留学生に対する「学生支援緊急給付金」に関する情報の受け取り方

5月19日に文部科学省より発表された「学生支援緊急給付金」に関して、さまざまな意見が出ています。特に、各新聞がこぞって「留学生差別」という見出しで報道したことから大きな批判が沸き起こっています。すでに署名活動が始まっており、かなりの数に達したと聞いています。

ネットを見ても、日本経済新聞(2020.5.22)

  留学生は成績上位3割限定、現金給付、文科省が支給要件

という見出しで記事を出しています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59435580S0A520C2CE0000/

 

記事の出だしを引用すると、

 新型コロナウイルスの影響で困窮する学生らに最大20万円の現金を給付する支援策を巡り、文部科学省が外国人留学生に限って成績上位3割程度のみとする要件を設け、大学などへ伝えたことが22日までに、同省への取材で分かった。アルバイト収入の減少などは日本人学生らと同じ状況にありながら、学業や生活を支える支給に差をつける形となる。

文科省は「いずれ母国に帰る留学生が多い中、日本に将来貢献するような有為な人材に限る要件を定めた」と説明。対象者の審査は各大学などが行うため、同省が示した要件を満たさない学生らでも給付対象になる可能性はあるとしている。

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また署名活動に関する記事も出ています。

「留学生に同基準で給付を、5万筆 成績要件は差別とネット署名」(静岡新聞、2020/5/22 19:47)

https://www.at-s.com/news/article/social/national/768700.html

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しかし、文科省のお知らせを見ても、「外国人留学生に限って」という文言はありません。

https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/mext_00686.html

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また、Q&Aにも以下のように記されています。

https://www.mext.go.jp/content/20200522_mxt_gakushi01_000007328_01.pdf

無題

 

さらに、5月25日付で、日本語教育学会より、文科省高等教育局、学生・留学生課長宛てに「『学生支援緊急給付金』情報発信に対するお願い」が出されました。

ぜひ、報道に振り回されることなく、文部科学省のお知らせに当たり、どこが課題なのかをしっかりと見極めていきたいと思います。

日本語教育学会の石井会長による「お願い文」は、以下のURLから見ることができます。そこでは、役所の伝え方に対するお願いも記されています。

「伝わり方に十分配慮した発信を再度ご検討ください。特に、当事者の一部に含まれる留学生たちは、日本語による情報収集が十分にできない場合があり、伝聞により誤った情報や憶測が広まってしまうことが懸念されます」

   http://www.nkg.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/05/20200525gakuseishienkyufukin.pdf

学会のお願い1ページ目

 

 

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