山脇ゼミ&中野区主催「中野区長との懇談会」に参加して

 7月3日の夜、明治大学山脇ゼミ&中野区主催の「中野区長と留学生の懇談会『外国人も日本人も住みやすいまちをめざして』」が行われました。これは、今年で5回目となりますが、昨年就任された酒井直人区長とは初めての懇談会です。

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登壇者は、留学生8人、日本人学生2人、そして酒井区長と山脇教授です。留学生は、大学、短期大学、そして日本語学校で学ぶ留学生と、所属も出身国もさまざまな登壇者からなる懇談会となりました。

 

■学生さんが企画・運営する懇談会

この懇談会は、企画の段階から、登壇者とのやり取り、当日の進行、すべて「明治大学国際日本学部山脇ゼミ」の学生さん達によって行われます。自分達の大学がある中野区を、中野住民とともに「より良い町」にしていきたいという思いが、参加者にも伝わってきました。

私もこれまで数回懇談会には参加してきましたが、今回は私が二十数年在籍し、「地域に根差した学校づくり」を目指してきたイーストウエスト日本語学校の学生さん達が登壇。やっとここまでネットワークが広がってきたと感無量です。

【鄭 乃云さん(台湾)  グエン ティ キム フォンさん(ベトナム)】

これまでも、さまざまな交流活動はしてきましたが、今後は、行政、大学、日本語学校、住民がみんなで一つになって「出会いの場」「対話の場」を作りたいと、次なる夢が膨らんできました。

(※イーストウエスト日本語学校は、2012年3月に退職)

 

酒井区長

酒井区長

■中野区の現状

中野区ではここ5年間で外国人住民数が1万人から2万人と2倍に増加、2019年の外国人住民の比率は5.83%となりました。しかも、その増加の半数以上が留学生数の増加であり、今回のような「留学生と区長との懇談会」は貴重な機会といえます。中野区はこれまで外国人に対する施策として先駆的なことをしてきたわけではありませんが、こうした劇的な変化が起こる中、国際課を創設するなど、区としても「外国人も日本人も住みやすいまち」をめざして動き始めました。

■学生さんから出た声

【家探しの苦労】

・新しいアパートを探しに不動産屋に行ったら、アジア系の外国人はダメと言われた。学生証と前のアパートの支払いの資料を見せたら、信用してくれてOKとなった。

・駅の近くに住みたかったが、何度も断れられた。外国人、特に学生はダメと言われ、新しいアパートが決まるまで1ヵ月半かかった。そのため、探したアパートは、どんどん駅から遠くなっていった。

山脇明治大学教授

山脇明治大学教授

・保証人を探すのが大変なので、アプリで「保証人なし」というところを探した。

・国には保証人制度がないので、日本に来て戸惑った。もっと早く知っておきたかった。

 

【近所づきあい】

・引っ越しの挨拶には特に行っていない。しかし、近所の年配の方が声を掛けてくれるので、話をしたりしている。

・日本は壁がとても薄いので、隣りの部屋の声が聞こえることがある。だから、出会っても声を掛けたくないという点もある。

・日本のアパートは、隣のアパートと窓と窓が近い。だからいつもカーテンをしているので、ちょっと話すというのが難しい。

 

【ゴミ出し】

・粗大ごみの出し方が分からなくて困った。中国とは全く違うので。また、ビニール、プラスチックなど、いろいろ分けるのが大変。

・捨てる場所が分からないことがある。また、最初は曜日なども難しかった。

・「金曜日」と書いてあったが、それが朝なのか、夜なのか、どの時間帯なのか、最初は理解しにくかった。

<区長より「区では、多言語の『ゴミ出しアプリ』を作った」という情報あり>

・「ゴミ出しアプリ」があることは知らなかった。知らない人が多いと思う。区は作ったら、それをみんなが知るように工夫してほしい。

懇談会が始まりました

懇談会が始まりました

 

【地震(家にいる時、大きな地震が来たらどうするか)】

・ドアを開けて、火を消して、パスポートを持って、すぐに学校へ来る。避難場所は近くの小学校だけど、行っても誰も知らないから、行ってもあまり意味がない。

・学校で防災訓練があるので、避難場所に行く。

・一人でいるのは怖いので、すぐにベトナム人の友だちの家に行って、一緒にいるようにする。一緒にいると安心。

・来日3日後に「人生初めての地震」にあった。それで、すぐにいざという時のためにバッグを作った。それを持って公園へ行く。

・でも、日本人は、「ああ、また地震だね」という感じで、気にしていない。

 

【日本人とのコミュニケーションで困ったこと】

・アルバイトの時は、日本人の話すスピードが速いので、聞きにくい。先輩から教えてもらうときも、分からないことがある。

自己紹介をする鄭さん

自己紹介をする鄭さん

・若い人のことばも難しいし、お年寄りは敬語を使うので難しい。

・歯医者の予約の仕方が分からない。また医者の説明がわからなくて困った。

<区長より「区役所からの書類が難しいのではないか」と質問>

・保険の書類などが来るけれど、そのままにしておいたら、また来るので、国民健康保険とか、国民年金とか……。

・電車のアナウンスで、事故の時「運転見込みは・・・」という時には、日本語だけになってしまう。

・JRと地下鉄など、どうやっていけばいいのか、わかりにくい。IMG_0837

 

【これから日本に来る人へのアドバイス】

・何となく来るのではなく、ちゃんと日本を、日本の生活を知った上で来ること。

・文化が近いようでも、違いがある。でも、すべての難しさ、挑戦、勉強として見ればいいと思う。

 

参考①明治大学のサイトにも記事がアップされました。

ぜひご覧ください。

https://www.meiji.ac.jp/nippon/info/2019/6t5h7p00001j6lvw.html

参考②イーストウエスト日本語学校の「地域社会との交流」に関する記事は、以下のサイトにいろいろ載っています。ここでは、いくつかご紹介します。

 サイト:アクラス日本語教育研究所

http://www.acras.jp/

  サイト:日本語教育<みんなの広場>

http://nihongohiroba.com/

                            

◆「地元のお店取材」で地域社会の魅力を肌で感じた留学生

http://www.nihongohiroba.com/?p=443

 

◆「なでしこ会」との交流は宝物

http://www.nihongohiroba.com/?p=1115

大学の食堂での懇親会

大学の食堂での懇親会

 

 

◆地域社会の一員としての日本語学校

http://www.nihongohiroba.com/?p=1644

 

◆「なでしこ作文」のご紹介~継続性のある地域との交流

http://www.acras.jp/?p=3975

 

◆「世代を超えた日本人との交流」で、いきいき授業をめざす!

http://www.acras.jp/?p=5724

登壇者と企画・運営をした明治大学の学生さん達で記念撮影

登壇者と企画・運営をした明治大学の学生さん達で記念撮影

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