のしろ便り(1)「西っ子は、多文化共生社会創りの先駆者になれる!」 ~渟城西小学校の藤田校長との対話~

2020年12月に『『外国にルーツを持つ女性たち 彼女たちの「こころの声」を聴こう!』(以下、「こころの声」の本、とします)を出してから、一度も能代に行くことができないまま1年が過ぎ去ろうとしていましたが、やっと12月20日に能代入りすることができました。DSC_0996

何度か「県をまたいでの移動OK」が出ましたが、「東京からの訪問」を嫌う人もいらっしゃるのでは・・・と控えていました。前回、能代に行ったのが2020年2月、1年10か月ぶりの能代入りでしたが、多くの方にお会いでき、楽しく有意義な2日間でした。

 

■西っ子は、多文化共生社会の経験者!

   ~共に社会を創る仲間という視点

 

まずお訪ねしたのは、ニーナさん(第2章)の子どもさん達が通う渟城西小学校の藤田校長先生でした。「のしろ日本語学習会」主宰の北川裕子さんが「こころの声」の本を差し上げたところ、以下のような「学校新聞:校長室だより」(20212.17 No.26)を書いてくださったことを知り、ぜひお会いしたいと思っていました。

校長室だより2020.2.

 

 

■今年3月、「校長賞」をスタートさせる

この「校長室だより」の翌月は卒業式でしたが、そこで「校長賞」が創設され、周君(ニーナさん三男)が受賞したのです。藤田校長は、前任校でもずっと「校長賞」を実施していらしたのですが、渟城西小でも始めようと思っていたところにコロナ禍となり……。

 

受賞した10人のうち2人の生徒さんが、外国にルーツを持つ子どもでした。一人は、お母さんが中国出身の5年生、もう一人がニーナさんの三男坊の周君(4年生)でした。藤田校長は「どうしてその賞を授与したのか、その理由が大切なんですよ」と、「令和2年度 校長受賞者一覧」を見せてくださいました。まずトップにこんな説明がありました。

 

「活躍が顕著であった人」「ⅯIP」「地上の星」など、独自の視点で、各学級から選出しています。受賞者はいずれも、学級における活躍や貢献度が高い人です。獲得の可能性は全児童にあります。

 

周君のところを読んでみると、次のように書かれていました。

 

☆4年2組 相馬 周 「ピカピカと!立志の心をみがいたで賞」DSC_0996

誰かに見てもらったり、誉められたりすることでなくても、良いと思ったことを自分から進んで行います。特に、水飲み場の排水溝の掃除は、掃除ブラシやスポンジを上手に使って、とてもきれいにみがいてくれます。誉めると、「ピカピカだとみんな気持ちがいいよ。」と言い、みんなのお手本です。

 

校長先生に「校長賞」を始めた思い、そして、もらった子供たちの変化についてお尋ねしてみました。

 

スポーツ、習字、絵などで表彰される子どもはいいですよね。でも、陰日なたなく頑張っている、いい行いをしている子が代表になる機会を作りたかったんです。受賞した子は聞いたとき、「えっ、何で私が?」という反応でした。でも、授賞理由を聞いて、とっても嬉しそうでした。その後も、いろいろな面で、学習に対する意欲も上がっていますね。

 

■外国にルーツを持つ子どもを「地域社会の人財に!」という熱い思い

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渟城西小学校の全校生徒は272人、そして、外国にルーツを持つ子どもは、中国1名、フィリピン2名、ロシア2名の5人しかいません。でも、その5人を大切にすることは、彼らのためだけではなく、他の大勢の生徒たちの学びにもつながるのだと、校長先生は、壁に大きく貼ってある「渟城西小学校 学校経営計画」を示しながら、説明してくださいました。

 

この努力事項の4番を見てください。「外国にルーツをもつ児童の日本語習得と自立した生活実現」について記してあります。一人たりとも置き去りにしないことが大切です。子どもは宝ですから。

 

校長先生は、次々に、外国にルーツを持つ子ども達が抱えるさまざまな課題や、入管法の改正による今後の変化の可能性などについて、語られました。その意識の高さに驚いていると、「いやあ、いつも北川さんからレクチャーを受けていますから」と、にっこり。

 

「のしろ日本語学習会」の北川裕子さんと、日頃から連絡を取りながら、5人の外国にルーツを持つ子ども達の支援を考えている小学校、こういう密な関係が大切なのだと、改めて思いました。

渟城西小学校のサイトに載っている「学校経営計画」

http://www.shirakami.or.jp/~nisisho1/gakkosyokai/r03keiei.pdf

学校経営計画の努力項目

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