2月21日(土)は、福岡市主催のボランティア研修会でした。テーマは「OPIで、いきいきボランティア教室!」、OPIを活用して学習者の会話能力を伸ばす力を養うことをめざした研修です。
※OPI(Oral Proficiency Interview)
行ってみてびっくりしたのは、今回のボランティア研修会は福岡市主催ですが、その企画・運営は、ボランティア団体の共同事業として実施されているということでした。そこで、研修会終了後の食事会で「民間委託の共同事業」についてアレコレお聞きしてみました。一つのユニークな、興味深い活動形態としてご紹介したいと思います。
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平成25年度福岡市から民間委託の話を受けた福岡市で活動するボランティア団体は、何度も話し合いを重ねました。結局、関心を持つ教室は多いものの、全ボランティア教室の賛同を得ることはできなかったことから、新たに有志による共同事業体を誕生させることになりました。2年目となる今年度、企画・運営に参加しているのは、以下の団体です。
・イートン日本語教室
・えふえいち日本語教室
・さくら日本語教室
・高取日本語教室
・日本語・ふれんず
・にほんご教室・フレンド
次に、約2年間の活動をご紹介しましょう。
1) 日本語ボランティア養成講座
・平成25年度養成講座 全22回 修了生=51名
・平成26年度養成講座 全24回 修了生=53名
2) 日本語ボランティア研修会
・平成25年度 2回 ・平成26年度 2回
3) ラジオ番組放送
・番組名称:「ダリルの日本語どんどん!」
・放送内容:日本語ボランティアの活動紹介
・放送局: ラブエフエム国際放送株式会社(76.1MHZ)
・放送期間:平成26年1月~3月、毎週日曜日11:55~12:00
(再放送)平成27年3月、毎週月、火、水曜日 午前11:00~
■自主的に活動することによるボランティア自身の学び
いくつかのボランティア団体によって、共に企画し研修を作り上げていきます。実施中のサポートもメンバー全員が参加して和気藹々とした雰囲気で進められています。実は、研修会を作り上げていくプロセスこそ、関わっている人にとって「大きな学び」となるのです。つまり、こうした「共に創り上げる」という作業の中から、受身ではない「主体的な、創造的な学び」が生まれてくると言えます。私は、この研修会の話を伺いながら、日本語教育振興協会(以下、日振協と称す)http://www.nisshinkyo.org/が行っている「ある研修会」のことを思い出していました。
日振協が毎年実施している「新任主任教員研修」は、関心のある各日本語学校から実行委員が選出され、委員の話し合いによって企画・運営されています。さらに、この研修を受けた主任教員の中から、また新たな実行委員が生まれ、次の研修会を作り上げていくという仕組みになっています。その結果、仲間と考え、行動し、研修を作り上げていくプロセスで「主任教員としての気づき・学び」が得られ、人の輪も広がっていく・・・という大きな副産物が生まれているのです。
■共同作業で、ボランティア間のネットワークの広がり
このボランティア教室による共同事業体でも、教室を越えたボランティア間のネットワークがどんどん広がっていると言います。どうしても自分が関わっているボランティア教室の枠を越えることなく、自分達のサークルの中だけで活動することになりがちですが、この共同事業では、事前・研修中・事後と何度も顔を合わせて話し合いを行うことで、相互理解が深まり、すてきな人の輪が広がっているのです。
■次のステップに向けて
とは言っても、突然降ってきた「共同事業」であり、1年目は試行錯誤の連続でした。「ボランティアの私たちが、どうやって養成講座を組み立てていけばいいのか」と、たくさんの議論を重ねたといいます。そして、2年目もまもなく終了という今、より良い研修のあり方を見つめ、次のステップに向けて話し合いを続けています。
・内容をどう充実させていくのか。
・より多くの受講修了生がスムーズにボランティア活動に参加していくにはどうしたらいいのか。
・受講終了後のネットワーク作りをどうしたらいいのか。
多様な人材が集い、熱い思いに支えられた共同事業体は、これからもワイワイと語り合いながら、知恵を出し合って研修会を進めていくことでしょう。
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最後に、何人かの方の「生の声」をお伝えしたいと思います。
Aさん
「福岡県や福岡市など行政を巻き込んで、この輪をもっともっと広げていきたいですねえ。活性化できている面もありますけど、古い概念に囚われないで、もっと多様化していくべきだと思っています。新しいネットワークづくりも模索しています」
Bさん
「『養成講座を受けた人の同窓会』をしたいと思っています。そうすることでもっとネットワークが広がり、深まっていくと思います。ボランティアに一歩踏み出せない人も、始めるきっかけになるのではないでしょうか」
Cさん
「日本語ボランティア教室は、インフラの一つで、開かれた町づくりにはとても大切です。教室もそれぞれ個性があり、日本語を軸としている所、国際交流をメーンにしているところなどさまざまです。だからこそ多様な人たちとの協働に意味があるのだと思います。外国人にとって住みやすい街づくりは、私たちにとっても住みやすい街づくりですよね」
【参考】Japanese Language Classes by Volunteers in Fukuoka
にほんご Class Map~ボランティアによる日本語教室のご案内~
http://www.rainbowfia.or.jp/foreigner/pdf/jp-volunteer-class.pdf
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