「『できる日本語』で多様な教育実践を!」のご報告(3.17)

まずはコンセプトの確認から・・・

まずはコンセプトの確認から・・・

3月17日、アクラス研修「『できる日本語』で多様な教育実践を!<実践者&著者、大集合!>」が行われました。

使っている機関、対象者、授業の形態はさまざま、使い方も実に多様でした。また、4月からの使用を予定している方や、今後の使用を検討している方も参加してくだいました。まずは、各自の課題をあげ、「自分だったらこうする」という実践例の紹介などを、参加全員でワイワイと紹介しあった3時間でした。ご自身の実践に基づく中身の濃いやり取りを、ここに再現できないのが残念ですが、当日出た意見・やり取りなどを幾つか皆さまとシェアしたいと思います。

■詳しい指導書がないので使い方がわかりにくいのでは~~~。

説明をする著者(高見さん)

説明をする著者(高見さん)

既に使っている方の意見として次のようなものがあった。

本を見ただけでは、使い方がよく分からないと思い込んでいた。しかし、本の構成をしっかり理解することで、解消した。「できること」に加え、後にある「ポイント一覧」あるいは「シラバス一覧」を見れば、「学習者は今日何を学ぶのか」が明確である。また、準備が楽で、楽しい。それはちゃんとお膳立てされている教科書なので、自分で場面設定・流れなどを作り込まなくてよいからである。その分、そのクラス、学習者に合わせた授業準備に時間をかけられるようになった。また、以前よりも、教室活動が活発になった。

また、新しい先生をどんどん採用している立場の教務主任の方からは、やはりこの教科書の場合、授業展開に関するDVDなどがあれば、もっと入りやすいと思うという意見も出てきた。

■文法解説書がないことのディメリットは~~~。

「まだ『できる日本語』を使ったことはないが、採用の選択肢の一つとして考えている。それで、今日は実践者ではないが、特別参加させていただいた。文法解説書がないのは、学習者にとってマイナスではないか。欲しいという声は出ていないか」という質問が出た。それに対して、「実際に使い始める前は、「「文法解説書」が必要なのではないかと思っていたが、実際に使ってみると、学習者からそういう声が出てきていない」という発言が何人かから出された。それは、場面の中で言葉も文型も学んでいくことによって、理解し使えるようになっていく、という理由からであった。

※「ことば」に関しては、アルクおよびアクラスのHPに「英語、中国語、韓国語、ベトナム語」が 載る予定。

■自然な形で相手とのやり取りができるようになる学習者にびっくり!

授業実践例を話す著者(立原さん)

授業実践例を話す著者(立原さん)

学習者の発話を聞いていると、自然な形で、相手とのやり取りができるようになっている。「へえ、そうなんですか」「わっ、すごいですね」「ああ、そうなんですか」といった言葉が、授業の中で学習者の口から自然に、どんどん出てくるのにびっくり。終助詞の使い方も同様。それは、この教科書が「人と人とが繋がる力を養うこと」を目指しているからだと改めて思った。

※「A:窓を開けないでください。B:あっ、すみません」という「言ってみよう」の練習でも、学習者が文型を学ぶというより、「あっ、すみません」に着目できるよう、心掛けている。

■話読聞書の使い方は~~~。

「話読聞書は、これまでただ読ませたり、作文を書かせたりしてきたが、もっと多様な使い方を知りたい」という意見が出され、参加者からさまざまな授業実践例が出された。話読聞書の右端の「吹き出し」をうまく活用することで、少しずつ「固まり」で話すことを習得していくことができるという実践例の報告があった。また、教師・支援者が「大切な人」(8課)の写真を提示し、学習者とやり取りをし、固まりで話す。さらに、教師自身の「話読聞書〈大切な人〉」を配布。その上で、学習者に宿題としてやってくるように伝えるといった工夫などが紹介された。『できる日本語』は、<教師=教える人、学習者=学ぶ人、という構図ではない。教師も学習者とともに学び合うことが大切>という考えに基づいてできているからこそ、こうした活動が生きてくる。

■字が小さくて、年齢が高めの人にはちょっと~~~。

字が小さいのがやや問題。特にルビの小ささは、年齢の高い人には辛いものがあるという意見が複数出された。さらに、改定版では是非少し大きくしてほしいという具体的な意見も出された。しかし、『できる日本語』はイラストがたくさん入っているために、どうしてもスペース的な問題で、この大きさになってしまったため、改善は難しい。特に、左側の場面のサムネイルがあるために、さらにスペースに余裕がなくなったのである。「場面を取るか」「文字の大きさを取るか」と議論が分かれ、このような形になったのである。

■『ことばノート』『文法ノート』はいつ使うのか~~~。

中には、最初にポイントチェックをやってしまっていたと言う方もあったが、これは基本的には、その課が終わってから使うことを想定して作成された副教材である。ただ、「文法ノート」の「水やり」は、単文型での練習なので、その文型が終わった時点で宿題にするのが効果的である。どちらも、学習者の自律的な学びを大切にしているので、例えば「ことばノート」の1ページ目は、「答えは一つではない」というものになっている。このページは、仲間と一緒に「対話」を通して学ぶことが有効である。

■本冊5課をやったら、『漢字たまご』の5課をやるのか?

「同じ課で統一してやっていたが、ちょっと苦しかった。本来はどういう使い方がいいのか」という質問が出された。クラスにもよるが、一般的には3課程度ずらして使用している。それは、ここでは新しい漢字の導入をするので、語彙の導入は既に終わっている必要があるからである。また、学習者は、漢字の前に、まず、ひらがな、カタカナを学ぶので、スタートが少し遅れることになる。こうした形で進めることによって、本冊の内容の復習にもなり、漢字学習に余裕を持って臨むことができる。

■テストはどうしているのか?

学習者の様子を話す著者[森さん)

学習者の様子を話す著者[森さん)

「テストを作る時に苦労している。文法、語彙にプラス、連続した絵を使って会話を作らせたりしている。他に何か良い方法は?」という質問が出された。それに対して、ある日本語学校から、以下のような実践例が報告された。

前半はいわゆる文法・語彙を押さえる問題。後半は「やってみよう」「チャレンジ」のイラストを引っ張ってきて、順番を並べ換えて、書いてもらったり、「その場に自分がいたら何て言うだろう?」と考えて書いてもらう、といった形でテストを作っている。

『わたしの文法ノート』が、まさに3段階で出されているので、こうしたものを参考にして作ると、あまり負担感もなく、そのクラスにあったものができる。また、イラストデータ集に全てのイラストが入っているので、作業的にも楽にできる。

3時間のアクラス研修で出た質問は、まだまだありますが、このあたりで終わりにすることにします。もし質問・疑問点がおありの方は、どうぞ個別にアクラスにお問い合わせください。

なお、アクラス研修でもお伝えしましたが、初級、初中級の「各課のできること」「スモールトピックごとのできること」を各国語で翻訳をしています。現段階では、以下のものが揃っています。また、近日中にスペイン語が載る予定ですが、これからも次々に増やしていこうと思っています。どうぞご活用ください。http://www.acras.jp/?p=1073

<英語、中国語繁体字、中国語簡体字、韓国語、ロシア語、ポルトガル語>

『できる日本語 中級』および『漢字たまご 初中級』は、4月上旬には店頭に並ぶ予定です。出版が少し延びてしまいましたことをお詫び致します。

 

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