ダヒディさんの「インドネシア便り」~『新しい宿題』出版をめぐるひと言~

今日、インドネシアのバンドンにいらっしゃるダヒディさんから、「『新しい宿題』出版をめぐるひと言」というレポートが届きました。アクラス会員からの「インドネシア便り」ということで、皆さまにもお知らせしたいと思います。

ダヒディさんのレポートから少し引用しています。

 

 この本に掲載されているエッセイの内容ですが、「苦しみ」に満ちながらも幸福感を伴う、

日本語学習における卒業生一人一人の紆余曲折のエピソードが浮かび上がってきます。

さらに、継続的な関係にある教師と学生とのアイデンティティを反映しています。

38年間という付き合いの期間は短いものではありませんが、卒業生(この場合、

IKIP Bandung日本語教育学科の卒業生)は、教え子と教師の内なる絆が非常に

緊密であるため、優れた種子になり、広く咲く永遠の花に成長したことを証明し

たのです。

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『新しい宿題」出版をめぐるひと言

   By アフマッド・ダヒディ

 

『新しい宿題』出版完成準備直前。左から:サンティさん、金本先生、ヤヤットさん、私(アフマッド・ダヒディ)、スギハルトノさん。 西バンドン県チワルガ、チチャリタ村Warung QQにて。

『新しい宿題』出版完成準備直前。左から:サンティさん、金本先生、ヤヤットさん、私(アフマッド・ダヒディ)、スギハルトノさん。 西バンドン県チワルガ、チチャリタ村Warung QQにて。

私にとって、2020年には、驚きに満ちた年であり、学術的なキャリアにおける「喜び」の年でも言えるでしょう。なぜでしょう。この年は比較的、共同作品の出版に関しては、日本人やインドネシア人の友人から何かをするようにとの誘いがかなり多かったからです。しかし、全ての誘いはまったく処理されなくて、手が回らなくて、どうしようもなかったのです。ただし、その誘いの中の一つは成功しました。それは『新しい宿題』出版に向ける金本節子先生からの誘いで、やっと今月の15日に本が出版できて、ホットして、何よりです。

確かに、2020年の一月から今月に至るまでは地球上で蔓延しているコロナ禍のために非常に心配な年で、落ち着けない年だと思います。しかし、人生は泊ることができなくて、要するに続く必要があります。私のスローガンは「私たちは生きることを敢えてしなければならない」という!!!)、人生のリズムは「情熱的」でなければならないと思います。「情熱的な一日の過ごし方と言えば、幸せな気持ちと関係があり、それが人生には免疫力を安定させ、その結果コロナにさらされにくくなると言われているからだそうです。時間と空間に限りがあるとしても、やはり前向きな行動をとらなければないのが言うまでないことだと思います。もちろん、その操作は私たち一人一人の能力とその職業に応じているのを合わせて、行動する必要があります。

 

もちろん、日本人やインドネシア人からの良い誘いなら、無視してはいけないことだと思います。善良な人達からの「招待」は、自分の人生の「精神」を高め、私たちの生活が常に興奮し、変動し、リズミカルになるようにするためのポジティブなエネルギーの注入だからです。人生は単調ではありません。人からの誘いや招待と言えば、人からの信用性の価値と深いかかりがあるでしょう。私はこの「招待」の存在を本当に信じています。暗黙のうちに、他人からの「信頼」の真珠があり、それをまったく傷つけてはなりません。そのため、金本先生から『新しい宿題』という本を作成しましょうと声をかけていただいた時、何も考えずに、すぐに喜んで引き受けました。まもなく、金本先生が提案されたことに応じてエッセイを書きはじめました。早速、この5年間の自分の活動とその生活ぶりのことを思い出して、作文を書いて、知らないうちに、いくつか原稿ができました。全部、金本先生に原稿を提出しました。しかし、結局、最終的には『新しい宿題』には「人生を共にしてきた日本語」というタイトルで掲載されました。

 

 

