東京五輪は、中止か、延期か、実施か・・・で揺れ動く中、あと40日というところまで来てしまいました。6月21日には、観客についての五者協議が開かれ、
定員の50%まで。ただし、上限は1万人まで。
と決まりました。海外からの観客に関しては、3月20日に「受け入れない」という方向が打ち出されていましたが、五輪実施となると大勢の選手や関係者が日本を訪れます。
そこで、私は、去年からずっと日本に来ることができない人々への思いを、多くの方に知っていただきたいと思い、記事を書くことにしました。
■留学生の入国がずるずると延期されることで、将来に禍根を残すことに!
日本語学校6団体が、4月22日に「日本語教育推進議員連盟」の総会でプレゼンをしたときの資料を見てください。今、日本語学校(法務省告示校)で学ぶ人たちが入って来られないとなると、あとあと大学、企業、などにも大きな影響が出てきます。
「あと少しだから、お互いに我慢をして、母国で勉強してほしい」
「五輪が終われば、入国する外国人にも目が行くでしょう」
などという一般の方々の悠長な声が聞かれます。もちろん、留学予定者は、状況に合わせて、国からオンラインで授業に参加したり、あらゆる努力をしています。しかし、一方で、日本に留学を予定している人達は、母国で仕事をやめ、申請書類を提出し、ビザが下りるまでに何か月もかかるのです。さらに、コロナで入国ができないとなると、彼らの人生設計に大きな影響を及ぼすことになります。
詳しくは、こちらをご覧ください。→ →http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2021/04/3_koronakaniokeru.pdf
■留学予定者の人生のデザインに目を向けてほしい!
私も、オンラインで多くの人たちの声を聞いていますが、ここでは、4月22日に6団体より議連に提出された資料から「1つの事例」を引用します。
フィリピンのDさん
日本語を学び、日本の文化につかりたいです。日本語を習得したら日本で修士号を取得したいです。……すでに1年待機しています。すぐに日本に入国できると思っていたので仕事を辞めてしまいました。しかし、新たに入国停止措置が決定されました。これからまた1か月、1年と暗闇に取り残されたまま時間を無駄にしたくはありません。もし、さらに措置が延長されるようなら、私はここでの人生を続け、日本への留学の夢は忘れます。日本と日本の文化は好きですが、私が日本に望まれていないと感じていて悲しいし……。
また、こんな声も聞かれました。
「目的地を韓国へ変更する可能性があることを意味しています。人生をさ
らにもう1年失いたくありません」
彼らは、日本が入国を許可しないだけではなく、以下のことを挙げています。
・情報が届くのが遅い。
・いろいろ変わることで、戸惑うことが多い。
・なぜ韓国やカナダでは入国が許可されているのに、日本では留学生に厳しいのか。
このあたりも、少し考える必要があるのではないでしょうか。
4月17日の読売新聞「留学生来日 再会いつに」という記事では、次のようなことが記されていました。
ある日本語学校の校長(51)は「カナダや韓国では、入国後の隔離を徹底して留学生を受け入れている。日本では、今は留学生を新規入国させる雰囲気ではないが、方針が曖昧な状態が続けば、留学先としての日本の信頼性が下がってしまう」と危機感を強めている。
■自分達で発信を始めた外国人
ロッシさんは、以下のような思いを記しています。そして、ずっと英国で「日本行き」を待っているエリスさんにインタビューをしました(日本の会社に採用が決まったのですが、入国できず・・・)。
どうぞビデオをご覧ください。
■日本語教育機関の動き
日本語学校の先生方が中心になって6月に開設されたサイトです。
メッセージをお読みください。そして、ぜひサイトを覗いてみてください。
いろいろな方の思いが詰まっています。
私たちのミッション
日本語を学ぶ人は世界に300万人以上いると言われています。その中で、日本留学を目指す人は年間で約4万人、1%に過ぎません。その貴重な人たちが、コロナ禍の入国制限に阻まれ、来日できずにいます。
彼らの多くは、何年もかけて日本留学を目指して準備してきた若者たちです。観光やスポーツイベントのために来日する人たちとは質的に大いに異なり、これから日本の一員あるいはパートナーとなる人たちです。
コロナ禍にあっても、海外では留学生受け入れが着々と進められています。
このような現状を鑑み、日本留学を目指しながら裏切られた思いで過ごしている多くの若者の声を届け、日本が冷静な受け入れ議論へと進むことを心より願い、本サイトを立ち上げました。
新規入国の留学生によるクラスターは発生していないこと、非常にコントロールされた受け入れ体制が整備されていることをご理解いただき、留学生の入国にご協力いただけることを目指します。
Japan’s Entry Ban~日本の入国制限について
日本留学を希望する学生たちの窮状と日本への思い
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■ある事務担当者の声
今回、日本語学校の事務担当者に意見を聞いてみました。現状については、随時変わっていくので、ここでは記すことは控えます。
【事務責任者の声】
入国制限については、コロナ禍発生当初、情報をまとめるのが大変でした。
入管としての対応=法務省
各国での日本領事館としての対応=外務省
検疫上の対応=厚労省
各省庁のHPも、自分の管轄ではない情報は、
法務省として入国制限をかけていないけれど、検疫上厚労省が入国を認めない、というケースもあります。
その上で、いま聞こえてきている情報としては、
現在審査中(コロナで保留中)のビザについて、
申請を取り下げるか、7月末までに決めるよう通達が出ました。・・・後略
今、外国の方々の思いに寄り添うことを怠ったならば、10年後、20年後、本当に日本社会において「外国人財」が必要になった時、世界中から見向きもされない「選ばれない国」になってしまいます。
ここで、しっかり現状を理解し、みんなで「どうあるべきか」について考えてみませんか。
参考:留学生が今年2月に作った川柳です。
日本(にっぽん)は いつ開国か わからない
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「留学生との川柳を通した交流~俳句から川柳へ~」