パブリックコメント意見募集(法務省)「日本語教育機関の告示基準」:是非意見を出しましょう!

 

3月31日、法務省より「パブリックコメント意見募集」が出されました。その中に「日本語教育機関の告示基準」があります。

ぜひこの機会に、日本語教育に関わる方々が積極的にコメントを発信していただければと思います。私もよく考えて、コメントを送る予定です。

     案の公示日/意見・情報受付開始日   3月31日

     意見・情報受付締め切り日       4月29日

 

教員に関して、少し「告示基準(案)」の内容を取り上げてみたいと思います。

 

    ♪   ♪   ♪

十二 教員の総数の2分の1以上が、専任教員であること。

十三 全ての教員が、次のいずれかに該当する者であること。

イ 大学において日本語教育に関する主専攻(日本語教育科目45単位以上)を終了し、卒業したものであること。

ロ 大学において日本語教育に関する科目を26単位以上修得し、卒業した者

ハ 公益財団法人日本国際教育支援協会が実施する日本語教育能力検定試験に合格した者

二 420時間以上日本語教育に関する研修を受講し、これを修了した者

ホ その他イからニまでに掲げる者と同等以上の能力があると認められる者

 

  ♪   ♪   ♪

日本語教育振興協会の審査基準(「日本語教育機関の運営に関する基準」「日本語教育機関審査内規」)との違いがいくつかあります。例えば、半数以上が専任教員と言っているのは、大いに評価できます。経営者の中には、「それでは経営的に苦しい」という意見が出てくることが予想されますが、そのためには、それぞれの学校が自重し、「募集にかける多大な費用の見直し」などを考えていく必要があるのではないでしょうか。

また、日本語教育振興協会の審査基準では、「内規」において、

基準11(教員の資格)第四号の「日本語教育に関し、専門的な知識、能力等を有するもの」とは、学士の学位を有する者及び高等学校において教諭の経験のある者については、・・・<中略>・・・又は420時間以上の日本語教育に関する研修を受講した者とする。

とあり、これまでは420時間の養成講座を出ても、学歴でひっかかっていました。その点が改善されることは望ましいことだと思います。ただし、そのためには、現在の玉石混交の日本語教師養成講座の見直しがとても重要です。

 

また、ホで「その他イからニまでに掲げる者と同等以上の能力があると認められる者」という一文があることから、抜け道が出来る恐れがあります。一方で、経過措置がないことから、ベテランの素晴らしい教師が資格外ということで職を失う恐れもあります。こうしたことをよく考えた上で「細則」が作られることが求められます。その意味でも、現場から声を発していきたいと思います。

 

法務省:パブリックコメント意見募集中案件「日本語教育機関の告示基準」について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300130101&Mode=0

 

3 Responses

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  1. 日本語教師の報酬ですが、学校によって金額の差があるので、最低限の報酬を確立すべきだと思います。地域の物価によって多少の差があるのは仕方がないですが、同じ地域で差があると、どうしても教師のやる気を左右し、それがひいては授業そのものにも影響を与えると思います。

    1. 安河内さん、どうぞさまざまな現場の状況から考えていらっしゃることを「意見」として送ってください。こうした現場からの発信が、いろいろな状況を変えていくのだと思います。

  2. 日本語教師の労働対価についてですが、多くの問題があると思います。
    まず、コマ給という計算方法、これは労務の世界では考えられない給与体系です。
    時給、月給、年棒というのが通常の考え方ですが、日本語教師の仕事内容としては本来なら報酬として支払われるのが筋なのではないでしょうか。
    同じ日本語教師でも、授業の質や内容、準備にかけた時間や費用は千差万別です。
    報酬としてもらえば、確定申告や社会保険の手続の手間が増えますが、必要経費や授業準備の時間も意識でき、自分の授業の品質とその適正価格も見えてくるはずです。適正価格に対しきちんと支払いがされる職場を選び安売りしなければ水準は維持されるはずです。

    もう一点、日本語学校の授業は20名までしか教えられないという問題があります。
    一つの授業を質の低い教師が受持っても、知識も経験豊かな教師が行っても、売上を伸ばすことができません。
    年間学費÷年間授業数×20名=1授業で生み出す売上
    これに人件費率を掛けたものが1授業で生み出せる人件費
    この人件費を事務スタッフを含めた学校職員に配賦すると、現在の日本語教育業界の水準はそれほど低いものといえるでしょうか?

    新基準の専任教員の増化は授業の安定に向けて必要であると思われますが、一方で経験ある教師が各校でシェアされなくなり、ただでさえ教員不足の業界として教育品質を維持できるのかという問題も含んでいます。
    また、売上や人件費率が変わらないのに、社会保険負担が増えれば必然的に賃金水準が低下することにもなります。

    募集費用は経営サイドも圧縮したいと考えていると思いますが、欧米、中韓といったライバル国があることや、現地仲介機関自体が使っている募集費用なども考慮しなければ、そもそも日本留学に来る者が減り、日本語教師の職自体が減ってしまうことも考えられます。

    以上、逆説的なことばかり並べたように見えますが、日本語学校は、経営・教員・事務スタッフが揃って一つの組織です。
    職域にとらわれず、さまざまな立場に立ち、自分の意見と逆説的な意見の両方を理解して協力しなければ留学生にとって良い環境を作っていくことは難しいのではないでしょうか?

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