台湾で見たこと・聞いたこと・感じたこと~結婚式に出席して~

中国文化大学での講演会2013.11.23

中国文化大学での講演会2013.11.23

今回の台湾行きには、いろいろな目的がありました。1日目は中国文化大学で講演をし、大勢の先生方とお話をすることができました。「より良い授業をするにはどうしたらいいのだろう?」と皆で真剣に考えている素晴らしい先生方ばかり・・・。「長い間やっているうちに、見えなくなっていた事が、今日はっきりしました」「どうやって学生の話を引き出せばいいのか分かりました。やってみます!」等など、終わってからもみんなでワイワイガヤガヤ、楽しい時間を過ごしました。台湾での日本語教育も確実に変わっていこうとしていることを肌で感じることができた貴重な講演会でした。

また、台湾で暮らす『できる日本語』の著者澤田さんとご主人にお会いしたり、台湾で日本語教師をして10年になる清水さんにお会いしたり……。また、今年誕生した「日本語OPIノンネイティブテスター」である陳さんと羅さんにお会いして、OPI談義に花を咲かせたり……と、短いながら有意義な台湾滞在でした。

二人揃って・・・

二人揃って・・・

そして、何よりも大きな楽しみは、12年前の卒業生エイミーさんの結婚式に出ることでした。私は2012年7月にエイミーさんについて「台湾の元留学生が語る「人の縁」の大切さ」という記事を書き、こう締め括りました。

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私は、卒業後何年か経って、エイミーさんの相談に乗っている時に、「本当に大変だったのねえ。映画みたいに、いろんなことがあって・・・。それでもこれだけ前向きに頑張ってきたんだから、きっと素晴らしいことが待っているわよ」と言ったことがありました。そんな彼女が手にした「幸せ」だけに、嬉しくてなりませんでした。

エイミーさんと台湾での日本語の先生とご一緒に

エイミーさんと台湾での日本語の先生とご一緒に

「先生、10年間、私を精神的に支えてくれて、ありがとうございました。これからもがんばります!!」、そういうエイミーさんの晴れやかな顔を見ながら、「ああ、日本語教師という仕事は、なんとやりがいのある仕事なんだろう!」と改めて思いました。世界中で活躍する教え子達。私も彼らに負けないように、これからも前を向いて、頑張っていくことに致しましょう。

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この時の彼女の「幸せ」は、仕事関連でした。そして今回は、素敵な伴侶に巡り合え、幸せいっぱいのエイミーさんでした。大好きだったご両親を相次いで亡くし、その後いろいろ苦労を重ねた彼女でしたが、その姿勢はいつも前向き。「先生、大丈夫、大丈夫、エイミー頑張る!話を聞いてくださって、ありがとうございました」という言葉で別れるのが常でした。

 お祝いに津軽三味線を・・・

お祝いに津軽三味線を・・・

結婚式のお知らせは、ずっと前に届き、私はしっかりと手帳に印をつけ、この日を楽しみにしていました。実は、以前、私はエイミーさんと「先生、私、どんなに大変でもがんばるから、私が結婚する時は、絶対結婚式に来てください。約束です。ああ、でも、無理ですよねえ、先生がいらっしゃるのは……」という会話を交わしていました。ラッキーにも日程調整が可能となり、ついに結婚式に出ることができたのです。

松山空港近くにある「大直典華」で行われた結婚式でのエイミーさんのあふれんばかりの笑顔、美しいウェディングドレス姿・・・、私は涙がこぼれそうになりました。

披露宴の各テーブルにご案内がありました

披露宴の各テーブルにご案内がありました

式には、日本から津軽三味線の先生お二人が見え、すばらしい演奏を聞かせてくださいました。実は、イーストウエスト日本語学校でも授業をお願いしたり、何人かの学生さんが習いに行っていた澤田勝紅(小井手)さんに、エイミーさんも習いに行っていたのです。すっかりその津軽三味線に魅せられた彼女は、台湾に帰る時には、「台湾でも練習します!でも、どうやって先生を探したらいいのかな?」と言いながら、嬉しそうに三味線を抱えて帰って行きました。

淡江大学日本語学科の先生方と記念撮影

淡江大学日本語学科の先生方と記念撮影

それからも津軽三味線を軸にした交流は続き、今回忙しい公演活動の合間を縫って、澤田勝秋・澤田勝紅両氏が台湾までお見えになり、お祝いの曲をプレゼントしてくださいました。「台湾と日本との交流を祈念して・・・」という挨拶から始まった熱演に、盛大な拍手が送られました。

「人の縁」を大切にし、ひたすら前を向いて生きているエイミーさんは、これからも幸せをどんどん掴んでいくことでしょう。エイミーさん、いつまでもお幸せに!!

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台湾で教える日本語の先生方から「ひと言アドバイス」:

◎学生数にあまり変わりはありませんが、確かに他の言語、例えば韓国語に学生が取られているということはあります。でも、そんなに大きな問題じゃないと思います。日本語教育のほうがしっかりしていて、人気も高いですから……。私の学生も、日本語も韓国語も勉強している人が何人もいますよ。ただ、台湾の中の生徒の数が減っていることは、根本的な問題としてありますよね。

◎「クールジャパン」ですけれど、どうも欧米に目が向いているように思います。いろいろ言われていること、台湾の人にとっては、「あ、そう」という程度の関心がないことも多いんですよ。ぜひもっとアジアに目を向けて、しっかり調査をしたうえで、いろいろな事を進めてほしいですね。

◎台湾の人は、日本のことにものすごく関心があります。食文化もそうですし……。だからもっと上手に発信したらいいのに、と思いますね。こちらでは、「日本フェア」みたいなのが、とても人気があります。この間もデパートで日本物産展をやっていましたが、すごい人気。そういうのをもっと上手に、いろいろな所が手を組んで仕掛けたらいいと思います。

◎日本語能力試験が変わったでしょ。だから、何か変えなきゃって思っているんですけど、どうやっていいか分からない先生が多いように思います。実際の授業に役立つ研修会みたいなのをドンドンやるといいんですよね。

◎OPIがもっと広がると、台湾の日本語教育も変わっていくんじゃないでしょうか。もちろんテスターになるのは大変ですけれど、その考え方というか、それに基づいた教え方が広がっていくといいですよね。

士林官邸の見事な庭園

「士林官邸菊花展」は、広大な庭園にさまざまな仕掛けがあり、素晴らしい菊花展でした。奥にある蒋介石旧官邸も興味深いものでした。

 

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