<『できる日本語』を使っている先生・学校の声③>浜松国際交流協会

浜松国際交流協会でコーディネータを務める鈴木由美恵さんから、<『できる日本語』を使っている先生・学校の声>を頂きました。地域日本語教室からの「声」をお聞きください。

 

<『できる日本語』を使っている先生・学校の声③>

  (2017.10.14掲載)

 

(3)地域日本語教室に「できる日本語」を導入して  

 

 

公財)浜松国際交流協会

コーディネーター 鈴木由美恵

 

2010年1月、浜松市は浜松市外国人学習支援センター(以下、U-ToC:ユートック)を開設し、在住外国人を対象に日本語教室を開講しています。当協会は浜松市から日本語教室を中心としたセンターの業務運営を受託しています。

 

()()()U-ToCの開設により、1年に650時間を超える日本語教室を開講することができ、在住外国人が日本語を学ぶ機会が増えました。喜ばしいことである反面、この規模の日本語教室を開講したことがなかったため、コーディネーターとしては、クラス編成やカリキュラムについて、大変頭を悩ませました。

 

開講当初は教科書を使わず、学習者が遭遇するであろう場面と文法事項を選び、1コマずつ設定していきました。しかし、学習者から「1コマずつ違う勉強ではなく、もっと継続して日本語を勉強したい」との声が聞こえ始め、学習者数も減り始めました。実際に学習者の定着率は良くなく、タームの終わりに学習者が来るかどうか心配した日もありました。

また、教師側からも、毎回自分で場面を考え、カリキュラム化することの難しさについて意見が出るようになり、教師・学習者の両者からみて、楽しさを感じられない教室になっていました。

そこで教科書を探し、出逢ったのが「できる日本語」です。この教科書で目を引いたのは、「場面」で日本語を勉強していくところです。

浜松市の在住外国人は、属性や国籍が多種多様で、仕事や子どもの学校など、既に社会との接点を持っている人も多くいます。生活の中で培った知識を運用できる場面シラバスが生活者である外国人にはぴったりだと思いました。

早速、この教科書を導入しようと、嶋田先生を始めとした著者の先生方をお招きし、本書・副教材の使い方を勉強しました。もちろん教科書導入や新しい教え方に戸惑いもありましたが、今でもこの教科書使い続けており、あの時の判断は正しかったのだと思っています。

 

この教科書を使って良かったことですが、カリキュラムが見えるので、いつ何を勉強するのか、学習者に分かるようになり、家でも教科書を見るようになりました。また、教科書がなかった時には宿題を出しても回収率が悪かったのですが、今では副教材の宿題をほとんどの人がしてくるようになり、日本語力の向上もみられました。また、出席率も良くなり、生活に忙しい学習者も仕事や体調不良でない限り、学習を継続しています。

 

生活者である外国人は社会の中で生活をしています。必要な日本語力を習得するため、どのように提供していくのか、それは常に私達の課題です。私達は「できる日本語」を使うことで、学習者の日本語力や勉強に対する前向きな姿勢を見ることができたので、「できる日本語」を使って、今後も在住外国人への社会参画を応援していきたいと思います。

 

PDF ➡地域日本語教室に「できる日本語」を導入して

 

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