順位は付けず、みんなでスピーチを楽しむ!~「ほどがや国際フェスタ」に参加して~

11月16日(日)、晴れ渡った秋空の下、「第25回ほどがや国際フェスタ」が行われました。朝早くから「保土ケ谷区国際交流コーナー」(http://www.hodogaya-kokusai.com/)のスタッフや大勢のボランティアの方が荷物を運んだり、設営をしたりと大わらわ……。そして、10時から3時まで、さまざまなイベントが繰り広げられました。

 ①  日本語スピーチ

1 「なりきり写真館」は毎年大人気!写真をHPに載せたいという依頼に、にっこり笑ってポーズ。

1 「なりきり写真館」は毎年大人気!写真をHPに載せたいという依頼に、にっこり笑ってポーズ。

②  世界の音楽と踊り

③  なりきり写真館

④  小物販売

⑤  ギャラリー展示

⑥  ドリンクコーナー

⑦  世界の屋台村

⑧  正月のリース作りワークショップ(子ども対象)

 

こうしたイベントは、全国各地の国際交流協会などで行われていますが、「①日本語スピーチ」は、毎年この団体独自の進め方で行われていることから、ご紹介したいと考えました。

 

■順位をつけず、<コメント>と<鉢植えのお花>をプレゼント!

日本語スピーチというと、たいてい「コンテスト」という言葉が後ろについてきます。私もこれまで何回もスピーチコンテストの審査員をやってきましたが、なんと今回の「日本語スピーチ」では一切順位はつけないというやり方でした。

 

「みんな頑張ってスピーチに臨んでいるので、順位はつけたくないと思ったんです。それに、ゼロから始めて数か月という人から、もう10年以上も日本に居て、日本の会社で働いている人まで、出場者は本当にさまざまですから・・・そのかわり一人一人のスピーチに講評して、最後にお花をプレゼントしています」

 

とスタッフの方が説明してくださいました。講評担当の私は話に聞き惚れながらも真剣にメモを取り続けました。すべてが終わり、いよいよ講評タイムです。前に座っている出場者の顔を見ながら語り掛けるように一人一人講評を言うことができたのは、とても幸せでした。にっこり頷いてくれる人、真剣なまなざしで聞いている人、さまざまな反応が見られました。

 

 

2 「子どもの勉強会」による朗読

2 「子どもの勉強会」による朗読

■スピーチに加えて、「子どもの勉強会」の朗読も!

15人のスピーチが終わると、「子どもの勉強会」のメンバーが「花さき山」を朗読しました。6人の子どもさん達は、実に楽しそうに、それぞれ個性豊かに読み進めていきました。「おらは、いらねえ」「買ってけれぇ」と、方言をニコニコしながら話す子どもさん、本も見ずにしっかりと前を向いて通る声で話す子どもさん……。みな伸び伸びと「朗読タイム」を楽しんでいました。

 

実は、集合時間よりかなり前に会場に着いた私は、出場者の集合場所に行ってみました。まだ人気があまりない広い和室では、朗読をする子ども達がスタッフの前に座っておしゃべりをしたり、笑い声をあげながら「おにごっこ」や「かくれんぼ」をして遊んでいました。フェスタに向けての朗読の練習タイムを通して、さらに絆が深まっていったことがよくわかる光景でした。

 

外国にルーツを持つ子ども達の日本語が問題になっている今、一人でも多くの子ども達がこうした「共に学ぶことの楽しさ」を知ってもらいたいものだとつくづく思いました。

 

■日本語スピーチを通したメッセージ!

聴衆に向けてたくさんのメッセージがありましたが、その中から子どもさんと一緒に日本の社会で頑張っている方のメッセージをいくつかご紹介することにします。

 

◆日本に来て3年のAさん(バングラデッシュ出身)

3講評<舞台にあるお花は出演者へのプレゼント>

3 講評<舞台にあるお花は出演者へのプレゼント>

日本人は「礼儀正しいこと」「我慢強いこと」「相手を尊敬すること」がとても素晴らしい。自分より先に相手のことを考えるところがある。だから、相手の心を傷つけない。4歳の息子にも、こうした日本人の良さ・特徴をもった大人になってほしい。

 

→そうした日本人の良さに、私達自身がもっと気づく必要がありますが、一方で「日本人の良さ」が少しずつ失われていることにも目を向けることが大切です。

 

 

◆日本に来て7年のBさん(ウルグアイ出身)

人生で新しいことに挑戦することは好きだし、とても大切だと思う。しかし、そこには人の支えが必要。「頑張れ!」と励ましてくれる人がほしい。今では、地球の裏側に住む家族や友達以外にも、日本の家族やボランティアの人がいる。だから頑張れる。これからも息子と一緒に日本でいろいろなことにチャレンジしたい。

 

→このように日本語教室に出会えた人はいいけれど、孤独に戦っている人たちとの接点を、どのように見い出していけばいいのでしょうか。

 

 

◆日本に来て1年半のCさん(ネパール出身)

フェスタの入口で・・・

4フェスタの入口で・・・

10か月の息子と、日本滞在10年の主人と日本で暮らし始めて1年半。夫婦そろって日本が大好きで、これからもずっと日本で暮らしたいと思っている。10歳の娘は、ことばの問題を考えて、夫の両親といっしょにネパールで暮らしている。しかし、いつかはこの日本で教育を受けさせたい。本当に日本が好き!

 

→「本当に日本が好き」という思いをずっと持ち続けてもらえるような社会づくりをめざしたいものです。それには、私達自身が彼女達の言葉や文化を理解しようという姿勢も大切です。

 

♪  ♪  ♪

 

さまざまな国から来た人たちが日本の良さを感じ取り、日本での生活をエンジョイしていることに感動を覚えます。そこには、彼女達の新しいことに挑戦する姿勢、たゆまぬ努力と同時に、身近な人たち、ボランティア教室の人たちの温かいサポートがあることを忘れてはなりません。

 

皆さんも、気楽にお近くの国際交流協会や日本語教室のドアを叩いてみませんか。異なる文化・言葉をもった人たちの「対話」は、私達にさまざまな気づきを与えてくれ、社会の活性化につながっていくのです。

※写真2,3,5は、国際交流コーナーから頂いたものです。

4始める前に記念撮影

5 始める前に記念撮影

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