「もっと変わる勇気を!」~留学生からのメッセージ~

今年のスピーチコンテストでは、3つのポスター応募がありました。どれもそれぞれに力作でしたが、3つ目の「アリストテレスの言葉」が載っている作品は、いわゆるスピコンのポスターとしては独特の雰囲気を醸し出していました。http://www.acras.jp/?p=3229

 

「世間があなたの勇気で変わる」

「世間があなたの勇気で変わる」

そこで、私はこのポスターを作ったジョハンさん(インドネシア出身)に会って、「このポスターを作った思い」「日本語の勉強」「日本での生活」など、さまざまなことを聞いてみたいと思いました。アリストテレスの言葉から浮き彫りにされた「世間があなたの勇気で変わる」というメッセージには、たくさんの思いが込められていると考えたのです。

1時間のインタビューで、ジョハンさんからさまざまな面白い話を聞くことができました。こうして日本語学習者から「日本語・日本に対して感じていること」を聞くことは、とても興味深いものです。なかなか表面には出てこない「一人ひとりの深い、貴重な学び」に目を向けた日本語教育を心がけていきたいと、改めて思いました。

 

 

■どうしてアリストテレスの言葉を選んだんですか?

スピーチといえば、ギリシャのオーディトリアムを思い出しますね。そして、スピーチといえば、私は、アリストテレスを思います。それから、この言葉は「今の日本」にぴったりです。「今の日本」に必要だと思ったんです。

 

 

■どうしてこの言葉が「今の日本」に必要な言葉なんですか?

日本は大好きだし、これからもずっと居たいと思っています。だからたくさんのお金がかかっても日本に留学しました。

 

◇「最も栄えているときに、人は大きな不幸に見舞われる」という言葉は、日本は「自分達は、大丈夫、大丈夫」と慢心している感じがするから、そのことに気づいてほしいと思いました。

 

◇「勇気は人間の第一の資質」というのは、ちょっと「今の日本」には何かを変える勇気が足りないと思います。今のままが良いというか、揺さぶられたくない・・・という感じがします。

 

◇「世間が必要としているものと、あなたの才能が交わっているところに、天職がある」というのは、日本はみんな同じがいいという考えが強い。せっかくの才能とか個性も抑えてしまう。だから、特別な人が出にくい。それぞれの才能が活きる日本になってほしい。

 

 

■どうして日本語を勉強し始めたのですか?

ジョハンさんと

ジョハンさんと

日本に来るまで、日本語は自分で勉強しました。アニメとゲームで・・・。日本のアニメやゲームが大好きで、アニメは小学校から、ゲームは「信長の野望」が本当に面白くて~~~。日本の歴史って、面白いですね。いろいろな人物が本当に面白い!

 

 

■日本の良いところと、直したほうがいいところを教えてください。

平和ですねえ~~。夜、一人で歩いてもぜんぜん問題ない。それから、みんな謙遜の気持ちが強いし、気配りして・・・。敬語があるのもいいと思います。使いすぎはよくないけど、敬語があるから、便利ですよ。それから、日本語はインドネシア語と比べて、言葉が多いから、いろいろな気持ちを細かく伝えられることもいいですね。

 

直してほしいことは・・・。もっと若者たちのことを考えてください。ぼくから見たら、今の日本は若者をしばっている感じがします。若い人がもっと自由に生きることができる社会がいいと思う。面接でもみんな同じ黒い服を着たり・・・。それから、簡単に自殺する人がいるのは、よくないと思う。それは、一番無責任な態度でしょ。

 

 

■これから日本語を勉強する人に対して「ひと言メッセージ」を!

まず、勉強を楽しめる人になってください。「漢字は友達」って感じが大切。楽しく勉強するには、漢字を分解してみるといいと思います。たとえば「語」は、「五/口/言」でしょ。

それぞれ意味があるから、それを考えると楽しくなってきます。

 

それから、何のために日本語を勉強するかを考えると、やる気がどんどん出てきます。私は、日本に行きたかったし、趣味のゲームやアニメのことをもっともっと知りたかったから、勉強するのが楽しかった。もちろん今も本当に楽しいです。将来は、ゲームを作る会社を作りたいです。

 

あと、マイペースで、ということ。日本は大好きだけど、日本に流されないように気をつけてください。自分の文化とか、いいところをずっと持ち続けることが大切だと思います。

 

最後に彼が以前書いた日本に関する作文を一部ご紹介したいと思います。(文言は原稿のままです)

 

 

♪  ♪  ♪

 

「アナと雪の女王」は見に行きましたか。最近このディズニーを製作した映画は日本に大ヒットで、子供はもちろん、大人の女性にも人気です。どこの音楽CD店でも主題歌の「レット・イット・ゴ~ありのまま~」が流されます。オリコンの3位まで突破しました。

 

なぜこの映画は日本に人気であろうか。

この映画はとっても素晴らしかったです。

その点は勿論、それよりテーマといいストーリーといい、現在日本の社会にとってはぴったりかもしれません。

 

ストーリーの中で、女王のエルサは子供から囚われた生活で生きています。間違いをしたくない、嫌われたくない、大切な人を傷つけたくないから部屋でずっと籠っています。日本の子供は正にエルサと同じ状態です。間違いを恐れ、社会のルールの中で囚われている。

 

今の日本は安定であり、その安定を維持するためにルールまたは規則を作りました。しかし、人々の生活を守るこのルールは古くなり冷酷な獄舎に変化になりつつ、日本の若者の未来や希望など中に閉じ込んでいます。

 

全部が新しく変わるまでは言いませんが、「面接の場合、頭から足に至るまで全部黒白、ほかの色は許されない」、やりすぎと思わないでしょうか。外見はそんなに大事なのでしょうか。規則やルールなどももう一度見直そう。ありのままの日本の若者の未来のためです。

スピーチコンテストのポスター

スピーチコンテストのポスター

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>