5月中旬にマニラで「第17回フィリピン日本語教師フォーラム」が行われました。そこで私が感じたのは、日本語教育の多様性と熱気でした。フィリピン人の先生も日本人の先生も大勢参加してくださいました。そして、初等中等教育、高等教育、さらにはEPA看護師・介護福祉士候補生の日本語教育、技術研修、企業内研修……その現場は実に多様でした。
国際交流基金の「海外日本語教育機関調査」は3年ごとに行われますが、2009年度版によると、2006年にはフィリピンにおける学習者数は18,199人、2009年には22,362人と、22.9%の増加となっています。さらに、昨日(7月8日)発表された2012年度版を見ると、フィリピンの日本語学習者はさらに増え、 32,418人となりました。なんとこれは、3年前の45%増となります。(最新版の結果を入れ込みたいと考えたため、記事の掲載が大幅に遅れてしまいました)。現地で先生方とお話しする中で肌で感じた「日本語学習者数の増加、日本語熱のアップ」は、しっかりと数字に表れていました。
フィリピン日本語教育事情に関しては、「日本語教育国・地域別情報 2011年度フィリピン」に詳しく書かれています。http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/country/2011/philippines.html
また、2009年度の機関調査結果は、以下のURLで見ることができます。http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/result/index.html
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では、フォーラムに話を戻しましょう。フォーラムでは、午前中は講演、午後はワークショップを2本行いました。フィリピンの先生方は、これまでの文型積み上げ式のやり方に疑問を持ち始め、最近ではCan-doを生かした教育実践を目指して勉強会を開いていると聞いていました。実際にお会いしてみると、実に熱心に「どうやったら学習者の力が付くのだろうか」と、真剣に取り組んでいらっしゃることがよく分かりました。
参加者の日本語力はさまざまですが、私はできるだけ日本語で行うことにしました。フィリピンの場合、英語が通じてしまうので、どうしても英語で会議をしたり、講演を聞いたり・・・ということが多くなってしまうようです。「せっかく日本語教師フォーラムなのだから、たくさん〈日本語のシャワー〉を浴びてほしい」という思いで実施しました。
しかし、中には舌を巻くような日本語力の先生も大勢いらっしゃり、楽しいデモをしてくださいました。例えば、「こんな時、どんなふうに授業を展開する?」というグループワークをした際、何組か前に出て、大きなスクリーンを見ながら実際にやって頂いたのですが、フィリピン人の先生方から次々にジョークが飛び出し、会場は大きな笑いに包まれました。
終わってからも、ワイワイガヤガヤ、「先生、記念写真を撮りましょう!」「楽しかったで~~~す!」などと、ガッツポーズで楽しいひと時を過ごしました。明るく、暖かく、人懐いのがフィリピンの方の特徴、そうそう「魅力的な微笑み」がとても印象的でした!
これからもドンドン日本語学習者数が増えていくことを願ってやみません。
※ 参考:
講演=「学習者のコミュニケーション力が伸びる授業とは―『できる日本語』を使って―」
ワークショップ①=「話したくなる教室づくり」
ワークショップ②=「いろいろなCan-Doの使い方」