11月<著者との対話>のご報告です。今回は、細川ゼミの修了生であり、現在は早稲田大学日本語教育センター常勤インストラクターの佐藤正則さんにお願い致しました。
また、当日の配布資料およびパワーポイントをホームページにアップすることを許可してくださいましたので、どうぞご覧ください。
当日配布した資料 → 配布資料
当日使用したパワーポイント →当日使用したパワーポイント
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著者との対話―細川英雄先生『研究活動デザイン』を語る :佐藤正則
研究について考えたいという方、研究活動を教育実践に生かしたいという方、大学院に進学を考えている方、これから日本語教育を始めようとしている方等、様々な方が参加されました(この日のために大分から参加された方もいらっしゃいました)
はじめに細川先生からの話、その後は自己紹介を兼ねた感想を一人ずつ話した後、ティータイムをはさんで、参加者と著者の対話が続きました。
まず、出版までの経緯(こういうエピソードも面白かったです)の後、以下のような順でお話がありました。
・研究活動とは何か
最初に「研究活動」とは何か。固定的研究イメージからの脱却。研究とは一部の人が行う特別な行為ではなく、日常生活の中で考えることや表現することと別物ではないこと、きわめて動態的なもの。だからこそ「研究」ではなく「研究活動」なのです。
・出会いと対話からテーマ発見へ
その上で研究活動とは「出会いと対話」であること。他者との対話、自分との対話の中から「自分の過去・現在・未来を結ぶテーマ」が発見できることが語られました。
・あるテーマ発見の物語
「あるテーマ発見の物語」では『初級から始まる「活動型クラス」―ことばの学びは学習者がつくる』(スリーエーネットワーク)の冒頭の金龍男さんの日本語学習者として日本語教師としてのライフストーリーが紹介されました。金龍男さんのライフストーリーはことばの学びと自己アイデンティティの関係を鮮明にあらわしています(それは細川先生の自分誌とも重なるものがあります)。ことばの教育に携わる者にとっては必読のエッセイです。
・研究活動のもたらすもの
最後に人は誰でもテーマを持っていること、にもかかわらず自分は初めから気づいているのではない、だからこそ意識化することが必要であり、それは、過去・現在・未来を結ぶ一本の糸を探すという行為において実感されること、それは誰でも、そして人生のどのような時期においても可能であり必要であることが、熱く語られました。
後半の参加者との対話も活気あるものでした。活動型授業について必ず出てくる「どうしたらいいですか」式の質問に苦笑しつつも自らの経験を交えつつ真摯にお応えになっていたのが印象的でした。先生からの幾つか印象に残った応答を書いておきます。
「うまくいくとか順調にやるとかいう概念を持たないこと」
「情報の交換がインターアクションや対話だと思いこんでいる教師が多い」
「自分をさらけ出せとは言っていない。テーマと自分との関係を語ってほしい」
「研究計画書は固定的なものではない。大切なことは自分の問題として捉えられているかどうかだ」
「人間のぐちゃぐちゃ性とどう向き合っていくか」
「評価活動においては、人間の信頼とは何かを考えるべきだ」
テーマは次第に国語教育と日本語教育の問題、評価の問題、文化の問題にまで及びました。
まさしく著者との対話の時間でした。
この話の続きは
11月30日(金)17:00~19:00早稲田奉仕園セミナーハウスでの「『研究活動デザイン』出版記念ワークショップ」で!
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今回は、かなり早目にいっぱいになってしまい、お断りした方が大勢いらっしゃいます。せっかくご希望なさったのに、参加できなかったこと、お詫び致します。それでは、また次回の<著者との対話>をお楽しみに!!