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書名:『新しい宿題』(インドネシア語:Pekerjaan Rumah yang Baru)

編著:金本節子、アフマド・ダヒディ、スギハルトノ

出版社:CV。 Geger Sunten; Jl。Dr.Setiabudhi 228 Bandung

発行年:2020年12月

使用言語:日本語、インドネシア語

ページ数:406ページ

 

本『新しい宿題』は80グラムのHVS紙使用、ページ数406、全カラー、ソフトカバーで印刷され、また本のサイズB5ですが、その中身はUPI卒業生、特に金本先生の38年前の教え子達と38年後の教え子達のエッセイ集なのです。金本先生は1983~1983にかけての一年間、国際交流基金派遣専門家としてバンドン教育大学(IKIP Bandungと言う)、2003/2004年度、UPI大学院日本語教育専攻への客員教授となり、また、2019/2020年度、再びUPI大学院日本語教育専攻の客員教授を務めたのです。

 

『新しい宿題』には2つのパートで構成されており、パート1は7章で、パート2は3章で構成されています。つまり、全部で10章から構成されています。この本は、2015年に出版された『33年目の宿題』の初版発行に続く2回目の執筆集です。初版はUPI日本語教育学科の50周年創立を記念して発行されたものです。この件の情報に関してはhttp://berita.upi.edu/di-balik-dies-natalis-ke-50-departemen-pend Pendidikan-bahasa-jepang /をご覧ください。

 

さて、『新しい宿題』の強みや良いところは、日本語とインドネシア語で構成されていることです。また、日本語の部分では、ルビーシステムが使用されており、要するに漢字の上に読み方が追加されています。ルビーシステムは別の言い方ではフリガナと同じ意味です。このような構成なので、漢字を完璧にマスターしたい人、特に上手に漢字の読み方とその意味にとても役立つのです。また、補助教材のためにも有意義のある本だと思います。

 

ところで、この本に掲載されているエッセイの内容ですが、「苦しみ」に満ちながらも幸福感を伴う、日本語学習における卒業生一人一人の紆余曲折のエピソードが浮かび上がってきます。さらに、継続的な関係にある教師と学生とのアイデンティティを反映しています。38年間という付き合いの期間は短いものではありませんが、卒業生(この場合、IKIP Bandung日本語教育学科の卒業生)は、教え子と教師の内なる絆が非常に緊密であるため、優れた種子になり、広く咲く永遠の花に成長したことを証明したのです。この作品を通じて、全インドネシアのすみずみまで(隅々まで)広げて、また、それは「日の丸」の国への土地全体に広がると幸いです。

 

もう一つの本の利点は、後輩のために先輩が書いた道徳的なメッセージがたくさんあることです。そのメッセージの一つは、伝説のある元日本語教師(スメダンのエマン先生、現在94歳)からの非常に貴重なメッセージがあります。「教師は時計のネジのようなものです。ネジは小さいですが、時計全体に大きな影響を与えます。」。とヤヤトさんが書いたエッセイの中に書いてあります。どうか、私達は時計のネジのように振る舞い、機能することができる人になるよう願っています。

 

この本の欠点は人名の書き方にはまだ誤りがあります。また、インドネシア語訳にはやや曖昧なところがあり、日本語の構造の影響に縛られていると感じている文章があるような気がします。このエラーは、再修正の時間は余裕がなくて、金本先生がもうすぐ帰国していて、直接本を著者に渡してほしいとのことで、再編集や再修正がなかったため、非常に厳しい時期が原因だったのです。インドネシア語の諺はTiada gading yang tak retak、日本語では河童の川流れと言ったように、編集者、翻訳者、そして本の配給業者を務める私自身としては深くお詫び申し上げます。

 

最後ですが、2020年の終わりにコロナ禍の中の大流行が蔓延した時に生まれたこの『新しい宿題』は役に立つよう願っている次第です。

バンドンにて、2020年12月15日

(アフマッド・ダヒディ)

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