介護施設で働くプレシーラさん~「めいと松戸運動公園」を訪ねて~

「めいと松戸運動公園」前で

「めいと松戸運動公園」前で

先月「外国人とともに考える町づくり」という講演会を松戸で行いました。http://www.acras.jp/?p=1932その時ゲストスピーカーとして参加したフィリピン出身のプレシーラさんの話に感動!そこで、彼女が働く介護施設「めいと松戸運動公園」にお邪魔することにしました。ご一緒してくださったのは、ずっと前からプレシーラさんとともに歩んでいらした真鍋昌子さん(松戸市国際交流協会日本語教室)です。

プレシーラさんのことを紹介したいと思ったのは、これから日本社会に暮らす外国の方々が、社会参加の一つの選択肢として介護の世界をぜひ考えてほしいと思っているからなのです。日本語を学び、介護の勉強をしていく中で、人との良い出会いがあり、素敵な社会参加・自己実現が可能になっていくことをお伝えしたいと考えました。

■介護の世界に入ったのは、将来義理のお母さんの介護をしたいから!
日本に来て9年になるプレシーラさんですが、最初は日本語が話せませんでした。しばらくして工場で働き始めましたが、「こんなに私を温かく支えてくれている主人のお母さんの優しさに恩返しできるのは、プレゼントなんかじゃない。病気になった時、年を取った時、お母さんの介護をすることだ!」と考えたそうです。そこで、ホームヘルパー2級の勉強を始め、介護施設で働く道を探しました。そうは言っても、勤め始めた頃は、報告書の作成や夜勤の時に苦労したそうです。でも、一つ一つどうやって書いたらいいのか、周りに聞きながら、仕事を覚えていきました。

■大きい所より「小さい家族的な施設」で!

プレシーラさん

プレシーラさん


松戸にある「めいとケア」には、現在20を超す施設があります。居室数が18室のところから、60室以上のところまでさまざまです。面接の時に、上村会長は次のようにプレシーラさんに伝えたそうです。

「プレシーラさん、頑張ってください。最初はあまり大きな所より、小さくて家庭的な施設のほうがやりやすいと思うから、そうしましょう。困ったことがあったら、何でも周りの人に相談してやっていってください」

今日、私達と一緒に上村会長とも懇談をしたプレシーラさんは、「面接の時の会長の「あの言葉」は今でも忘れられません」と明るい笑顔で感謝の気持ちを表していました。

■まずは自分から発信すること、そしてチャレンジ!
プレシーラさんは、「これから介護の世界に入ろうと思っている後輩」へのアドバイスとして次のように語ってくれました。

「最初は私もどきどきしました。でも、私のほうから声をかけるように努力しました。自分はこういう人間ですよって、アピールっていうか、見せていかなきゃ駄目ですよね。それに、この人はできる!ちゃんと仕事をする!って認めてもらえるように、しっかりやっていくことが大切だと思います。正直言って、「私は外人だから、すぐに夜勤はないだろう」って思っていたので、最初聞いた時、不安でした。でも、施設長がニコニコしながら、「大丈夫!できるよ!」って声かけしてくれたので、そのひと言で、「私もチャレンジしよう!」と思えるようになりました。むしろ、「私を認めてくれたんだ」って、嬉しい気持ちになったんですよ。

■英語でしゃべりだした利用者さん!

スタッフの方と一緒に

スタッフの方と一緒に


利用者さんの中にほとんど話をなさらない方がいるのですが、その方がプレシーラさんと目が合うと、「さびしくない?」と声をかけるようになりました。そして、ある日、突然英語で「Where are you come from?」とニコニコと話し始めたのです。それにはプレシーラさんもびっくり!英語で答えると、今度は日本語にスイッチして次々質問が・・・。

・あなた寂しくないの?
・親が遠いでしょ?
・私も寂しい。私の息子も遠いから、会いたいんだけどね。

この利用者さんは、プレシーラさんと毎日接している中で、ご自分の人生の「何か」を思い出されたのかもしれません。また、過去の楽しかった「何か」を思い出されたのかもしれません。そして今の自分の思いに重ねながら~~~。

■彼女を採用したのは、「明るさと前向きな姿勢」!
「うちの施設では、プレシーラさんが初めてのフィリピン出身のヘルパーでした。でも、面接で迷うことはありませんでした。彼女の明るさと前向きな姿勢は、抜群でした。今では、うちの施設になくてはならない存在です」と会長さんも言ってくださいました。そして今では「めいとケア」に何人かの外国の方がヘルパーさんとして働いているそうです。

施設長の話では、とくにレクリエーションの時など、彼女がいないと大変!みんなに明るく声掛けしている彼女がいると、周りの空気も明るくなるそうです。「介護に必要なのはハート!何よりも大切なのはハート!」という施設文化の中で、プレシーラさんは、「○○さん、元気?」「○○さん、お早うございます!」と声をかけながら、溌剌と仕事をしていました。

上村会長との面談では、「これからの日本社会における介護の問題」「介護人材育成の重要性」「外国人の介護スタッフの受け入れ」等、さまざまな話題が飛び出し、時間があっという間に流れていきました。今後日本語教育界は、こうした他分野・他領域の方々との対話・連携・協働をもっと進めていくべきだと、改めて思いました。

参考:
めいとケア:http://www.mate-care.com/

「ホームヘルパー2級研修」を終えて思うことhttp://nihongohiroba.com/?p=2753

「介護」を学びながら考える「日本語教師力」http://nihongohiroba.com/?p=2562

本部を訪問:上村会長[一番左】とご一緒に

本部を訪問:(左から:上村会長、プレシーラさん、嶋田、真鍋さん、小溝さん)

 

 

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