体験から生まれたスピーチ(イギリスの高校生):「僕の想像していた日本と、本当の日本」

6月の最後の日曜日、イギリスのエールズベリーで日本語教育に携わる足利さんから、こんな嬉しいお知らせが届きました。それは、昨年秋「1週間の短期プログラム」で日本語を学び、日本体験をした高校生のオリバー君がスピーチコンテストで優勝したことを告げるものでした。

優勝したオリバー君

優勝したオリバー君

タイトルは、「僕が想像していた日本と、本当の日本」、いかに現地に行って、人と触れ合って、そしてつながっていくことが大切かを改めて考えさせてくれるものでした。足利さんの許可を得て、ここにご紹介します。

 

【足利さんからのメール】

 

イギリスはこの季節のお天気は、とてもさわやかでカラッとしてしのぎやすく、一年で一番いい季節です。毎年恒例の英国語学教師会、日本語委員会とジャパンファンデーション主催(大使館後援)の、セカンダリースクール(中学、高校生)対象の日本語弁

論大会が去る6月20日の土曜日にロンドンで開催されました。

 

3月に原稿を書いて録音したものを送り、一次予選を経て、今回が最終選考でした。イギリス中からおよそ180件ぐらいの応募があり、7,8,9年生がキーステージ3、オリバーの10,11年生はキーステージ4、そして12,13年生(高校生)はキーステージ5と呼ばれる段階別に全国から選ばれた6人のファイナリストが演説を競いました。

そしてオリバー君がなんと一位になり、日本語カップと呼ばれる大きなカップをいただきました。(これは一年間学校が預かり、1年後にはまたお返しするものです。)

オリバー君の原稿と、賞品をもらった時の写真を添付しておきますね。彼のスピーチのタイトルは「僕が想像していた日本と、本当の日本」というものでした。

       ・・・・・・中略・・・・・・

なお、オリバー君の家にホームステイした津田塾大学からの留学生(大石真由さん)がちょうど3月にホームステイした時、オリバー君がどんなスピーチにしようかと迷っていて、真由さんが「行く前と行った後の日本を比べてみたらどうか」というアドバイスをされたそうです。真由さんもブリストルからこの弁論大会のためにロンドンまで出てこられて、一緒にオリバー君のスピーチを聞いてくださいました。

・・・・・・後略

 

【スタディーツアーの紹介】

10月のスタディーツアー(イーストウエスト日本語学校にて)①

10月のスタディーツアー(イーストウエスト日本語学校にて)①

 

この「1週間日本スタディーツアー」は、午前中日本語学校(イーストウエスト日本語学校)で学び、午後はさまざまな日本体験をするという、実に充実した内容のプログラムでした。また、ホテルに泊まるのではなく、期間中ずっと全員がいくつかのご家庭に分かれてホームステイをすることができたのです。なかなかホストファミリーを見つけるのが難しいと言われますが、今回はすべて足利さんの母校である津田塾大学の人的ネットワークで実施されました。

 

3軒のお宅に分かれてのホームステイでしたが、それぞれが「つながり」を持ち、また、その後も、オリバー君の家に津田塾大学生がホームステイをするなど、新たな「つながり」も生まれています。そして、今回のオリバー君の発信・・・こうしたプロセスを皆さまにお伝えし、スピーチ「僕が想像していた日本と、本当の日本」を読んでいただきたく、記事にしようと考えました。

 

足利さんから頂いた「オリバー君の日本語学習情報」をお伝えし、その後で、オリバー君のスピーチをご紹介します。

 

♪   ♪   ♪

 

オリバーの日本語学習歴は13歳のとき、週一回放課後の90分クラスで習い始めて、今年で4年目。ずっと週1回の少人数クラスで、放課後に勉強してきました。学校のカリキュラムで学んではいないので、いろいろなハンディもありました。でも、ほかの科目もよくできる優秀かつ本当に真面目に努力する生徒です。

 

