2019年4月刊行の172号『日本語教育』(日本語教育学会)は、特集「日本語教師養成・研修の新しい役割と可能性―多様な教育現場,学習者に対応する教師―」でした。私は、日本語学校における教師研修に関して、以下の論文を寄稿しました。
「日本語学校における教師研修の課題と可能性
―学び合う教師集団とネットワーキング―
これは、長年、日本語学校において教師教育に携わってきた者として、次のような点を論じたものです。
1. はじめに
2. 日本語学校における教師研修の課題
2-1 日本語学校の持つ特殊性
2-2 学校ごとに異なる学内教師研修の実態
2-3 大学および民間日本語教師養成機関との連携に関する課題
3. 日本語学校における教師研修事例
3-1 ともに育て合う教師力―日常的な実践共有と振り返り
3-2 学校を超えて育つ教師力―主任教員研修によるネットワーク構築
3-3 日本語学校学内研修の留意点
4 日本語学校における教師研修の可能性
4-1 文化庁報告書「資質・能力」記述から見えてくること
4-2 「個人の知見」と「組織の知見」の有機的な連関
4-2-1 “学び合い”を重視した継続的な研修
4-2-2 授業実践の共有から生まれる学び
5 まとめと4つの提言
これまで、日本語学校における教師教育に関心のある多くの方に読んでいただいてきました。そして、メールをくださったり、直接コメントをいただいたりと、さまざまな対話を重ねてくることができました。このたび、刊行から2年以上経過したことから、日本語教育学会より、「J-STAGEでの全文無料公開」のアナウンスが出されました。
関心のある方は、どうぞダウンロードなさってください。また、いろいろな方々と対話できることを願っています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nihongokyoiku/172/0/172_33/_article/-char/ja
なお、「刊行から2年以上経過した論文をJ-STAGEにて無料全文公開とする」という決まりは、2009年刊行の「日本語教育」141号以降、実施されています。2005年(126号)にも、日本語学校関連の実践報告を寄稿しましたが、これはアップされていません。関心のある方は、どうぞ以下のURLからダウンロードなさってください。
日本留学試験に対応した日本語学校の新たな取り組み
―課題達成能力の育成をめざした教育実践ー
http://www.acras.jp/wp-content/uploads/2021/04/39a99595d7b6908f4c4e7a76d72c653c.pdf
今、文化庁を軸として、日本語教師の資格化、日本語教育機関の類型化に関する議論が繰り広げられています。こんな時だからこそ、日本語学校がやってきたことを多くの方々により広く、より深く知っていただきたいと切に願います。