「子供の勉強会」メンバーで、朗読を披露!:「第26回ほどがや国際フェスタ」

11月15日(日)、保土ケ谷区にある横浜市岩間市民プラザで「第26回ほどがや国際フェスタ」が行われました。去年もこのフェスタに参加しましたので、「順位は付けず、みんなでスピーチを楽しむ!~『ほどがや国際フェスタ』に参加して~」という記事を書きました。http://www.acras.jp/?p=3447

今年のスピーチ出場者は、13人。その中で3人の中学生が含まれていたのには、感動しました。これは、毎週土曜日に「子供の勉強会」が開かれていることが大きく影響しています。それぞれ素晴らしいスピーチでしたが、今回はスピーチの最後を飾った「子供の勉強会」に通う学習者による「朗読」についてお伝えしたいと思います。

 ※写真は「保土ケ谷国際交流コーナー」より提供していただきました。

熱心に直前まで指導をする上原さん

熱心に直前まで指導をする上原さん

 

 

■学習支援としての「子供の勉強会」

毎週土曜日の10時から12時まで、日本語力が十分でないために困難を感じている小学生・中学生を対象にした「子供の勉強会」が開かれます。この教室は、日本語を教えることが目的ではなく、学習の支援を柱にしています。そのため、基本的にマンツーマンで行われているため、それぞれの子どもの課題に向き合って支援することができるのが魅力です。

 

以前はそれほど多くはなかったのですが、現在は25人ほどの子どもさん達が参加しています。どこのボランティア教室でも同様の悩みを抱えていますが、子ども達は必ず毎回出席できるわけではなく、来たり、来なかったり……。でも、ボランティアさん達は、「少しでも子どもたちが学校で学ぶ時の役に立ちたい」という思いで、支援をしていると言います。

 

 

■みんなで作る楽しさいっぱいの「朗読」の発表

楽しそうに朗読をする子供さん達

楽しそうに朗読をする子供さん達

今日は、早く会場に着いたお蔭で、朗読の練習風景を見ることが出来ました。今年の出し物は、「おとうとねずみチロ」でした。森山京作『おとうとねずみチロのはなし』という絵本が出典ですが、これは小学校1年生の国語の教科書にも出ている作品です。文章は易しいけれど、こだまをみんなで強弱をつけて表現したり、チロの思いを表すのはなかなか難しいものがあります。

 

去年も参加したA君は、元気いっぱいチロの心の声を表現しています。なんだか1年でぐんと成長した感じがします。終わってから「楽しかった?」と聞くと、「うん!」と、元気いっぱいに答えてくれました。今回のチロの声がこだまするシーンは、みんなで協力し合わないと出来ません。本番直前に仕上げようと、ボランティアの上原さんは一人一人に声掛けをしながら、サポートしていらっしゃいました。

 

この作品を選んだのはボランティアの榮村さん。その理由を伺うと、次のような答えが返ってきました。

 

年によって違うんですが、今年は、タイから来たばかりの兄弟が

参加することになりました。この二人は、まだ日本語が出来ないので、

できるだけ負担を軽くして、楽しめるようにと思い、この作品にしまし

た。毎年出場する生徒の在日年数、日本語力、子ども達の積極的などを

考えて作品を選んでいるんです。

 

 

■先輩の「朗読」を聞きながら、来年の自分を想像し……

12のスピーチと朗読の講評です。

13のスピーチと朗読の講評です。

勉強会で朗読の練習をやっていることで、他の生徒さん達も「きっと来年は自分もやることになるだろう」「もしかしたら、自分がやる番になるかもしれない」などと考えているそうです。こうして自然な形で次の年のメンバー、内容が決まっていくのです。

 

最後に、生徒さんとボランティアの方の声をお聞かせしましょう。

【生徒さんと】

嶋田:

上手だったわね。とっても大きな声で、気持ちもよく出ていたし……。

Bちゃん:

そう?

嶋田: 

この朗読やって、何が一番楽しかった?

Bちゃん:

あのね、ナレーションの一番難しいのをやることになったんだけど、それが上手にできるようになったこと。

 

 

【ボランティアさんと】

上原さん:

いろいろな子ども達をまとめるのは大変ですけど、楽しいです。「子供の勉強会」は、今では私の生き甲斐です。今の生活は、ボランティア日本語教室と「子供の勉強会」を軸にして動いている感じですね。あとの生活は、まあ遊びみたいなもんですよ。

嶋田:

以前はどんなお仕事をしていらしたのですか。

上原さん:

国語の教員でした。だからこうして教員を辞めても学習の支援が出来ることは幸せです。

嶋田:

どれぐらいボランティア活動をしていらっしゃるのですか。

榮村さん:

10年ぐらいかな。

嶋田:

何か大きな変化って、ありましたか。

榮村さん:

以前は大学生が熱心に参加してくれましたけれど、今は、ほとんど……。来て手伝ってくれているな、と思うと「必要な時間が終わったから、大学に出す証明書をください」なんて言われたこともあります。

 

日本語の力が足りないことで、学校の勉強を困難だと感じている子ども達が増えています。大学生など若い人も含め、もっともっとみんなで支え合い、「ともに日本社会に生きる仲間」として活動していくという意識を育てることが重要だと、改めて思いました。

           文化庁平成26年5月1日調査結果より

集合写真

集合写真

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