大学生による「多文化共生プレゼンコンテスト」に参加して~発想豊かな大学生のプレゼンに感動!

今日(11月4日)、東京国際フォーラムにて「多文化共生プレゼンコンテスト:多文化共生都市を目指して~大学生が考える東京の未来~」が行われました。これは、東京都主催の人権啓発イベント「ヒューマンライツ・フェスタ東京2017」の一環として、東京都と5大プレゼンコンテスト学が連携して実施されているもので、今年で3回目となります。企画も運営も大学生が主体となってやるイベントであること、都に対して具体的な提言をするプレゼンであることに強い関心を抱いていたのですが、今回やっと参加することができました。

 

プレゼン内容はオリジナリティあふれるものであり、また体験を織り交ぜたり、身近なものを取り入れたりしながら具体的に提言しているものであり、どれも見事なものでした。パフォーマンスに関しても、社会人も舌を巻くような簡潔明瞭な話し方、構成のうまさ、効果的なパワポ作成……実に魅力的なプレゼンでした。

 

 

では、第3回のプレゼンコンテストについて、ご紹介をしていきたいと思います。

結果を先にお伝えしておきましょう。

どれも個性豊かな、アイディアに富んだものでしたが、

最優秀賞は「明治大学:Dive into Diversity~みんながつくる5つの輪~」

優秀賞は「東京外国語大学:駅を利用した生活者としての外国人との交流プロジェクト」でした。

 

 

◆開催趣旨:東京を多様性が尊重され、温かくて、優しさにあふれる都市とし、互いの文化や生活習慣を尊重できる「多文化共生社会」を実現するために効果的な取組は何か、都内大学生が提言することで、都民の多文化共生への関心を高める。

 

◆提案内容:多文化共生を都民に啓発するための効果的なプロジェクト

 

◆参加大学:中央大学、東京外国語大学、法政大学、明治大学、早稲田大学

 

【早稲田大学:山西ゼミ】

「足元にある共生の種に気付く~他者の声に耳を傾けることから~」

 

多文化共生の敷居を低くすることから始めたいと、「他者の声を聴くこと」の大切さに焦点を当ててプレゼンが行われました。「聴くこと」こそが重要であり、居酒屋、塾、そして介護施設での自分自身の体験をもとに「聴くことで大切なこと」として<楽しむ/受け止める/想像する>という点が挙げられました。

具体的な提言としては、「『聴く』の間」を作るというアイディアが紹介されました。「声の交差点プロジェクト」、実現できるといいですね。

 

 

【中央大学:森茂ゼミ】

  「東京モザイクアート~多文化共生社会の一員を目指して~」

 

モザイクアートという新しい視点で多文化共生社会づくりへの提言が行われました。モザイクアートの特徴として、1)ピース(社会の一員)、2)非言語、3)広く長い啓発といった点が挙げられました。つまり、言葉の壁がないこと、そしてみんなが通る所に飾ることで、啓発の可能性が広がるというわけです。

壮大なモザイクアートは、小さな写真で出来ていますが、それは「あなたが社会の一員として感じた瞬間」をテーマにした多文化共生フォトコンテストを実施することで集めていくという企画です。設置場所は「東京駅」、なんだか想像するだけでワクワクしてきました。

 

 

【東京外国語大学:長谷部ゼミ&土田ゼミ】

  「駅を利用した生活者としての外国人との交流プロジェクト」

 

「外国人と交流する場なのだ」と、特別な場として取り立てるのではなく、日常生活の中で自然な形で交流できる場として「Coffee Stand by Me」を作ることが提案されました。大勢の人の流れがある駅で、「対面式で、自然な雰囲気で、オープンスペースのコーヒー・スタンド」をイメージしています。

一人ひとりが多文化共生社会の一員という自覚を持って、「外国人と一緒に暮らすことが当たり前になる社会」を目指した提言でした。提示されたすてきなイメージ図を見て、私もふらっと寄ってみたくなる雰囲気のスタンドでした。

 

【法政大学:山田ゼミ】

  「多文化 Journey in University~大学生から始めよう~」

 

学内で調査を行った結果を見ると、「国際交流に興味がありますか」という質問に対する答えは「ある/どちらかといえばある」が約8割です。一方、「学内における国際イベントを知っているか」という質問に対して約87%が「いいえ」であり、「(学内に関わらず)国際交流イベントに参加したことがあるか」という質問に対する回答も、「ない」が86%と同じような数字が示されていました。

このことから、まずは大学生にターゲットを当てた啓発活動を考えることとし、「授業+合宿」案が出されました。大学生自身がこうしたカリキュラムを考え、実施に向けて案を練っていくことは、本当にすばらしいことですね。主体的に考え、行動する大学生に感動です!

 

 

【明治大学:山脇ゼミ】

  「Dive into Diversity~みんながつくる5つの輪~」

このプロジェクトで感心したことの一つに、「これまでやってきたこと→今やっていること→オリンピックも含めこスタンプラリーれからのこと」という継続性の重視があります。5つの大学で3年間一緒に「プレゼンコンテスト」をやってきたことを活かし、5つの大学で「5つの輪スタンプラリー」をしようというのです。

<教育 言語 食 観光 スポーツ>

 

これに参加するのはできれば「家族参加」という切り口、「次世代育成」を考えている点も注目に値します。また、イベントをして終わりではなく、東京都に認定してもらえる資格制度「多文化アンバサダー」を提案している点もみごとでした。IMG_20171104_0002

 

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大学、日本語学校、日本語教室等では盛んにスピーチコンテストが行われていますが、こうした「ある課題に対して具体的な提言をする」というプレゼンコンテストもぜひ取り入れたいものだと強く思いました。一人で行うスピコンとは違って、チームで「対話」を重ねながら創り上げていくというプレゼンコンテストは、日本人が苦手とする「対話力」に目を向けるという点でも意義のあるものだと思います。また、10分のプレゼンが終わったあと、審査員から5分間質問を受けるというのも、良い方法ではないでしょうか。

審査結果を待つ間の時間は、大学生同士、聴衆からの質問に答えることに使いました。法政チームが、「大学生なので、大学生のみんなと一緒に社会を変えていきたい。私たちが考えていくのだ!という思いです」と発言したことが、とても印象的でした。

なお、今日のプレゼンコンテストは、後日You-Tubeにアップされるとのことです。

 

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