11月7日の日曜日に、秋田ユネスコ協会主催の「外国人による日本語スピーチコンテスト」が行われました。このスピコンには、能代市にある「のしろ日本語学習会」から毎年学習者が参加し、賞をもらっています。そのことについては、『外国にルーツを持つ女性たち 彼女たちの「こころの声」を聴こう!』で、新聞記事やスピーチ原稿とともに、いくつも紹介しています。
学習会の主宰者である北川裕子さんは、こうして学習者がスピコンに参加することで、大学や大学院に通う留学生の声だけではなく、地域社会に暮らすさまざまな人の声を、人々に届けたいと強く願っています。また、スピコンに出ることは、学習者自身の自信につながったり、自分自身や社会を見つめたりする良い機会になると考えているのです。
去年は、コロナ禍で中止となりましたが、実施が決まった今年のスピコンには「ぜひ俊博君に、自分の思いを語ってほしい」と、北川さんは考えました。小学校4年生からずっと寄り添ってきた俊博君は、今年の4月に見事高校に進学、そして、スピコンでは15人の出場者の中で最優秀賞を獲得したのです。北川さんからのメールからのメールには、さまざまな思いが込められていました。許可をいただきましたので、メールの一部を紹介させていただきます。
今年は能代教室から、中国残留帰国4世の工藤俊博君
(高校1年)を参加させました。15名の参加でしたが、
彼が、最年少で最優秀賞(秋田県知事賞)に選ばれまし
た。彼のスピーチは「私の望む多文化共生社会」です。
・
俊博君の父親は、帰国3世、中国人の嫁さんをもらい
俊博が生まれました。学校ではイジメや差別を受けまし
た。中学校にも進めないだろうと言われましたが、必死
で頑張り高校に合格しました。彼のスピーチは、異文化
ルーツに持つ子どもたち全ての思いではないでしょうか。
・
多文化共生社会に向けて私たちは何を
するべきか模索していますが、工藤君
のスピーチに、その答えがあると感
じます。
彼の思いをきちんと受け止める私たちであ
りたいと思いました。嬉しかったです。
俊博が多文化共生社会の意味を自分自身の
言葉で伝えてくれました。自分で考え自分
でいました。支援してきた甲斐がありまし
た。
皆さま、どうぞ俊博君のスピーチ原稿をお読みください。地域社会の人財にできるかどうかは、その社会の在り方にかかっています。最後に、俊博君のスピーチの最後の部分を引用したいと思います。
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私の将来の夢は調理師になることです。まだまだ、勉強しなければならないことがたくさんありますが、一つハッキリしていることがあります。それは、外国人、特に子どもがいじめを受けたり、勉強が分からなかったり、ご飯が食べられないとき、支援できるようになることです。
全国一の過疎県と言われている秋田に、たくさんの外国人が来て、もっともっと元気のある秋田になってくれたら嬉しいです。多文化共生社会とは、この町に住んで良かったと思える地域をたくさん作ることではないかと、私は思います。
では、俊博君のスピーチ原稿と、秋田魁新報(2021.11.8朝刊)の記事をご紹介します。
※北川さんから許可をいただいています。