【オリバー君のスピーチ原稿】

スタディーツアー:お世話になったホストファミリーにお手紙

スタディーツアー:お世話になったホストファミリーにお手紙

 

僕の想像していた日本と本当の日本  

          Oliver Binns(Aylesbury Grammar School) (11年生:16歳)

 

エールズベリーグラマースクールのオリバーです。去年の10月に一週間東京でホームステイをしました。はじめて日本に行きましたから、ドキドキ、しました。ぼくは小さい時、いつも日本へ行きたかったから、dream come true つまり、ゆめのようでした。僕はともだち と二人で ふくださんの うち にとまりました。月曜日から金曜日まで、午前中は 日本語学校で 日本語を 勉強したり 見物をして、じゅぎょうの後、午後はいろいろな見物をしました。たとえば、スカイツリーにのぼったり、あさくさで ぶらぶらしたり、未来館へ行ったり、しんところざわの中学校 へ 行ったりしました。たった1週間だけの日本でしたが、日本人のせいかつについて たくさん 学びました。日本に行く前、ぼくには、日本についていろいろクレイジーなアイデア が ありました。だから きょうは、ぼくの想像していた日本と、本当の日本とをくらべて、その違いについて話したいと思います。

 

小さい時、いつも日本は スーパ ー モダンな国 だと 思っていました。この いんしょう は、テレビの番組、シンプソンズ から 来たと 思います。僕は、子供のころ毎晩 シンプソンズ を みていました。そして、シンプソンズ  一家 (いっか)が 東京 に 行くはなし が ありました。その ばんぐみ には たくさんの ロボットと テクノロジー が  あったこと を 覚えていました。また、ぼくは日本の未来の交通システムやテクノロジーについて、たくさんのドキュメンタリー番組を見ました。だから、僕は 日本では みんな が technology expert(テクノロジーエキスパート) だと 思いました。でも、日本に行った 後で その考(かんがえ)は変わりました。日本は、ぼくが想像していたほど フューチャーリスティック ではありませんでした。 そして、日本人がみんな technology expert じゃありませんでした。ぼくのホストマザーのふくだ さん も Wifi が 何であったかを 知りませんでした! そして、日本にいた間に、アシモ以外(いがい)、ぜんぜんロボット を 見ませんでしたよ!

スタディーツアー

スタディーツアー

 

それから、もう一つビックリしたことは、すべての 日本の うち はでんとうてき(伝統的)な 「となりのtotoro」の映画にでてくるような うち ではありませんでした。トトロは ぼくの大好きな アニメ です。トトロの映画のいえ は、とても古い家です。すべてのへや は たたみです。ぼくは、この 映画 を 見た後で、ぜんぶ 日本のうち は そうだとおもいました。けれども、これはまちがいでした。ふくださんの家は洋風で、たたみの部屋がひとつもありませんでしたよ。

 

さんばんめに おどろいたことは日本人は、ぼくの思っていたもっともっとていねいな人たちでした。 空港を出る時、東京の中心へ 行くバスにのりました。バスに乗って、バスが出発するとき、バスのスタッフはバスのパッセンジャーにおじぎをしました。僕は すごく、本当に ビックリしました。そして、僕は おう(王) の ような 気持ち になりました。 僕は イギリス人 ももっとbow(おじぎ)を してほしいです。  日本人 は ぜんぜん rude じゃない。ぼくは日本でほんとうに よく お世話してもらいました。そして、1週間 ふくださん はぼく の お母さん のようでした!

日本に行くことはすばらしいけいけん でした。日本について本を読んだりdocumentaries (ドキュメンタリー)を 見たりしても、日本は全部わかりません。だれでも本当の日本 を わかるためには、日本 にいくべきと思います。日本はぼくの想像以上にいい国でした。 みんな 日本語を勉強する人、ぜひ 日本 へ 行って、Discover the real japan! 本当の日本を発見してください。

 

これでぼくの話は終わりです。聞いてくれてありがとうございました。

スピーチコンテスト記念撮影

スピーチコンテスト記念撮影

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