イーストウエスト日本語学校スピコン後日談(1)「日本語・日本文化の面白さを語る留学生は、就職希望! ~「オノマトペ」から見える日本語の魅力~(スベトラナさん)」

イーストウエスト日本語学校スピコン後日談(1)

 

 

2021年9月7日(火)に、中野ゼロホールにて、イーストウエスト日本語学校スピーチコンテストが行われました。未入国の留学生も多く、ホールでの実施とオンライン参加というハイブリッドでの実施でした。スピコン入賞者のスピーチ原稿などは、以下のURLからご覧いただけます。

イーストウエスト日本語学校、今年もゼロホールでスピコン開催~入国できない留学生の「思い」を知ってください~

           http://www.acras.jp/?p=11952

スピーチを聞き、さらに、一人一人と対話しながら、留学生の「日本語学習への思い」「これからの夢」などについて詳しく聞いていきました。それは、コロナで大変な日々、日本で日本語を学びながら「夢の実現」に向けて頑張っている姿を発信したいと思ったからなのです。今回は、午前クラスの3人に関する発信ですが、今後またこうした「留学生の声」を、いろいろな形で発信していきたいと思っています。コロナに負けずに頑張っている姿、知ってください。

しかし、この後ろに、いまだに入国することができず、不安をいっぱい抱えたままオンラインで授業を受けている留学生が大勢いることを忘れないでいただきたいと思います(長い人は1年半になります)。

 

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 (1)日本語・日本文化の面白さを語る留学生は、就職希望!

       ~「オノマトペ」から見える日本語の魅力~(スベトラナさん)

 

スピーチ原稿→スベトラナさん スピーチ原稿

 

 

■日本旅行で知った「自然の美しさ、田舎の魅力」

スベタさんだけ

スベトラナさん(以下、スベタさん)は、2019年10月に、イーストウエスト日本語学校に入学しました。その理由を次のように話してくれました。

 

私は、留学する前に、日本に来て、アチコチ旅行をしました。日本の自然は美しい

です。1か月かけて、沖縄から北海道まで行きました。楽しかったし、日本の田舎は、とてもすてきだと思いました。

 

日本全国を旅して、自然に触れ、人々と対話を重ねた1か月間は、スベタさんにとって大切な宝ものになりました。そして、日本留学を決め、大好きな日本にやってきたスベタさんは、やがて日本語の難しさに直面することになります。「が」と「は」、「に」と「を」の使い分け等、ロシア人の自分にとっては違いが感じられず、苦労したそうです。

 

さらに、半年後には、コロナ禍となり、旅行が大好きなスベタさんから旅行の自由が奪われてしまいました。でも、何にでも興味を持ち、真剣に取り組むスベタさんは、日本語の面白さ、日本社会の不思議さに心を惹かれていきました。

 

 

■「オノマトペ」って面白い!

 

今回のスピーチコンテストのテーマは「オノマトペ」です。見事な日本語で、表情豊かに、たくさんのオノマトペの例を示しながら、オノマトペの便利さ、いくつもの意味、翻訳するときの大変さ……さまざまな切り口から話を進めていきました。そして、こう語っています。

 

クラウドと言う主人公(ファイナルファンタジーⅦ)は大規模な惨事の後落ち込んで、

日々をずるずる過ごしていました。確かに泣きそうな状態ですが、ロシア語の訳は、

日本人がオノマトペで分かった微妙なニュアンスを伝えられませんでした。

日本人のオノマトペは自由で、変化が速いのでアニメや漫画を外国語に翻訳するの

がとても難しいそうです。

 スベタさん③

そして、「オノマトペ」というインクを取り上げ、スピーチの最初でクイズとして出した「ニョキニョキ」が青竹の色を表すのだと説明してくれました。続いて、「ぷかぷか」と「すいすい」という2つの青色についての紹介がありました。そこで、帰宅してインターネットで見てびっくり!これは、数か月前に発売されたばかりの商品だったのです。

こうして常に日本社会の新しい情報に目を向け、生きた日本語に触れながら、日本語を勉強している姿は、素晴らしいと改めて思いました。

 

ここでちょっと「オノマトペ」というインクについてご紹介しておきましょう。これは、ナガサワ文具センターが出したばかりの新しいインクです。

https://kobe-nagasawa.co.jp/blog-takeuchi/p-59166/

インク②インク①

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■建前と本音を感じた日本での経験

 

スベタさんは、私とのインタビューでさまざまなことを語ってくれました。

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実は、コロナ禍でバイトがなくなり、「バイト募集のポスター」を見て、あるお店を訪ねた

ことがあります。店長に名刺を渡し、言葉を交わすと、「面接は電話で知らせます」という

答えが返ってきました。

そこで、「じゃあ、いつなのだろう?」とスベタさんのほうから電話をしたところ・・・。

店長の答えの意味は、「面接はしない」ということだったのです。これでは、外国人の応募

者には、分かりません。こんなことがいろいろな場面で行われているのかと思うと、とても

残念に思います。

 

また、コロナ禍で、こんな経験もしたスベタさんです。

 

今年は、コロナ禍でバイトも減り、あまり収入がありません。しかし、送られてきた納税

関係の書類を見て、びっくり!こんなに収入がないのに、去年の収入に応じて、こんなに

も高い金額を払わなければならない!と、大急ぎで区役所に行きました。係の方は、本当

に丁寧に、寄り添って話をしてくれたのだそうです。結局は、「払わなければならないこ

と」であり、こちらの願いは断られたのですが、とてもやさしく応対をしてくれたと伝え

てくれたことに、ほっこりしたそうです。

 

 

■言葉の2つの力「感動する:傷つける」

 

スベタさんは、最後に「言葉の力」についてこう語ってくれました。

 

先生、言葉には、傷つける力と感動する力がありますね。言葉は、扱いが大事だと思い

ます。私は、最近、2つのニュースを同時に見ました。一つは、元アイドルでラーメン

屋さんになった人を、傷つける、中傷したニュースです(梅澤愛優香)。

もう1つは、中学生(寺田心)の言葉です。

 

こう言いながら、ヤフーニュースの動画を探して見せてくれました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/126e6f2e629ec303bf660897bb575cbd69d7ed35

 

「僕も中学生になって時々、母と意見が合わなくてギシギシしてしまうこともあるんで

すけど、反抗期…でしょうか?そんな時には心にシューッとして仲直りするようにして

います」

 

この動画でも、オノマトペがさりげなく使われていて、心が温かくなってくるのだそうです。

 

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9月には卒業式を迎えるスベタさんは、日本語でコミュニケーションすることを楽しみながら、日本社会で働きたいと願っています。コロナ禍で仕事の幅もぐっと狭くなってしまいましたが、大学で電子工学を学んだスベタさんは、ぜひ日本の会社で自分の力を発揮したいと思っています。

 

最後に、スベタさんの「オノマトペ」に関する皆さんへのメッセージをお伝えしたいと思います。今後、日本語のクラス、いや学校単位で「オノマトペコンテスト」が始まることを願っています。

 

皆さんも新しくオノマトペを作りませんか。もし、みなさんが作ったオノマトペが人気

になって、日本語になるかもしれません。オノマトペは本当に面白いと思いませんか?

 

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