9月16日(木)、杉並区立八成小学校では、恒例の国際交流の授業が行われました。講師を務めたのは、イーストウエスト日本語学校の3人の留学生でした。それぞれが自国の文化や習慣を紹介し、小学生といろいろやり取りをするという内容です。3人は、さまざまな工夫をこらし、個性豊かなパワーポイントを作って授業に臨みました。
楊さん(台湾出身)、盧さん(韓国出身)、ダリアさん(ロシア出身)
の3人です。3年生には3つのクラスがあるので、3人でローテーションをして、3年生全員が3つの紹介を聞くことができる仕組みになっています。
どのクラスも、授業が始まって数分は、生徒さん達も緊張していたようですが、どんどん話に吸い込まれていきました。留学生の皆さんは、生徒さんに質問を出しながら説明を始め、また、小さな質問をして次の話題に移っていきました。イーストウエスト日本語学校では、初級から「対話を重視した日本語学習」を大切にしていることから、こうしたやり取りがすっかり身についているようです。
また、「小学3年生に、いかにして分かりやすく、楽しく学んでもらおうか」と、それぞれしっかり考えてきたことがよく分かりました。
*韓国は、九州の3つ分の広さです。
*台湾は、九州と同じぐらいです。
*この地図を見てください。ロシアは、これぐらい(比較して見せて)広いんですよ。
食べ物になると、生徒さん達は、韓国や台湾の食べ物には、「食べたことある!」「知ってる!」と大張り切り。でも、ロシアの料理は知らないものが多く、興味津々です。ダリアさんはボルシチの写真を見せて、「このスープは、赤いですね。それはなぜでしょう?」と、生徒さんとのやり取りから始めました。
なんと言っても関心が高いのは、「小学校の話」です。
・えっ、台湾ではランドセルじゃなくて、いろんなカバンで学校に行けるんだ。
・制服が体操着?どうして?それは、いやだ、いやだ。
・台湾の給食は、えっ、バイキング?いいなあ。自分で好きな物取れるんだ。
・ロシアの夏休みは、3カ月!どうしてそんなに長いの?
・4月じゃなくて、9月から始まるの?
韓国のノさんは、パワポで韓国のお金を紹介し、さらには、韓国語の言葉を教えてくれました。なんと韓国語の言葉を見たとたん、ある生徒さんが「ああ、知ってる。<アンニョンヒ カセヨ>と<アンニョンヒ ケセヨ>は、違うんだよ。それはね……」と、説明を始めました。それには、ノさんもびっくり!聞いている他の生徒さん達も、「えっ、どうして?どうして?」と、違いに興味を持っていました。
台湾の楊さんは、101タワーの花火や夜市、九份のジブリなどを紹介していきました。「千と千尋の神隠し」の舞台となった場所と聞いて、生徒さん達の心は「台湾に行ってみたい!」でいっぱいになっていきました。「バイキングの給食」の話には、歓声が上がりました。でも、楊さんはしっかりと、「でも、日本の給食は栄養のバランをちゃんと計算していていいですね。体にとてもいいですよ」と説明していました。
ダリアさんは、ロシアの遊びに関しては、短い2つの動画を用意して、「成功した例と失敗した例」を見せていました。さらに都市の説明で「モスクワは東京ですね。私のふるさとのサンクトぺテルブルグは、京都みたいなんですよ」と言うと、生徒さんからは「サンクト、サンクトぺ・・・」と発音が難しい都市の名前を言いながら、「行ってみたい」という声が複数上がりました。
じゃあ、使えるロシア語を1つ覚えましょう。「ポカポカ(バイバイ)」!」
ダリアさんの授業は、これを習って、お別れとなりました。
3人でローテーションをしての授業展開なので、時間厳守で進めていたものの、最後の3回目の授業での「質問タイム」では、大幅時間超過となりました。どうしても生徒さんの挙手が収まらず・・・。あるクラスでは、担任の先生の「もう時間がないから。あと5人だけ。それで本当に終わり」という言葉で、やっと挙手の嵐は収まったそうです。
少し話し合いをした後、留学生達と一緒に玄関に向かいました。ちょうど下校時とぶつかったことから、先ほど交流した3年生が次々に下駄箱にやってきました。そして「留学生先生」に手を振り、笑顔でこんな言葉を投げかけながら、帰っていきました。「ダリア先生」への生徒さん達からの声を少しご紹介しましょう。
・ありがとうございました!楽しかったです。
・先生、面白かったです。ロシア、ぜったい行きます。
・ロシアの料理、食べたいです。
・楽しかったです。ロシアのこと、もっと調べます。
・今度日本のこと、教えたいです。調べます。見てください。
・
交流活動も多くがオンラインに切り替わってしまいましたが、万全の対策をしての「対面授業」は、ぜひ実施していきたいものです。直に会って話を聞き、対話が出来ることは、子どもの成長にとって、とても大切なことだと思います。
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今回の活動の感想文が送られてきました。こうして振り返り、それを文章にして送ってくれる姿、本当に素晴らしいと思います。
ここには、楊さんと盧さんの感想文を載せることとします。ダリアさんは、「意見文」として「留学生が入国できない現状」について語っった後で、今回の交流活動の感想を述べてくれています。そこで、ダリアさんの文章に関しては、別立てでご紹介することにします。
留学生の「生の声」を聴いてください!
~「未入国の仲間」のために発信するダリアさん~
■小学校交流会の感想 ヨウ シケン
今回は2回目で八成小学校に行きました。私は子供が好きで、特によくアニメやドラマなどのメディアで日本の子供の生活を見ました。実際に会ったら予想通りにとても無邪気で可愛い印象が残っています。
日本での真の生活を知りたいと思って、このイベントの知らせを聞いた時、考えずに早速申し込みました。参加者の定員が三名しかなかったので、行けるかどうか期待してドキドキしていました。
このイベントを通じて日本の事ももう少しわかりました。とても嬉しかったです。コロナウィルスが広がってから、日本で過ごしたかった生活とは全く違う生活になってしまいました。こういうイベントをたくさん参加することができれば、在日の生活は絶対に豊かになるに違いないと思っています。
私は人と人との繋がりが大切だと思います。なぜかというと、お互いに交流して理解する上で自分と違うものを受け入れることができますから。人はそれぞれの環境で生まれて育てるので、文化面を言うまでもなく、基本的な言語や話し方は違うものなのではないでしょう。そういう訳で、交流を通じてお互いに勉強になり、平和な世界や社会になるはずでしょう。
■小学校交流会の感想文 ノ ヒョンドゥ
去年に続いて、今年も交流会に参加した。