている日本語の先生による授業なので、学習者は初級から上級まで勉強することができます。
3.日本人の先生だけではなく、ロシア人の先生もいるので、学習者はニーズによっていろいろ選択することができます。
4.先生は毎回レッスンの後で、評価シートを作ります。学習者はそれをもとに自分の学習成果を確認することができます。
5.基本コース以外にも、学習者のニーズに合わせて設定する「テーマ別コース」もあります。
(例:J-Pop/J-Rockで日本語、日本語作品の読解、関西弁コースなど)
6.日本の生活、日本語、日本で活躍している元留学生に関する電子雑誌を作っています。
■アンナさんのこれからの夢
これからMANABOを中心軸に据え、日本語学習、日本留学をどんどんサポートしていきたいと、アンナさんはさらなる夢を語ってくれました。
ロシアは世界で一番広い国なので、日本語の先生がいない町が多いのです。その時にオンラインで日本語を勉強できる機会があれば、日本はもっとロシアに近くなることでしょう。例えば、スカイプを通じて、日本人の先生と出会って、日本語だけではなく、日本文化や歴史、日本人の物の考え方なども勉強できれば、来日後、この知識はとても役に立つと思います。もちろん、MANABOは日本への留学や旅行についても、これまでの私の経験を活かして、サポートしていきたいと思っています。
アンナさんが最後に残していったのは、
「日本語を世界に広げましょう!」
「日本とロシアが
もっと近くなるために!」
という言葉でした。
がんばれ!アンナさん!!
追記:この記事をフェイスブックでお知らせしたところ、『おこのみっくす』取材でお世話になった「エフ・スタッフルーム」の藤井聡さんが、次のようなコメントとともにシェアしてくださいました。こうして、地域社会の方々と交流ができるのはとても幸せです。ずっと地域社会とのつながりを大切にして日本語学校づくりをしてきましたが、そのことは私にもさまざまな出会い・素晴らしい縁を与えてくれました。なお『おこのみっくす』記事の一部をアップ致しました。どうぞご覧ください。
おこのみっくすマガジンの初期の頃に、取材協力をいただいた、嶋田先生とロシア人留学生のアンナさんの素敵な物語です。 みなさん、ぜひ、読んでみてください。
それと、 おこのみっくすマガジンの懐かしい記事が掲載されてますが、もうひとつの物語としては、… この取材記事で、アンナさんに琴を教えていた方は、昨年ご病気でお亡くなりになりました。 きっと、天国でアンナさんの活躍を優しく見守って喜んでくれていると思います!
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