『できる日本語 中級』、完成しました!

『できる日本語中級』

『できる日本語中級』

『できる日本語中級』が完成しました。『できる日本語 初級』『できる日本語 初中級』に続く、シリーズ本冊としての中級教科書です。コンセプト、基本的な構成などは大きくは変わりませんが、中級ということから、さらに「できる日本語」で大切にしている「タスク先行」ということが、明確に打ち出されているなど、いくつかの点において相違点がありますので、少しご説明したいと思います。

「できる日本語」シリーズを使った授業では、各課の行動目標を達成するために、まず学習者自身に考えてもらい、学習者と教師が「学びの場」を共有しながら、学習を進めていきます。ただ、「中級」では、これまでと少し違ったアプローチになっています。それは、このレベルになると、学習者はかなり日本語力を身につけ、チャレンジも多様で豊かな内容になっていくからです。「初級」「初中級」では、各課にスモールトピックがあり(初級=3つ、初中級=2つ)、「こんなとき、なんて言う?」という形でチャレンジが始まりました。

一方、「中級」では、4種類のタスクが用意されています。

a)こんなときどうする?
b)見つけた!
c)耳でキャッチ!
d)伝えてみよう

初級、初中級とは異なり、自ら考え、語り、伝え合う力が高まっていることから、「タスク(課題)先行型」という特徴を、さらに全面に押し出した内容・構成となっています。

【チャレンジするタスクの種類】
a)こんなときどうする?
ある場面・状況において、日本語でどう行動するかというタスクです。誘う、依頼する、アドバイスをする/もらう、問い合わせるなど学習者が生活の中で出合う機会の多いやりとりを取り上げています。

b)見つけた!
ある状況でポスター、パンフレット、記事などを読むタスクです。必要な情報を読み取ったり、内容を理解したりできるように、知っている日本語を使ってチャレンジします。

c)耳でキャッチ!
ある状況でニュース、会話、インタビューなどを聞くタスクです。「必要な情報を得るために聞く」(天気予報、緊急地震速報、車内放送など)、「会話に参加するために周りの人の話を聞く」(友達の会話など)、「情報・知識を広げるために聞く」(専門家の話など)などがあります。

d)伝えてみよう
自分の経験や紹介したいこと、意見を日本語でどうやって表現するか考え、固まりで語ります。わかりやすく紹介する、比較しながら説明する、相手の意見を受けて自分の意見を述べるなどがあります。初級から目指してきた「ある程度の長さで自分のことや自分の考えを伝えることができる」ことが、中級ではさらに内容が充実し、ある程度の長さを伴った固まりで表現できるようになることを目指しています。

 

【「知って楽しむ】
初級、初中級にあった「話読聞書」に替わるものとして、「知って楽しむ」コーナーが設けられました。これは、各課のテ-マに沿った内容の読み物ですが、「読んでおもしろい!」「このこと、誰かに話したい。対話をしたい!」という視点を大切にして、作成しました。また、「知って楽しむ」を読むことで、新しい情報や知識を得て考えたり調べたりするきっかけになることを目指しています。

 

【初級・初中級・中級の連続性(アーティキュレーション)】
初級→初中級→中級と、同じようなトピックがスパイラル(螺旋状)に上がっていくように作られています。それはトピックだけではなく、同じように表現・語彙・文型なども、スパイラルに学ぶことによって、定着できるように考えられています。つまり、『できる日本語』は、全体像を描いた上で、初級・初中級・中級それぞれのレベル間の連続性、同レベル内での連続性を重視した教科書になっているということです。
テーマに関しては、こちらをご覧ください。  →  「できる日本語」共通テーマ

『できる日本語 中級』は、他の初級教科書をお使いの方でも、本書を使うことで、運用能力を高め、言語的知識もしっかり身につけることができるようになっています。「初級教科書は、なかなか変えにくいけれど、もっと運用能力がつく教科書を選びたい」という方は、一度『できる日本語 中級』を使ってみていただければ、と思います。ご質問があれば、いつでもどうぞご連絡ください。                 kazushimada@acras.jp(嶋田)

「監修・著者(10人)による中級授業実践報告会(アクラスにて)」

出来あがった本を手に・・・

出来あがった本を手に・・・

 

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