1月14日(火)14時~16時、アクラスにて「留学生句会」を開催しました。これは、イーストウエスト日本語学校の学生を対象に、アクラスが企画したものです。実は、それにはこんな経緯がありました。
昨年12月中旬、『NHK俳句』の編集担当者からアクラスにこんな電話をいただきました。
「『日本語教育<みんなの広場>のホームページで、『イーストウエスト日本語学校の俳句コンテスト』の記事を読みました。外国の人がこうして俳句を楽しんでいらっしゃるのは素晴らしいですね。『NHK俳句』という雑誌では、今シリーズでいろいろな句会をご紹介しています。一度留学生の句会を見せていただけませんか」
しかし、もうイーストウエスト日本語学校ではクラス句会も学内俳句コンテストも全て終わってしまい、あと1年近くありません。そこで、「そうだ、アクラスでレベルに関係なく、俳句に関心がある留学生と一緒に句会をやって、それを見ていただこう!」と、「アクラス留学生新春句会」を開催することにしました。さらに、実施予定日が火曜日であったことから、「毎週火曜日にイーストウエスト日本語学校でやっている『ボランティア団体風の会』の方々にも来ていただく」というアイディアが浮かんできました。
「風の会」とは、「風のごとく自由に参加し、自由に語り合う」ことをモットーに、もう10年も続いているボランティア団体です。毎週火曜日にイーストウエストの学生を対象に2時間「日本語サロン」を開いてくださっていますが、時には、お花見、ビール工場見学、温泉旅行など外に出ての活動、さらにはご自宅にお招きいただくこともあります。
さて句会ですが、当日は風邪をひいて急にお休みの人、突然アルバイトが入ってしまった学生もいましたが、9名の留学生が参加、日本人側は風の会のメンバー7名が選句に参加しました。さらに日本語教師4名とNHKスタッフ2名を加え、22名で楽しいひと時を過ごしました。
まずは、自分達の句を短冊に書いて提出し、次は投句シートからそれぞれ2句ずつ選んでいきます。学生達は「みんな良いですね。全部選びたい感じ」などと言いながら、一生懸命選んでいました。まだ日本に来たばかりという留学生は、わからない言葉があると、後ろにいらっしゃる風の会のメンバーに尋ねに行ったりして、無事選句が終わりました。
次に、「○○選、3番・・・・」と読み上げ、「どうしてこの句が良いと思ったのか」など自由に選んだときの気持ちを話してもらいます。それが終わると、「この句を作った人は誰ですか」と作者を尋ね、作った時の気持ち・想いなど語ってもらいます。参加者からは「へえ、そうなんだ。誰と行ったんですか?」「焼津でお正月、良いですね」といった感想がどんどん飛び出します。まさに「俳句」を軸に「作者と選者/留学生同士/留学生と日本人・・・」、さまざまな対話が生まれていきました。
面白いことに日本人が選んだ俳句と留学生が選んだ俳句は、大きく異なりました。この結果には、「やはり日本人と外国人では、感じ方が違うんですね。面白い!」という声が上がりました。
本来は講師による披講があるのですが、せっかく「風の会」の方々が参加してくださっているので、全ての句に対してコメントを述べていただく形を取りました。留学生たちは、ボランティアの方の温かく、適切なコメントににっこり! とてもすてきな時間が流れていきました。
世の中では、「俳句は難しいもの。日本語を習い始めた留学生になんて無理」という思い込みがあるようですが、ぜひアチコチで留学生に俳句作りをしてほしいものです。たとえ知っている日本語の数が少なくても、日本語力が足りなくても、今見た光景、自分の心の中の思いは伝えられます。留学生たちの作っている時の真剣な姿、短冊に書いている時の嬉しそうな顔、そして「俳句で対話」をしている時の楽しそうな雰囲気・・・・・・。ぜひ日本語授業の中で、また外国の方との交流の中で「俳句で対話」を実践してみてください。たくさんの気づきが生まれることと思います。なお今回の「アクラス留学生句会」は、『NHK俳句』の3月号で紹介されることになっています。
第一席 初日の出 こころ暖か 勇気わく (張 文維:台湾男性)
第一席 銀世界 スケッチブック 踏んで見る (金 智焄:韓国男性)
第二席 一人旅 名古屋の城の 冬木立 (黄 慧蓉:台湾女性)
第三席 白い雪 寒風の音 心打つ (ケークン:タイ男性)