当事者の思いを知ってください!~『外国にルーツを持つ女性たち 彼女たちの「こころの声」を聴こう!』を読んで想うこと

  2020年12月に、『外国にルーツを持つ女性たち 彼女たちの「こころの声」を聴こう!』を出版しました。これは、社会に声が届きにくい方々のヒストリーを取り上げたものです。

   ・日本人男性と結婚し、地域社会で暮らす外国人女性の声

   ・外国にルーツをもつ女性を母親とする子どもたちの声

   ・日本社会で家族と暮らす日系ブラジル人・ペルー人の声

   ・中国帰国者やその家族の声

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 出版後、さまざまな方からコメントや応援メッセージをいただきました。それは私が次の一歩を2 外国にルーツを持つ女性たち踏みだす大きな力となっています。また、地域社会も、この本を手にしたことで、少しずつ変わっていったというお便りもいただきました。こうした多様な「対話」を楽しみながら、活動を続けています。

 そして、また一つ、素晴らしい感想文が届きました。これは、当事者からのメッセージです。率直にご自分の体験・思いを書いてくださり、その上で、「これから自分はどう行動すべきか」ということにまで踏み込んで書いてくださっています。ぜひ皆さまにご紹介したいと考え、ご本人に掲載の許可をいただきました。どうぞ皆さまお読みください。

                                                       

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 嶋田先生が書いた『外国にルーツを持つ女性たち』この本は初めから最後まで感動と涙の洗礼中で読みました。この本は日本人配偶者の外国女性たち、外国にルーツを持っている子供たち、中国帰国者、日系ブラジル人たちの心の声を書いています。日常生活の中で理没してしまいがちのこの人達の声に今まで誰も耳を傾けた事は無かったでしょう。

 嶋田先生はこのなかなかみんなの耳に届かない声を5年、 10年長きに関わりまた本という形で世の中に発信しました。日本に長年住んでいる外国人として私はとても驚きました。私のような人達のためにこんなに熱い思いを持っている日本人の方もいらっしゃる事に。今まで私は私みたいな日本人配偶者などの外国人たちに誰も興味も関心もないと思いました。あったとしてもそれはうわべだけの事だと感じてきました。実際日本で仕事をして、生活して行く中で周りの日本人から本当の意味での理解をしてもらった記憶はないです。

 この本を読んで私は自分も日本人の妻として、外国にルーツがある子供の親として、職場では外国籍の労動者として、日本の社会では生活者としている事に気づきました。長年日本にいましたが初めて(ともに日本社会を作る仲間)と言われました。今までずっと自分は異邦人だと思っており、日本は外国人にあまり寛容的でもない、この国では認めてもらう事なんてないと思いました。そしていつかは自分の国へ帰りたいと思っていました。

 しかし、この本を読み終わり私の考えは変わりました。今まで私が感じた日本の人々はとても忙しい、あまり時間的にも心理的にも余裕がなく、余計なことには参加しない、また外国人を差別するようななんか冷たい社会でした。職場で働く中でも中国人は、「自己主張が強く」、「先輩後輩関係がゆるい」、「自発的でない」、「協力性が衰えている」などの言葉を耳にし、決して認められ理解されたとはいえませんでした。

 では、上司はどうでしょうか。上司とは対話を通して外国人スタッフが納得出来る様説明をするべき存在ですが,未だ日本の会社では、そんな様子が見られません。ただ「ここは日本だから」、「日本の常識でありルールだから」と、言うだけでその進りに従うことを望んでいます。そうです、対話が企然足りていないのです。人としてコミュニケーションをとること!とても大切なことですが、あえて対話をしようとせずに必ず従うことを望んでいます。その外国人がどの様に考え、どの様に感じるかは、少しも感心を持たないのです。

 ですが、嶋田先生のこの本は『対話」を扱っています。この様な日本人がいるということに、驚かざるをえませんでした。嶋田先生や北川先生のように、外国人に対してこの様な熱い思いを持っている先生方がいらっしゃるという事実が信じられないほどでした。こんなにも外国人の問題や人権、子供の教育問題に心を寄せてくださるとは!:外国人の子供の問題で、特別支援学級に送られそうになった子供たちを一般の学校に通えるようにした上、国公立大学まで送られたなんて、本当に尊敬しております。あっという間に本書を読み終え、何度涙を流したことか……特に美信さんのお葬式のときの北川さんの〔弔辞〕を読んだとき、すごく泣いてしまい本を読み進めることが出来なかったです。

 本書の全内容が全て私自身のことのようで、外国人労働者ではなく、「生活者」、「共に日本の社会を創る仲間」と書かれた所で認められ、理解されたと思いました。感謝の気持ちになり、今まで閉じていた心が開くようになった気がしました。今まで自分がいかに狭い考え方だったか反省しました。そして私も地域の日本語学校、国際交流センターを訪ねてボランテイアの活動に積極的に参加しようと決めました。日本側の意識改革の必要と同じく私みたいな外国人も自分自身がこの社会の仲間だと、社会のために貢献出来ると、考えを変えるべきです。

 また地域住民の意識改革、多文化共生社会を作ることは本来政府が先頭になり国民を啓蒙する責任があると思いますが日本は遅れています。しかし、地域には北川さんのような熱い心で真剣に多文化共生活動に取り組んでいる方がいます。また、嶋田先生のように弱い外国人の声を本で発信する方もいます。こんな方たちがいる事で日本社会はきっと点が線になり,線が面になって日本人、外国人関係なく人間理解が出来る、違う文化、価値観をお互い理解し、共感し、協慟して、対話が出来る新しい多文化共生社会になって行くと思います。

 

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