高校時代に培われた社会人基礎力~「同級生交歓」(『文芸春秋』)に出て思うこと~

このたび、『文芸春秋』「同級生交歓」に、東京都立西高校時代の仲間と一緒に登場することとなり、6月号に掲載されました。高校に入学したのは1962年、交友関係はなんと半世紀以上ということになります。西高正門ずっと交流が続いている大勢の仲間達は、私にとって大切な財産になっています。今回「同級生交歓」に出た4人組は、「今でも仕事を続けている女性」ということがキーワードでした(当時、西高は男子生徒300人に対して、女子は100人という割合でした)。古稀を過ぎてなお「現役」、そして「生涯現役」でいたいと願う私たちは、会うといつも「さらなる夢」について語り合っています。

 

母校について少し説明させていただきます。

今でもそうだと思うのですが、私たちの時代、西高には校則らしい校則はなく、実に自由で、和気藹々とした雰囲気の中で、個性を重視した教育が行われていました。クリティカルに考える力、自律的に学ぶ力、対話力などは、このとき培うことができました。思い思いに読書会をしたり、尽きることのないおしゃべりに興じたり……。まさに青春を謳歌した毎日でした。

 

卒業50年を過ぎた今なお、男女問わずさまざまな形で交流が続いている仲間達は、かけがえのない財産です。ゴルフの会、囲碁の会、俳句の会、ワインの会……いろいろな活動グループが存在しています。誰かが個展を開くと言えば、みんなで出かけて行き、コンサートを開くと言えば、家族で聴きに行き……。半世紀すぎた今もなお、「あの時の日本史のイタチャンの授業、面白かったよね。邪馬台国の話、忘れられない」「1年生の英語で読んだラフカディオ・ハーンの『雪女』、面白かったよね」と、話は尽きません。知識の詰め込みではなく、まさに仲間との対話があり、文脈のある学びだったことが大きな特徴です。これが私の教師人生の基礎を作ってくれました。

 

西高3十代という多感な時代を、いかに他者との関わりの中で過ごすかが、その後の仕事人生に大きな影響を与えるかについて、改めて考えさせられた「同級生交歓」登場でした。

 

 

高校時代の影響については、「西高卒業50周年記念WEWB文化祭」にも書きました。

   生涯現役をめざして!

     ➡西高卒業50周年WEB文化祭

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                      (※編集部より、写真の掲載許可をいただきました) 

(右から)

  眞鍋圭子 (サントリーホール エグゼクティブ・プロデューサー)

  加納ナオミ(医療法人 加納歯科医院 副理事長)

  嶋田和子 (一般社団法人 アクラス日本語教育研究所 代表理事)

  酒井久美子(写真家)

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『文藝春秋』6月号

『文藝春秋』6月号

一九六二年、東京都立西高校に入学した四人は自由な校風のもと青春を謳歌。合唱部だった眞鍋は上智大学でドイツ哲学を学び音楽美学に出合う。佐治敬三のホール造りにカラヤンと共に尽力。ホールオペラや海外アーティスト企画等を担当する。理論派でマルチ人間の加納はリーダー的存在。東京医科歯科大学に進学し、高崎市にて家族で地域の歯科医療の発展に努める。

酒井は慶応義塾大学からJAL宣伝部に入社後、夜間専門学校で写真を学び撮影も担当。退職後も個展開催等、写真家として活躍。英語に関心のあった嶋田は津田塾大学に進学し、外資系銀行に就職。現在は日本語教育の分野で教師教育等に力を注ぎ、国内外を駆け巡る。古稀を迎え、四人でさらなる夢について語り合う。(嶋田)

 

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