東広島市に見る「多文化共生町づくり」

相談員のお二人を囲んで

相談員のお二人を囲んで

10月26日(土)に「公財)東広島市教育文化振興事業団」のお招きで、日本語ボランティア研修に出かけました。台風の影響を懸念して前日に現地入りしたお陰で、研修当日の午前中、たっぷり日本語教室を見学し、いろいろお話を伺うことができました。

まずは、東広島市についてご紹介しましょう。頂いたパンフレットには次のように書かれていました。

「東広島市の人口は約18万人、その内約4,600人が外国籍の人です。広島大学・近畿大学工学部・広島国際大学では、合わせて約1,000人の留学生が学んでおり、「ひろしま国際プラザ」には、年間約700人の研修員が世界各国から訪れ、様々な研修を受けています」

このように外国人比率2.6%という東広島市は、その国籍も背景もさまざま、まさに「違いを大切にした多文化共生町づくり」を目指しています。今回の研修で私は、「多文化共生コーディネーター」として大活躍の「間瀬尹久(ませ いく)さん(上の写真後列左)」にお目にかかることが出来ました。間瀬さんからお聞きしたことを通して、東広島市の取り組みについてお話ししたいと思います。

■コミュニケーションコーナーは年中無休!
市民文化センターには、さまざまな国の人々が楽しく生活するために、役立つ情報を提供することを目的とした「コミュニケーションコーナー」があります。具体的には、1)多言語相談窓口、2)図書・情報コーナー、3)無料インターネットサービス、4)日本語教育関連と、4つのコーナーが設置されています。私が研修のことで打ち合わせをしている間にも、いろいろな国の人達が相談に訪れていました。

今日お会いできた相談員は、マレーシア出身のユンチンさんと、ブラジル出身のマルシアさん。もう20年以上日本に暮らす方々です。こうして年末年始以外は毎日相談を受け付けているという多言語相談窓口、全国にもこんなに行き届いた相談コーナーは珍しく、感動しながら見学していました。

■実に多様な日本語学習支援!

日本語自習学習サポート

日本語自習学習サポート

日本語学習支援も、さまざまな形のものが用意されています。

・サンスクエア日本語教室
・にほんごわいわい(おしゃべり型日本語教室)
・One-to-One にほんご
・日本語自習学習サポート
・にほんごひろばU-18

しかもこうした活動が、ばらばらに行われているのではなく、多文化共生コーディネーターを軸にして、ボランティアさん、市の職員の方などと一緒に作り上げている点が素晴らしいと思いました。

『日本語自習学習サポート」でターシャちゃん(インドネシア)と

『日本語自習学習サポート」で、ターシャちゃん(インドネシア)と沢山おしゃべりをしました。

例えば、私が参加した「日本語自習学習サポート」では、成人向けのサポートをやっているグループと、年少者を中心としたサポートの2グループが同じ教室で活動をしていました。お互いに助け合い、混じり合いながら活動している様子に感動!これもお互いに信頼関係があるからだと改めて思いました。

■自分達で教材を作り、直し続けている教室!
サンスクエア日本語教室では、2011年に写真のような教材「せいかつのにほんご」を作りました。よくある文型積み上げ教材ではなく、生活に密着した「使える日本語」をめざしています。間瀬さんは、「この教材は、<出来上がっ

東広島市サンスクエア日本語教室で作成した教科書

東広島市サンスクエア日本語教室で作成した教科書

たもの・完成したもの>ではなく、これからもずっと学習者やボランティアの方といっしょに使い、また作り直し・・・を繰り返していくものだと思っています」と説明してくださいました。それは、まさに私達『できる日本語』チームがやってきたことでした。これからも進化し続ける教材で学べる学習者の楽しそうな声が聞こえてくるようです。

■多文化共生コーディネーターの存在意義!
間瀬さんは、この道四半世紀という大ベテラン。日本語教育能力検定試験も合格した日本語教師でしたが、もっと全体を取りまとめる役割を・・・と、今の立場で仕事をなさるようになりました。ご自身のお仕事を次のように語ってくださいました。

「多文化共生コーディネーターは、日本語教育のことも分かっていないといけないし、もっと広く社会全体の中でどうあるべきかという視点を持っていることも大切です。どうしてもどちらかに偏ってしまいがちですが、そのバランスですね。いつも良い仲間と一緒に活動出来ていて幸せですが、まだまだ勉強が必要です」

実生活に役立つ教材づくり

実生活に役立つ教材づくり

実は、コーディネーターが存在せず、ボランティアさんの熱意に頼り切っている市町村がたくさんあるのです。今後は、こうしたコーディネーターの活動実態を積極的に発信し、その必要性を訴え続けていくことが重要です。それと同時に、「コーディネーターの定義付け」も求められています。多文化共生コーディネーター、多文化社会コーディネーター、地域コーディネーター、プログラムコーディネーター、日本語教室コーディネーター・・・・・・さまざまな呼び方があるのが現状です。まずは実態を把握し、整理し、さらには法整備をしていくことが喫緊の課題としてあげられます。「そのために求められる連携・協働とは~~~」、アレコレ考えながら東広島を後にし、大阪へと向かいました。

※掲載した写真は、許可を得て掲載しています。

参考:「日本語教育<みんなの広場>」
東広島市の「ヤッチャル」&「奥村玲子さん」http://nihongohiroba.com/?p=3250

 

 

 

 

 

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