どうなる?「日本語教師の資格化」~「日本語教師の資格化に関する調査研究協力者会議」の報告(案)より~

2020年7月9日にスタートした「日本語教師の資格化に関する調査研究協力者会議」は、本日(2021年7月29日)、第9回会議をもって終了となりました。

2019年6月に、「日本語教育の推進に関する法律」が公布・施行されました。それを受け、「日本語教師の資格に関する仕組みの整備」が求められ、文化審議会国語分科会においても「日本語教育の質の向上」が提言されました(2020年3月10日)。

「日本語教師の資格の在り方について(報告)」

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/92083701_01.pdf

 

 

そこで、文化庁では「日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議」を設置し、検討を進めてきました。1年間に9回の会議を経て、さまざまな議論が重ねられた末、本日提示の「報告(案)」となりました。

ここまで準備を進め、取りまとめてくださってきた文化庁スタッフ、そして委員の皆さまのご尽力に感謝したいと思います。

どうぞ詳しくは、本日の会議資料1をご覧ください。

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/pdf/93269501_01.pdf

 

コロナ禍であることから、オンライン会議となりましたが、そのおかげで、多くの方々が傍聴することができ、議論のプロセスに向き合うことができました。報告(案)が出来ましたが、ここから関係省庁間でのやり取り、報告の公表、そしてパブリックコメントなどが求められることになります。ロードマップ通りに進めば、来年の通常国会において法制化を目指すことになります。本記事の最後に、第2回会議で提示されたロードマップをアップしておきます(本日の会議で、「基本的には、このマップに沿って進めていく」というご発言がありました)。

 

  

今、こうした日本語教師の資格化の議論が進んでいますが、会議での一部の発言が「決定事項」のように伝わってしまったり、また、未確認情報が広がってしまったりしているようです。ぜひ、日本語教育関係者は、しっかりと「流れ」を知り、自分達には何ができるかについて考えていきたいと思います。パブリックコメントなどにも、積極的に関わっていきませんか。多くの意見が、より良い制度設計につながります。

                                  

ご参考までに、教師研修会向けに、「日本語教師の資格化」に関してポイントだけを抜き出したプリントを載せておきます。同時に議論されてきた「日本語教育機関の類型化」も、活躍の場を保障するという意味では、日本語教師にとって重要な課題ですが、今回の研修会の資料においては、「資格化」にフォーカスしたため触れていません。

                                                   

最後に一つ付け加えておきたいと思います。今後、資格化に関して考えるにあたって、自分の立場や現状からだけ見ていくのではなく、「なぜ資格化が必要なのか」「何のために、こうした議論が積み重ねられてきたのか」「今後、どう向き合っていけばいいのか」など、マクロの視点から考えていくことが重要だと思います。また、日本語教育に関わる一人ひとりが、そして関係している分野の方々もご一緒に<日本語教育機関の類型化と評価制度>に向き合っていくことが重要です。法律ができたことによって、大きく動き出した「日本語教師の資格 & 日本語教育機関評価制度」>の今後に注目していきたいと思います。

 

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日本語教育の推進のための仕組みについて

~「日本語教師の資格及び日本語教育機関評価制度」の報告(案)より~

                                 PDF資料→研修会資料「日本語教師の資格化」について2021.7.29

 

これは、2021.7.29に実施された「第9回日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議」(最終回)において提示された資料1より、日本語教師の資格化に関連して、特に養成講座の皆さまや現職の先生方に関係すると思われるものについて抜粋したものです。元の資料は、以下のURLより見ることが出来ます(16ページ)。

また、本報告(案)は、最終決定事項ではないことを、再度記しておきます。

(※下線は、筆者によるものです。また、赤字(日本語教師の員の)は、原文のままです。)

https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/nihongo_kyoin/pdf/93269501_01.pdf

 

 

★本報告(案)について

大きな方向性を提示し、その実現を通じて日本語教育の質の更なる向上を目指すもの。

今後、この方向性に基づき、制度の詳細を検討するにあたっては、制度に関わる関係者

の意見を聞きながら、十分に現状を踏まえた上で検討していくことが必要。

 

★日本語教師の資格取得要件

公認日本語教師となることを希望する者は、原則として日本語教育能力を判定する試験の合格及び教育実習を履修及び修了することが求められる。

 

   試験の構成

試験の構成
★試験の一部免除及び教育実習の免除

文部科学大学が指定する機関における課程等を履修し修了した者については筆記試験①及び教育実習を免除することができるものとする。免除の対象となる者

 

更新講習

制度化しない(有効期限の捕捉が難しいなど)

 

◆学士以上の学位

学士以上の学位を資格取得要件にはしないこととする。

なお、日本語教師採用機関が学士以上の学位を必要とする場合は、個別に学士以上の学位を採用時の要件として課することで対応が可能である。

 

◆現職日本語教師等の資格取得方法

現職の日本語教師等が公認日本語教師の資格取得を希望する場合、原則として筆記試験合格及び教育実習履修・修了の要件を満たした上で公認日本語教師の資格を取得するものとする。

ただし、質が担保されている機関で一定年数以上働く等、教育の現場における実践的な資質・能力が担保される者に関しては、教育実習の免除などの配慮を検討する(実践的な資質・能力の確認方法については慎重に検討を行う)

イメージ

ロードマップ

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