ソウルの日本語教室での活動 ~日本語・日本の文化を楽しみながら学ぶことの大切さ~(報告者:阿部由美子さん)

私は、昨年8月ソウルで4日間のOPIワークショップを実施しました。当時、日韓関係があまりよくない時期であり、何人もの方々から「こんな時期に長く韓国に行っても大丈夫なのですか」「本当にいらっしゃるのですか」という言葉をいただきました。私の中に「心配」という言葉はありませんでした。

 

そして、出かけたソウルでしたが、新聞報道で聞いているものとは、かなり違う光景でした。

町の人々はもちろん友好的で、街でもデモに出くわすこともありませんでした(一部の広場などでは、さまざまなデモの一つとして行われていたようですが・・・)。その時も、もっともっと住んでいる方々の活動・声を伝えていくことの重要性を強く感じました

参考:20周年を迎える「韓国OPI研究会」、活発な活動に感動!

http://www.acras.jp/?p=8810

 

ふと、1週間ほど前にフェイスブックで目にしたのが、上述したOPIワークショップに参加してくださった阿部由美子さんの記事でした。阿部さんは韓国人のご主人とソウルで暮らして、早30年、幼稚園の先生だったご経験を活かし、すてきな活動をなさっています。FBで見たのは、ほのぼのとした日本語教室の様子、韓国と日本との「ZOOM折り紙教室」の様子でした。

 

そこで、阿部さんに早速連絡を取り、「ぜひ日本語教室での活動について記事を書いていただけませんか」とお願いをしました。

では、皆さまどうぞご覧ください。

 

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ソウルの日本語教室での活動

~日本語・日本の文化を楽しみながら学ぶことの大切さ~

阿部由美子

レポート→ソウルの日本語教室での活動

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韓国に住み始めてからかれこれ30年。現在、EJU日本語専門学校で日本留学を目指す高校生に、そして私の自宅近くに住んでいる方々に日本語を教えています。日韓関係は常に微妙ですが、昨年からさらに思わしくない状況となり、ましてやこのコロナのためにさらに悪化している状態でもあります。

しかし、そんな中で、今年の3月に韓国人の可愛い小学生の姉妹とお母さんが「日本語を教えて下さい!」と私の家を訪ねて来て下さいました。私は、訪ねてきてくれた子供達のために、今までにない楽しい教え方をしようと心に決めました。

運よく「ドラえもんのあいうえお教本」がありましたので、子供達は楽しくひらがなを学び始め、1年生の漢字や手遊び、色々な単語、絵かき歌などを教材として、遊びながら日本語を覚えていきました。その過程で、この絵かき歌や手遊びの中には簡単でしかも覚えやすく、日常よく使われる日本語が隠れていることがわかりました。また、幼稚園での教諭経験を活かせることは、私にとって新しい発見でもありました。授業は週2回とし、その授業の中で1回は勉強中心に、もう1回は「料理と折り紙」というプログラムを組み、スタートしました。

この料理と折り紙の中で、楽しく日本の文化や伝統を伝えていこう。そう考えながらプログラムを組んでいきました。日本の可愛いキャラ弁や綺麗な折り紙は世界的に有名です。そして、このプログラムを実践しながら、子供達の心を捉えることができ、自然に楽しく日本の文化を伝えることができているのではないかと感じています。

それでは、プログラムの一部を少し紹介致します。

お弁当

 

お弁当②

 

 

毎週、このようなプログラムで構成しています。

まさに「昔取った杵柄」です。

子供達とどんな活動をしようかと考えていると、色々なアイディアがとめどなく湧いてくるのでした。

時々、テストもしていますが、「ひらがなテストで満点取ったらたこ焼きしよう」と約束をしたところ、一生懸命勉強して見事満点を取り、ご褒美にたこ焼き大会をしました。自分で作ったたこ焼きに興奮気味でした。

たこやき

 

 

子供達は、見るもの聞くもの全てが初めての経験で、その喜びの表現は私にも感動を与えてくれます。3

子供達やお母さんからは、

「先生!勉強がこんなに楽しいなんて初めて知りました。コロナであまり外に出られず、ストレスも溜まる時期でもあるのに、生活に張りが出てきました。韓国で日本の文化を味わえて本当に嬉しいです。毎週楽しみにしています。」

こんな感想をいただきました。

私は、ピアノが趣味でもありますので、歌を歌う時はピアノで伴奏をしています。最近ではピアノとバイオリンを習っている子供達と意気投合し、天空の城ラピュタの挿入歌である「君をのせて」という大人っぽい歌にも挑戦しています。音楽は世界共通です。

 

日韓問題は、政府やマスコミでは暗いイメージで取り上げられています。しかし、実際のところ私達一般市民は、とても仲良く交流しています。

また、去年一緒にOPIのワークショップを受けた先生が九州の大学に行かれ、可愛い年少さんのお子さんもいらっしゃるので、オンラインで折り紙をやってみようということになり、初めてオンライン折り紙教室を開催してみました。

折り紙なので、難しいかと思いましたが、ママに協力していただき、てるてる坊主と紫陽花の折り紙教室を無事終えることができました。作品もとても可愛く出来ました。折り紙

 

そしてこんな感想をいただきました。

「先生が韓国で折り紙教室をされているとのお話を伺い、是非オンラインでもとお願いしてオンライン折り紙教室が実現しました。3歳の娘でもわかりやすく、そして楽しく教えていただき、あっという間の一時間でした。今度は、韓国の子供達と一緒にという先生の素晴らしい構想、実現の折にはまた是非参加させてください!」

このzoomでの日韓オンライン折り紙教室を通して、これからの新しい日本語教育に手応えを感じるようになりました。現在は日韓ではありますが、世界各国からの輪も広がっていくのではないかと夢を描いています。

これからも日韓交流の架け橋となり、日本語そして日本の文化や伝統を韓国に伝えていきたいと思っています。

 

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