海外だより<コロナ禍に向き合う>第6回「タイの現場から」(山口ひとみさん:2020.5.31)

海外だより<コロナ禍に向き合う>

第6回「タイの現場から」

山口ひとみさん(2020.5.31)

新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は世界中に広がっています。   

それぞれの国・地域では取り組み方も違えば、人々の行動の仕方も違います。   

そこで、海外で暮らし活動をしていらっしゃる方々から、「現状、取り組み方、

特長など」について伝えていただきたいと考えました。

                        

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                  PDF⇒海外だより「タイの現場から」山口ひとみさん2020.5.31

                         

タイ、バンコクにある私立大学で日本語を教えている山口と申します。タイもコロナウイルス完成防止のため、緊急事態宣言が発令し夜間外出禁止となっています。このような状況で私がどのように過ごしたのか、簡単にお伝えしていきたと思います。

 まず初めにタイの大学の学期開始時期について簡単に説明します。タイの大学はもともと以下のようなスケジュールで学期を開講していました。

    6月~9月               前期

 10月                        学期休み

 11月~2月               後期

 3月~5月                 夏休み(サマー学期)

                        

4月は最も暑い季節で40度以上になることもあります。また、4月13日から15日はタイ正月のソンクラーンで、田舎に帰省する人が多いです。「もともとのスケジュール」と書いたのには理由があります。タイはアセアン諸国と学年暦を合わせるために、2013年から多くの大学では、以下のスケジュールで学期を開講することになりました。

 8月~11月              前期

 12月                      学期休み

 1月~4月           後期

 5月~7月           夏休み(サマー期間)

                                                   

今回コロナによる緊急事態宣言は発令されたのは多くの大学では学期終わり、期末試験間近だったようです。最後の2週間はオンライン授業を実施し、オンラインでの期末試験実施というかんじに進んだようです。しかし、私が勤務している大学は古い学年暦のままのため、緊急事態宣言が発令されたときは夏休み期間中でした。夏休み期間中(サマー学期中)には、再履修者向けのクラスと次年度新入生対象のクラスが開講されています。普段の学期に比べ授業数が少ないため、授業を担当しない教員もいます。なお、私はこのサマー学期では授業を担当していませんでした。

   

次に私が勤務している大学における日本語教育について簡単に説明します。私が勤務する大学はバンコク市内にある私立の工業大学です。工学部・情報学部・経営学部の3学部からなり、3学部合わせた1学年の学生数はだいたい700名程度です。他の大学ともっとも違う点は、全学生が日本語を必修科目として3年前期まで学ばなければならない点です。そのため、各学期に開講する日本語科目のクラス数は1科目(1学年)あたり20クラス以上となります。

   

2020年度前期は緊急事態宣言中の6月15日に開講することが決まっており、6月中は完全オンライン授業で、7月からは教室授業も実施されるという決定がやっと2日前に正式に通達されました。正式決定がなかなかされなかったのはタイ政府からの様々な発表を見つつ検討したためだと思いますが、授業準備をしなければならない教員としては何か落ち着かない日々が続きました。サマー学期は全ての授業がオンラインで実施されていたため、オンライン授業への準備などはその時からすでに始めていたため、正式決定で授業準備について何かが変わったわけではありませんが、正式な道筋が見えてきたことで落ち着いて授業準備に取り組めると感じています。

(大学の正面入口 - 現在は黄色いテープがはられ正面入口から入ることはできません)

(大学の正面入口 - 現在は黄色いテープがはられ正面入口から入ることはできません)

   

オンライン授業についてはほとんどの教員も初めてのことで、当初はどうしたらいいか手探り状態でしたが、情報を集めつつサマー学期の授業で実践することで、なんとなくですがどう教えればいいのか見えてきたのではないかと思っています。(私自身は授業を担当していないため、担当した先生方の話を聞いての実感でしかないですが)そして、過去にMOOCのコースを作成したことがある教員がいるので、オンライン授業で学生にどんな事前課題を出せばいいのかある程度把握できていると感じています。

   

2020年度前期はオンライン授業、教室授業どちらでも反転授業とし、事前課題としてビデオの視聴とその確認問題の提出を課す予定です。現在、そのビデオ教材作成と確認問題の作成に取り組んでいるところです。ビデオ作成は今までしことがない教員がほとんどのため、作成できる教員を中心として勉強会の開催や各チームごとでのオンライン授業で使えそうなツール等の共有をしています。このようなことを通して、今まで以上に「教える」とは何かを考えされられることが多く、生活は大変ですが教師として学ぶことの多い時間ではないかと感じています。

   

外国に住んでいて緊急事態宣言に直面するのは、私はこれで3回目ぐらいです。その度に感じるのが正しい情報をどうやって手に入れるかということです。今回は

(入口の検温チェックポイント 37.5度以上の場合は入ることができません)

(入口の検温チェックポイント 37.5度以上の場合は入ることができません)

インターネットや電話回線が遮断される事態ではないので、きちんと探せば正しい情報が手に入るため、以前の緊急事態宣言時よりは不安は少なかったかもしれません。また、タイ政府の正式発表後、大使館からメールがあるので、日本語で情報を確認できるという安心感があります。

   

生活はまだまだ通常通りではありませんが、規制も緩和されつつあり、通常の生活に戻りつつあります。

   

以下、大使館からのコロナ関連のメールと所属している部署からの指示の一覧です。

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