「法制化ワーキンググループ最終報告書」、学会のHPにアップ!

法制化WG最終報告書日本語教育学会の法制化ワーキンググループの最終報告書がホームページにアップされました。なお、一冊すべてをPDF化したデータは重すぎるため、項目ごとに分割したファイルへのリンクが張られています。

表紙
目次
はじめに
1.設立経緯
2.活動実績
3.『日本語教育でつくる社会』要旨
4.法案骨子の論点整理
5.提言文(素案)
6.活動の評価と今後の課題
参考資料一覧
奥付
裏表紙

ご紹介をかねて、最終報告書の「はじめに」をここに記すことと致します。どのような経緯でこのワーキンググループが生まれ、何をしてきたのか、今後どういったことが求められているのか、ざっとご覧いただければ、と思います。

  はじめに

2008年秋、歳費削減、行政改革の大きなうねりの中、旧国立国語研究所を別組織に移管し、日本語教育研究部門を実質的に廃止するという政府法案が国会に提出されようとしていました。このままでは、ますます重要度を増す日本語教育研究が大幅に後退してしまうのではないか。危機感をいだいた日本語教育関係者は、日本語教育研究部門の撤回を目指して、国会への働きかけを開始し、翌年2月に法案審議が開始されてからは、請願署名を集めて文化庁に提出するなど、精力的に運動を繰り広げました。

こうした運動が効を奏して、国会審議で政府法案に一連の修正が加わり、新研究所でも日本語教育研究が存続するという形での緊急避難がなんとか叶いました。

 しかし、これらの過程を通じて、日本語教育政策について国の基本方針や裏付けとなる法律が存在しないことがこうした問題の根源にあること、したがって、日本語教育を総合的に振興する法律の整備を目指すことが必要であることが明らかになったと言えます。

本報告書は、こうした問題意識のもとに日本語教育学会内に設けられた「日本語教育振興法法制化ワーキンググループ」の2年半にわたる活動の記録です。

2011年3月に起こった東日本大震災の影響は、ワーキングループの活動にも大きな影を落としました。社会問題に関する人々の優先順位が変化したため、社会へのアピールも国会や政府に対する働きかけも、スローダウンせざるを得ませんでした。震災後1年間で、外国人の日本離れが進み、観光客も留学生も定住者も減りました。

しかし、日本離れにもようやく歯止めがかかってきたようです。今後の社会復興、経済復興にとって外国にルーツを持つ人々の存在は欠かせません。日本語教育のインフラが整って日本社会が魅力を増せば、日本回帰が進みます。また、「活気ある社会づくり」に必須の日本人のコミュニケーション力向上にも、日本語教育の経験や知見は生かせます。

多くの人がコミュニケーションや絆、連帯の大切さを実感しています。そして、外国人が住みやすい社会は、日本人にとっても生きやすい社会です。「活気ある社会づくり」は以前にも増して必要ですし、日本語教育の果たすべき役割も増しています。

この国が日本語教育の体制整備に向けて大きく踏み出すことに私たちの活動がどれだけ貢献したか。それを評価するのは、10年後の人々です。そのとき、外国人にとっても日本人にとっても生きやすい社会が実現していることを祈願してやみません。

社団法人日本語教育学会

                              日本語教育振興法法制化ワーキンググル―プ

座長 今村和宏

 

 

 

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