3月5日(金)、中野区ゼロホールにて、イーストウエスト日本語学校の卒業式が行われました。検温を経て会場への入場、ホールでは充分に前後左右の間隔をあけて着席しました。スピーチのあとは、必ず担当の教師が1回ずつ丁寧にマイクと机を消毒するという念の入れ方です。
コロナ禍で、さまざまなことがありました。辛いこと、気持ちが萎えそうになったこともあったことでしょう。でも、何と1日も欠席することなく頑張った「皆勤賞」、出席率95%以上の人に与えられる「精勤賞」を受賞した卒業生の数を聞いてびっくり!
皆勤賞 14人
精勤賞 48人
卒業生総数135人
両賞を合わせると、卒業生の46%になるとは、感動です。「学校の授業、楽しかったです」とニコニコと語る彼らのことばに、ほっこりとしてきました。それは、先生方のたゆまぬ努力、学習者への温かい思いがあってのことなのです。去年3月の東京都の小中高への休校要請を受け、イーストウエストではいち早くオンライン授業(同期型)を始め、その後もオンライン、また対面とのハイブリッド・・・と臨機応変に対応してきました。ボランティアサークル「風の会」による「日本語サロン」もオンラインに切り替えたり、先生方による「おしゃべりタイム」など、さまざまな工夫をこらしての1年間でした。
さて、ここで、毎年卒業式に表彰が行われる「なでしこ作文」についてご紹介したいと思います。イーストウエストは、1990年代前半から、地域社会とはさまざまな関わりをもって歩んできました。城山ふれあい館(さくら館)での交流活動の中で、「年配の方々の童謡の会」にもよくお邪魔したものです。そんな中で、「なでしこ会」が誕生すると、すぐにさまざまな交流活動が始まりました。その一つに「なでしこ作文」があります。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。
「中野の方々との触れ合い①~“なでしこ”のつぶやきとともに~(2012.8)
http://www.nihongohiroba.com/?p=2640
「地域の方々と留学生をつなぐ『なでしこ作文コンテスト』~11年目を迎えて~
(2019.3)
いつもは、「なでしこ会」から何人もの方がお見えくださり、授賞式が行われるのですが、今年はコロナ禍ということもあり、代表のムンさんお一人での実施となりました。
(何しろ平均年齢約84歳というグループです。外出は、とても慎重になさっています)
どうぞ4人の受賞者の作品をお読みください。これは、教師などのアドバイスは無しで、自分自身で考え、書き上げます。それを、名前をカットして応募作品を冊子にして、なでしこ会の方々、イーストウエストの先生方ですべての作品を評価していきます。
評価のポイントは、次の3点です。
①日本語力よりも内容を重視すること。
②体験から来る意見・感想であること。
③その人らしい考えが出ていること(オリジナリティー重視)。
最優秀賞 「留学生活で感じたこと」
優秀賞 「留学生活で感じたこと」
優秀賞 「前進と振り返り」
優秀賞 「留学生活で感じたこと」
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少し、引用をしておきます。それぞれの作文を、どうぞクリックしてお読みください。
ソウさん
私はこれから日本で、民間ボランティア消防組織に入るつもりです。公園で走り回る無邪気な子供の笑顔や、私が学校に行く時に「行ってらっしゃい」と言って玄関に座って太陽を浴びているおばあちゃんが好きです。この平和な町を守りたいです。
トンさん
その4か月間、午前学校の授業が終わってからすぐ図書館へ行き、純樹先生と閉館まで試験を準備し、家で夕食後、11時から夜3時にかけて学び、睡眠時間は更に4時間に減らしました。
※純樹先生とは、図書館で出会った日本人の方です。
トンさんを教えるために毎日図書館に来てくださっていました。
テイさん
スーパーに買い物に行く時、頭の中で日本円を人民円に換算しています。高すぎて買うのを諦めてしまうことがあります。徐々に物事の価値や利害を判断する能力を身につけてきました。
ヒエンさん
日本での生活を振り返ると、酸っぱくて。辛くて。甘くて。塩辛くて。痛くて。楽しい味わいだけでなく、厳しい戦いのような時代でした。私は様々な経験をさせてもらった日本から、たくさんのびました。
※学生さんが応募してきた原文のまま載せています。
※優秀賞のテイさんのタイトルは、応募時と現在では若干変わりました。
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最優秀賞をもらったソウさんの作文では、PDFとJPEGの両方の形で載せておきます。どうぞお読みください。