『できる日本語』説明会:採用校の白石さんとコラボで実施

「実践」を振り返って・・・

「実践」を振り返って・・・

6月22日(土)、東京・永田町で『できる日本語』説明会が開かれました。これまで全国で何回か説明会を実施してきましたが、6月に実施された2つの説明会(もう一つは、6月8日に行われた大阪での説明会)には、新たな試みがありました。それは、2部の「実際に『できる日本語』を使っていらっしゃる他校の先生」のお話でした。今回の2部の講師は友ランゲージアカデミー副校長の白石佳和さん、私は初めてのコラボにワクワクして説明会に臨みました。凡人社の説明会案内には、次のように書かれています。

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ペアワーク:授業をやっているつもりで・・・

ペアワーク:授業をやっているつもりで・・・

2011年春に「初級本冊」が出版されてから2年が過ぎ、2013年春に「中級本冊」「漢字たまご初中級」が出版され、これでシリーズ12冊目となりました。『できる日本語』シリーズは現場で作り、使用し、また作り直すという積み重ねから生まれ、まさに現場で生まれ、現場で育てられた、学習者と現場教師のための教科書です。今回の説明会では第1部で監修者の嶋田先生よりコンセプト、使い方などの概要を、第2部では実際に現場で使用されている白石先生より導入に際し、カリキュラム変更などの導入事例や実践報告など「現場でどのようなことが起こったのか?」をお話いただきます。

中級の説明をする高見さんと山口さん

中級の説明をする高見さんと山口さん

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白石さんは、今年4月から友ランゲージアカデミーに移られましたが、それまでは赤坂にある江戸カルチャーセンターの教務主任でした。その時に主教材を『できる日本語』に切り替え、それからずっと使ってくださっているのです。

これから白石さんの話が始まります

これから白石さんの話が始まります

白石さんが教科書を変えようと思ったのは、1.進学希望者の面接練習をしていて、応答がうまくできなかったり、長くまとまって話をすることができないこと、2.初級から読み書き中心になっているカリキュラムの弊害、3.日本語能力試験が新試験に移行、といったことがきっかけでした。しかし、『できる日本語』を導入直後には、現場ではちょっとした混乱もありました。そこで、著者のいるイーストウエスト日本語学校を訪問し、授業見学、見学後の著者達との「対話」、アクラスでの「研修会」、さまざまな方法で、学内を「学びの共同体」にしようと地道な努力を重ねていかれました。

その時気付いたことは、「教科書を変えても、教師のパラダイムシフトがなければ駄目だ!」ということだったそうです。そこから生まれた解決策は次のようなものでした。

話をする白石さん

話をする白石さん

1.お互いに授業見学をしよう!

2.教師間のミーティングを密にしよう!

3.イーストウエスト日本語学校の先生方と連絡を取り合おう!

最後に、「『できる日本語』を使い始めて変わったこと」として、次のようなことを話してくださいました。

【学習者の変化】
自己表現の活動が多くなり、クラスだけではなく学校の雰囲気も変わっていきました。何よりも学習者が積極的になっていきました。発話もとても多くなりましたし、楽しそうに話をしたり、作品を作ったり……。こうした発信力アップだけではなく、例えば日本留学試験の結果もよくなりました。それは、『できる日本語」が総合的に学べるからだと思います。

【教師の変化】
活動目標が明確に意識できるようになりました。また、教師の引き継ぎの方法や内容が大きく変わりました。どこまで文型をやったかではなく、「できる」の活動を中心に考えるようになったことで、「教師間の対話」が以前よりずっと増えました。みんなで共有しようという気持ちも強くなりましたね。「どういう活動をしようか」「どんなふうにやったか」「学習者の反応はどうだったか」「学習者は何ができるようになったか」ということに注目するようになりました。

これからは新しい学校で『できる日本語』を使用していく計画をお持ちとのこと、来週はまたお仲間と一緒にアクラスにいらして、「対話の時間」を持つことになっています。こうして『できる日本語』を軸にして、さまざまな教師の輪が生まれ、活発に「対話」が進められています。これが日本語教育現場に新しい風を吹き込むことになるといいのですが・・・。

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7月と9月にも、同じような説明会を開催します。ご興味がおありの方は、どうぞご参加ください。なお「『できる日本語 中級』に関する説明会」は、12月上旬に行う予定です。

7月29日(土)13:30~16:30 福岡 (博多バスターミナル)

9月14日(土)13:30~16:30 札幌 (札幌国際ビル)

ここで、「対話力」に重きを置き、人とつながる力を養うことを目指した『できる日本語』について、ちょっとご紹介しておきます。皆さんも一度手に取って『できる日本語』をご覧ください。そして、ご自分の教育実践を振り返り、周りの方々と「対話」を始めてみては如何でしょうか。

 ■『できる日本語』の特徴
1)「できること」がはっきりしている。

2)場面・状況がはっきりしている。

3)まずチャレンジ!

4)意味のあるタスク(課題)である。

5)スパイラル(らせん状)展開を重視している。

6)「固まり」で話すことを大切にしている。

■『できる日本語』が大切にしていること
1)コミュニケーション場面を大切に!

2)学習者の「気づき」を大切に!

3)学習者の「持っている力」を引き出すことをめざす!

4)学習者の「できる!」「上手になった!」という達成感を大切に!

5)「スパイラル(らせん状)」を意識する!

6)教室をコミュニティにする。そして、外のコミュニティとつなぐ!

『できる日本語」シリーズ(12冊)

『できる日本語」シリーズ(12冊)

『できる日本語』シリーズのご案内 → 『できる日本語』シリーズのご案内

 

 

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